『プロフェッショナルギア スリムミニ 金 万年筆』を持ち運ぶためのペンホルダを作る
昨日は『プロフェッショナルギア スリムミニ 金 万年筆』を紹介しました.久しぶりに琴線に触れる万年筆を入手して気分が高揚しましたが,いざ持ち出して/携帯して使おうとしたところ,悩ましい問題が.普通のペンケースに入れようものなら,他のペンとぶつかったり擦れ合ったりして傷が付いてしまうことは明らか.では,万年筆用のペンケースに入れて…となると,保護性は高いけどゴツイものばかりで,この万年筆の最も抜きん出た特徴である携帯性をスポイルしてしまう.『首から提げる一本挿し』タイプで結構良さげな物もありましたが,当たり前と言えば当たり前ですが,普通のサイズのペン用に作られているため,この万年筆を入れると長さ方向でブカブカになることが想像に難くない.
そんなわけで,無い物は作りましょう.道具も材料も手元にあるし,足りなければAmazonでポチれば良いわけですから~.
と,いうことで,以前やったノリで,今回も革で自作をすることにしました.
余っていた適当なハギレを使い,まずは別たち(カッター)で革を矩形にカット.元々は保護用の万年筆ホルダにする予定だったため,かなりタイトなサイズにカットしました.後から『ちょっとタイトすぎたなぁ』と感じでしたので,本エントリを読んで自分でも作ろうと思われた方は,きちんと型紙を作ってから裁断するか,少し大きめに裁断した後でフィッティングして微調整してみて下さい.私の屍を乗り越えて行け(笑)
で,トコノールで革の裏側の毛羽立ちを処理.使い始める前は『ただのガラスの板にこの額は…ただの板のような物だとダメなの?』とか思っていたのですが,クラフト製のガラス板,使ってみたら使い易いし仕上がりも凄く良かったのでオススメです.
そして革に溝を掘ったりするときに使うグルーバー.値段に少し躊躇したけど,誠和製のマルチステッチンググルーバーを購入して使用してみました.やはり道具はケチったら駄目ですね.これも工具が良いおかげで,腕の悪さをカバーしまくりで作業がとてもスムーズでした.今後も大活躍しそう.
この製品,色々と使い道があるのですが,今回は溝掘りのみに使います.
革の端から2mm程の位置に,『コの字』型に溝を掘ります.凄くスルスル掘れて快感.道具が良いとホント気持ちよく作業が進みます.
こんな感じに掘ります.あと,クリップを挿す部分を凹型にカット.
次に菱目打ち.革を縫う際の穴を開けます.
こちらも誠和製を用意.4mm巾の4本と2本を準備.ただ,2本の方は結局使用せずでした.それと実際に作業した感じでは,文具や小物系であれば3~4本の菱目打ちと2本の菱目打ちがあれば,大抵のことは何とかなるかなという感じです.その一方で,1本の菱目打ちは使い所が殆ど無いかも.
こんな感じでトントンと溝に沿って木槌で軽く叩いて穴を開けていきます.前に開けた穴に1本重ねて穴を開けていけば,等間隔で綺麗に穴開けが出来ます.
出来ました.
どんな糸を使うかによって完成後の見た目の印象がガラリと変わりますが,今回はブラウンの#30の麻糸を使ってみました.なお,今回使用したのは蝋付きでないタイプ.
そしてクラフト社製の手縫い針.
針は2本使い,
『平縫い』で縫っていきます.
縫い方に関しては…youtube等で検索すると,先人の素晴らしいレクチャー付きで学ぶことが出来るでしょう.
最後の末端処理はタマを作って接着材で止めました.
これで完成.良い感じです.
グルーバーで溝を掘る理由を改めて説明すると,菱目打ちで縫い穴を開ける際に歪まないようにするのと,このように少し凹んだ場所に縫い糸が収まるため,表面が擦れたりした際に糸の保護にもなるわけです.
コバはこんな感じ.気が向いたらヤスリがけ&コバ磨きをしましょうかね.
下側の処理は悩みましたが,普通に封筒型に縫うだけにしました.ペンの形に革を膨らませてカタメール等で固くする作り方にも興味があるので,もう少し腕が上がったらトライしてみます.
多分,カッターで革を切り始めてから完成まで1時間もかかってないんじゃないかな.作る物の構造が単純,かつ,道具が良いと,サクサク作業が進みます.
