濃くて長く書けるフリクションボール ノック ゾーン:FRIXION BALL KNOCK ZONE
文具好きな人であれば,『え?このタイミングでそっち?』と,思われるかもですが,理由があるんです.まずはこちらから紹介させてくださいまし.『フリクションボール ノック ゾーン』(公式).発売は2022年の年末.前評判が良かったので私も予約して購入しました.そして案の定品薄になって一部の軸は2023年に入って何ヶ月かしないと購入出来なかったくらいの人気になってました.
さて,書いて消せるボールペンというとフリクションが知名度もシェアも圧倒的のようです(累計販売本数30億本)が,実に便利で使い易い一方で,『ちょっとココが…』という点もいくつかあり,具体的に3点ほど挙げると
- 色が薄い
- インクの減りが早い(インクがすぐ無くなる)
- 筆記線が太い(細くない)
という不満があります.ヘビーユーザーは特に感じていることでしょう.
そしてこれらの点に対して改良を加えたフリクションが,『フリクションボール ノック ゾーン』です.
リフィルは黒,青,赤の3色,ボール径は0.5mmと0.7mmの2種類.そして軸はグリップがマーブル調の最上位モデルとなる『インスプレーションレッド』,『インスプレーションブルー』,『インスプレーショングリーン』,ウッドグリップの上位モデルの『ディープレッド』,『ダークブラウン』,『ブラック』,そしてラバーグリップの普及モデルの『オールタイムブラック』,『ニュートラルクリア』,『ミッドナイトネイビー』,『ブレークタイムベージュ』,『ファーストライトピンク』……はぁはぁ……という,列挙するだけで腱鞘炎になりそうな程の凄まじいラインナップ.この製品に対するメーカーの意気込みと本気度を感じます.
そして冒頭の写真のように,私は軸として『インスプレーションブルー』,『オールタイムブラック』,『ミッドナイトネイビー』,『ファーストライトピンク』を揃えました.そしてリフィルは0.5mmの予備をストック.
リフィルの箱にも書かれていますが,このフリクションにはインク,リフィルに大きな工夫・改善があり,インクの濃度が黒で30%,青と赤で15%アップ.そしてリフィルのパイプを樹脂製から金属製に変更して肉薄にすることによりインク容量が70%アップしています.
そしてこちらが普及版の軸の『ミッドナイトネイビー』.店頭価格は500円前後.
ボール径0.5mm(極細)の黒インクリフィルがセットされているタイプを購入.軸には見慣れたフリクションの説明書き.
軸にはデザインのワンポイントとしてシルバーのリングがあり,その上にPILOT JAPANの印刷.
反対側にはフリクションボールのロゴと"ZONE TECHNOLOGY"の文字.
そして『ゾーン』での工夫はインクやリフィルだけではなく,軸にもあります.ペン先のガタツキを抑制するためにチップホルダーが付いており,筆記時の『カチャカチャ音』や筆記場所のぐらつきを防いています.
ノックを兼ねたクリップにも工夫がなされており,内部パーツにバネを追加してノック音を従来比78%カットとのこと.
集中すると自分の出す音は意外と気になりませんが,回りからは耳障りな音として認識されることが多いほか,自分が(他の人も居る静かな環境で)騒音を出してしまうとストレスなので,無駄な動作音は少ないに越したことはありませんよね.
そしてラバーパーツは軸にセットされているリフィルが0.5mmか0.7mm用で色が異なり,それぞれ灰色と黒色になっています.そしてラバーは交換可能.
ペン先収納時はこのようになっており…
ペン先を出すとこの状態に.
ペン先周辺のパーツがメタリックなシルバーのペンが多いけど,少々チープな感じがしてしまうので,私はこのような軸のデザイン・色が好み.
リフィルの交換は軸の中央部を分割して行います.
パイプが金属製に変わった他は特に形状的な変化は無く,リフィルの上位・下位互換性は維持されています.
あと,半透明の樹脂製でないため中身が確認出来ません.そのためインクの減りを見ての早めの交換が出来ず,ペン先に近い所で『もう無くなりそう…』になるまで分からないのが金属パイプのデメリットかな.
金属部分には”FRIXION 05 VER.2”の印刷.メジャーバージョンアップでversion 2になったという意味でしょうね.
ペン先は流行りのニードル型ではなく見慣れた砲弾型.また,ペン先にインクの色の印刷も無し.
赤色,青色インクのリフィルはこんな感じで樹脂パーツ部分が色分けされます.
実際に筆記してみるとこんな感じ.
インクそのものの発色も良くなっているのでしょうが,インクフローを良くして,潤沢にインクを出すことで色を濃くしている感じもします.ゾーンの公式ページの説明を読むと,インク量を70%増やした一方で筆記距離は40%のアップになっていますので,従来比2割程インクフローを良くしているのかなと思います.
