ミニサイズだけど本格的な万年筆:セーラー万年筆のプロフェッショナルギア スリムミニ 金 万年筆 EF
万年筆沼とインク沼は深く,コレクションを始めると場所も時間もお金も底無しなので要注意.そして最近は,インク沼につまづいて(笑)ガラスペン沼に勢いよくダイブする人続出で,文房具沼も罪深いよなぁ……と,いうことでお久しぶりでございます.
会社の決算月を3月からずらせないかなんて話を社内で提案したりもしているのですが,それ以前にこの時期は対外的な仕事が忙しく,色々と忙殺されてしまいます.なかなかフリーな時間が確保出来ず,ゆっくり自分の時間を楽しむことが出来なくて悲しい今日この頃です.楽しむネタやブログネタは色々と仕込んではいるのですが.
さて,今回ご紹介するのは,昨年末に見かけ,正月にかけて買うべきか買わざるべきか悶々と悩み,結局お迎えすることにした万年筆です.その名は『プロフェッショナルギア スリムミニ 金 万年筆』.万年筆らしいヌラヌラ感を味わおうとしたら,ペン先はFやMを選ぶべきですが,実用性を考えて極細のEFをチョイス.
実は,コチラで紹介したパイロットの『キャップレス マットブラック EF』を常用しており,日常的な使用では他の筆記用具が入り込む余地が無いなぁなんて思っていました.万年筆はインクを入れて放置すると詰まるので,常日頃から使わないとダメになる道具なので尚更です.しかし,本格的な万年筆にも関わらず,小さくて精巧なフォルムを見た瞬間にフラグが立ったのを感じました.そしてお迎え.結果,大満足.
では,紹介していきましょう.
Amazon以外の某通販で購入したところ,このような立派な化粧箱と共に届きました.
ケースをスルスルっと出すときっていつもワクワクしますよね.
そしてパカッと開ける瞬間も.
が,今回手元に届いた箱の中は空でした.万年筆を化粧箱に収めず,ビニール袋に入った状態のママの万年筆が,箱と共に無造作に郵便の大型封筒に入っていたときは焦りました.若干の緩衝材が封筒に接着されているタイプだったこともあって破損を免れていましたが,高額商品なのに…危ないなぁ.
と,いうことで,今回はコンバーターも一緒にオーダーしました.
一般の文具店では,メーカーから送られているこの状態の製品を開けてorそのまま化粧箱に入れ直して…という手間をかけてるんですな.
今回は使いませんでしたが,コンバーター.
本タイプの万年筆では,軸の長さの関係で,セーラー万年筆の一般的なコンバーターが使えません.必ず『ミニサイズ』を購入して下さい.
大事な事なので繰り返します.必ず『ミニサイズ』を購入して下さい.
さて,それでは本体を見てみましょう.
今回購入したのは軸色がブラックのタイプです.公式ページにあるように,2021年5月に発売されたカラバリには,ブラック以外にアイボリー,マルンがあります.そして2020年から販売されているカラバリには,ベニホワイト,アユールグレー,ズイーンピンク,アユールブルー,ナイトブルー,プフブラウンという多色がラインナップされています.目移りしますな.ただ,前者はペン先が選べますが,後者はMF(中細字)のみ.
あと,web上で見る限りは良さそうな色でも,実物を見たら『ちょっと違う』となることがあります(その逆もある).オーソドックスなカラー以外を選択する場合,実物を見てから購入した方が良いでしょう.特に本製品のような小さなタイプは,一歩間違うとオモチャっぽくなってチープに見えることもありますので.
天冠はセーラー万年筆のロゴである錨のマーク.
クリップはこの位置.そして金具は全てゴールド.
クリップの形はこんな形.ポケットから覗くクリップの形でメーカー名が分かるようになれば,あなたも立派な文具沼の住人.
キャップはネジ式です.クルクルっと回します.
万年筆が日常使いの筆記用具として敬遠される理由の一つが,このネジ式という構造かなと思います.筆記開始のスタートダッシュが遅れますので.やはりキャップレスのノック式は即応性が高いですな.
あと,このキャップを外すのに必要となるネジの回転数は,メーカーやモデルによって差があり,欧米の万年筆は少なめな一方で(セーラー万年筆も含む)国産万年筆は多めな印象があります.
まぁそれはさておき,THE王道とも言うべきフォルムであることが分かると思います.若干軸が短めに感じられるかもしれませんが.
そしてペン先は14金の比較的柔らかめなタイプ.廉価な万年筆で使用されているスチール製はカリカリとした書き味ですが,それと大分異なります.一言で言うと,『適度にしなる』とでも言いましょうか….そのため,『金ペンが好き』という人は多いです.