刃物の切れ味が悪い等,道具が悪いと変な所に神経と時間が取られるので,道具は良い物を使うことをオススメします.
結構キワキワのサイズで作ったので,ドキドキしながら使い勝手の確認.
入りました(安堵).
クリップをひっかけた状態で天冠がホルダの上面とほぼ同じ高さになります.あまり深く入ると取り出しにくいし,かと言って飛び出ていると保護にならないので微妙な塩梅が求められる部分.今回は目分量だったけど一発で成功したと言って良いでしょう.
クリップの部分は台形にカットしたけど,強度的にはアールを付けた方が良かったかも.まぁ使ってみてから今後検討ですな.
そしてクリップをかけずに押し込むと完全に天冠がホルダに収まり,そして取り出しにくくならない程度に収納出来ます.今回とても良い感じになったのだけど,万年筆をホールドするテンションが丁度良く,簡単に抜けないし取り出しにくいことも無い感じになりました.若干の伸縮性のある革という素材が良い仕事をしています.
ペンと言っても長さは色々なので,一本挿しのペンホルダは長いペンを基準にしているものが大半(BLACKWINGの鉛筆の長さは例外としても).なので,『プロフェッショナルギア スリムミニ』にピッタリ長さのペンホルダは自ずと専用品になるでしょうし,需用から考えると(メーカーが純正品で出さない限りは)自作するか特注するしか無いかも.
と,いうことで,持ち運ぶ際に使用出来る1本挿しのペンホルダが完成です.『プロフェッショナルギア スリムミニ』をこれに挿してから筆箱に入れれば,本体が保護されます.安心して持ち出せます.
で,当初はホルダを作って満足していたのですが,何となく不満が.普通のペンの一本挿しホルダーって,首からぶら下げられるようになってるのが多いじゃないですか.アレ,格好良いですよね.
と,いうことで,改造.
かなりキワキワのサイズに作っているので微妙な位置になったけど,まずはパンチして穴開け.強度のことを考えると,もう少し穴の周りのスペースに余裕が欲しかったですね.中に入れる万年筆が軽いので,普通に使う分には強度的に問題無いけれども.
そして片面ハトメをパンチ.
サイズ的にギリギリセーフ.色は少し拘ってアンティックゴールドの内径4mm,外径8mmのものを使用.
そして首から下げる紐として,水牛のレザーコード(丸革ひも)を用意.
ハトメに…
適当な長さにレザーコードをカットし,こんな感じで通して端を結びます.
万年筆を入れるときにハトメに引っかかるかも…と,いうくらいキワキワでしたが,万年筆がスルッと入りました.良かった….
クリップを引っ掛けずにペンを挿し,全体を保護する形態もOK.
こんな感じでコードを巻けば持ち運びも出来るし,コードはハトメに通して端を縛ってあるだけなので,邪魔になれば外せば良い.これを書きながら思い付いたのだけど,小さなカラビナを付けてハトメに止めても良いかもですね.
モデルが居なかったので壁にかけたけど,こんな感じに首から提げてもOK.こんな感じで携帯したら,万年筆の日常的な使用が捗りそう.
と,いうことで,『プロフェッショナルギア スリムミニ』専用ペンホルダが完成.
一応これで完成していたのだけど,刻印ポンチを購入したので,ついでに少し手を入れてみます.
それにしてもこのポンチ,フォントに味があるし製品の出来も使い勝手も良いのだけど,いかんせんメーカーの検品がいい加減なんですわ.私のセットにはqが2本入っていて,gが入ってませんでした(笑).g余ってる人,qと交換しません?(汗)
と,いうことで,私の名前にgは使わないので,木槌で軽くポンポンと叩いて名前を刻印して完成.おっと,cが逆じゃん.まぁハンドメイドの味として考えよう(笑)
とても良い感じに仕上がったので,革や糸を別の色にしたバージョンの製作も計画中.
と,いうことで,道具さえ揃えれば,レザークラフトは誰にでも出来ます.そしてこれまで『こんな製品無いかなぁ…無いよなぁ…』なんて諦めていたモノが,自らの手で作れます.それも自分専用の特注品のような逸品が.
もし興味を持たれたら,是非『いろいろ自作してみよう~』なこちらの世界にいらっしゃいませ(^^
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