そしてインクフローが良くなっているせいか,ボール径0.5mmの割には少々筆記線が太い感じ.ボール径0.7mmだと『かなり太い』という話を聞きますので,普通の日常使いの場合は0.5mm径が良いと思います.そして手帳に細かく書き込むには0.5mmでもちょっと太い.
インクの色の濃さは好みもあると思うけど,個人的には青と赤は十分な濃さで,黒は…大幅に改善されているけど…フリクションブラックだよね…という感じ.
こちらでも少し触れましたが,昨今の筆記用具の色の流れとして『クッキリとした濃い色のインクで書かれた物は記憶に定着しやすい』という事でペンのインク色が濃くなる一方で,マーカーに関しては『淡色マーカー』が流行るという興味深い現象が同時に進行中ですが,フリクションは用途的に更なる濃さを求められていると思う.
さて,では最上位ラインの『インスプレーションブルー』もちらっと紹介.こちらは箱入りです.
店頭で3千円程で売られており,普及版の6倍.正直なところ,軸を高級にしても機能的には変化が無いわけで,普及版もよく出来ているので道具に対してコダワリが無ければ高級軸は不要に思います.ただ,普及版はガシガシ使えば1~2年でボロボロになりそうな消耗品と割り切って使う感じで,上位もしくは最上位ラインの軸はリフィルを交換して長く使える感じ.あと,グリップの所がウッドであったり樹脂であったりするので,手触り的にはこちらの方が好きかな.ラバーグリップはそのうち加水分解でベタベタになりそうな感じがするし….
本体.グリップ部から先が高級仕様になっています.
『インスプレーションレッド』,『インスプレーションブルー』,『インスプレーショングリーン』の3種類ありますが,それぞれ レッド/ブルー/グリーン のマーブル模様になっています.
樹脂製のグリップですが,軽く触るとサラサラ・ツルツルしていて,それでいて筆記時にシッカリ握ると滑らない.表現が難しいのですが,硬化したレジンの表面のべた付き感を無くした感じと言いますか….発売直後にweb上で商品写真を見て『いらんなぁ』とか思っていたのですが,店頭で触ってみて『おお,この感触は好きかも』という感じで購入に至りました.
ペンをクルクル回すとマーブル模様の小さな粒子が立体的・控えめにキラキラして綺麗&見ていて飽きないのですが,私はデザインではなく肌触りに魅力を感じました.
クリップ側は普及版と同じです.
ペン先パーツはシルバー.個人的にはブラックだったらなぁと思うけど,マーブル模様とセットで見ると,これはこれでアリ(チープには見えない)かなという気も.あと,完成度が高いだけに些細な不満点が大きく感じられてしまうのだけど,もう少しペン先に重心があった方が書きやすいかなという感じがする.逆に言うと,ペンは軽量でズッシリ感はありません.
リフィルは当然共通なのですが,下の写真のように軸を2つに分割した状態でブロックとして互換性があります.そのため,最上位ラインのグリップから先の部分と普及版のクリップ側の軸を合体させて…のような事も出来ます.よく見ると,クリップ側の軸は『インスプレーションブルー』と『オールタイムブラック』で同じ物が使用されているようです.
まとめ
と,いうことで,フリクションのウイークポイントであった
- 色が薄い
- インクの減りが早い(筆記距離が短い)
という2点に関し,大きく改良された『フリクションボール ノック ゾーン』の紹介でした.インクフローが良すぎる点が少し気になりますが(そのため,筆記直後に擦るとインクが…),今後は次第に普及価格帯の単色フリクションがこのラインに統合されて行くのではないかなと思います.
私はフリクションの1軍としてこちらで紹介した『フリクションボール3スリム』に0.38mmをセットして使用していましたが,普通に使う分には多少太くなってもゾーンの方が色が濃くて使い易いため,『オールタイムブラック』,『ミッドナイトネイビー』,『ファーストライトピンク』にそれぞれ0.5mmの黒,青,赤インクをセットして使うようになりました.『インスプレーションブルー』は当初は持ち運び用の遊軍だったけど,青インクをセットして『ミッドナイトネイビー』と交代させる予定.
不満点は,『フリクションボール3スリム』の純粋な置き換えが出来ない事ですね.据え置きで使う分には良いけど,3色使うからといって3本持ち歩くのは辛い.あと,やはり筆記線の太さ.仕様的にはボール径0.5mmであっても,一般のゲルや油性ボールペンの0.5mmよりもかなり太く感じられます.ノートであれば問題無いけど,手帳に書く場合は『もうちょっと細ければなあ』なんて思うこともしばしば.
と,いうことで,『フリクションボール ノック ゾーン』,ノート用の消せるボールペンとしてはベストのペンだと思います.過去に色の薄さでフリクションを敬遠していた方は,まずは普及版の1本を使ってみてください.インクの進化に驚くと思います.そして筆記距離に関しても同じ形状で40%アップというのは驚異的.オススメです.
そして手帳用の書いて消せるボールペンとしては…ということで,最近出たアレに続くわけです(笑)
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