ペン芯はこんな感じ.
さて,使用するインクはどうしましょうかね….
パイロットの『色彩雫』と双璧を成す,セーラー万年筆の『四季織』のカートリッジを使うことにします.
これは『四季織 秋色 5色セット』.四季織は全20色ありますので,ピンポイントで『この色が好き!』があればその色のボトルを購入・使用するのが良いと思います.『色々な色があって目移りしちゃうな~』な方は,このようなセットをいくつか試してみて,好みの色を探すのが良いかも.
5色セットは,バラ売りもされているカートリッジセットが季節に合った5色がチョイスされて入っています.
紙箱を開けると…
プラ製のケースが入っています.このケース,カートリッジの持ち運びにとても便利で優秀な子です.
ケースには凸でセーラー万年筆のロゴ.
開けるとこんな感じで3本のカートリッジとクッション材のスポンジが入っています.
今回は『夜長』をセット.ブルーブラック系,それも暗い方に振ったのが好きなんですよ.次点はちょっと緑がかった色かな.このセットに含まれている『山鳥』も使ってみたいので,1本使い切ったらペン先を洗浄した後にセットしてみよう.
ネジ式になっている首軸を抜いてインクカートリッジをセット.
挿した際にブシュッとインクがペン先から迸ることがあるので,出来たらティッシュなどを引いて作業しましょうね(机の上を汚した経験あり).
カートリッジには色の名前が印刷されています.このような小さい部分の気配り,良いですね.
首軸を胴軸にねじ込んでセットします.
ちなみにこの『持ち運び形態』の長さは11cm.一般的なペンと比べて長さが短く,携帯性が高いです.また,ペンホルダにフルサイズの万年筆を入れるとはみ出してしまうようなミニサイズの手帳やシステムバインダーでも,このサイズなら収まる製品が多いでしょう.
キャップを取ると9.5cmになります.かなり短いため,この形態で筆記しようとすると親指と人差し指で『つまむ』形となり,とても使いにくい.
しかしキャップを胴軸に挿すと14cmとなり,この形態であれば普通のペンの持ち方で使えます.
携帯性を持たせるためにミニサイズにしている筆記用具って,実用性を犠牲にしている製品が結構あります.緊急時に短時間だけ使うような物であれば別ですが,普段使いもするような製品の場合,携帯性を持たせるために実用性を犠牲にするのは本末転倒ですよね.そう言う意味では,この万年筆は持ち運びやすくて普通に使えるため,高い位置でバランスしています.
1万円オーバーの筆記用具のため,決して安いとは言えませんが,大事に使えば一生もの.ヘタすると(?)数世代に渡って使える製品ですので,1~数年単位で買い換える文房具と同列に扱ってはいけません.そしてその一方で,製品としてシッカリしていなければ,それだけの長期間使い続ける事はないでしょう.なので,『長持ちする=道具として良い』ではないこともあり,製品としての完成度はとても重要.
『プロフェッショナルギア スリムミニ 金 万年筆』は,製品名に『プロフェッショナルギア』を冠しているだけあり,実に素晴らしい本格的な万年筆です.スルスルと書ける万年筆らしい書き味が素敵で,筆記用具として素晴らしい出来.そしてモノとしての高級感,持ったときの質感,そしてミニサイズの精巧性からくる可愛らしさも兼ね備えています.一言で言うと完璧.
そして何度も書きますが,長さが短いために携帯性も素晴らしい.
上が無印良品のポリカーボネイト万年筆(490円のワンコイン万年筆!安い!!),下がこちらで紹介したトラベラーズノートの真鍮製万年筆です.携帯性という意味では必ずしも『比類する製品無し!無双!!』というわけではありませんが,定番の形でかつ,高級感を持ち,そして小型であるけど実用性も維持という意味では唯一無二に近いんじゃないかな.
ただ,セーラー万年筆のインクカートリッジは,ヨーロッパ規格のミニサイズよりも長いため,下の写真のような携帯性に富んだインクカートリッジ入れが使えないのが少し残念.まぁ四季織のケースがキャリングケースとしてもシッカリしているので,インクカートリッジを剥き出しでジャラジャラと持ち歩いたり,紙箱のまま筆箱に入れるのと比べると遙かに優秀なので,当面はそんな感じでインクを持ち歩いてみましょうかね.
と,いうことで,今回駆け足で紹介しましたが,『プロフェッショナルギア スリムミニ 金 万年筆』とても良い感じです.眺めてもヨシ,持ち運んでもヨシ,使ってもヨシな素晴らしい製品です.オススメ.
次エントリーでは,この万年筆を持ち運ぶための入れ物について語りましょうかね.
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