携帯性だけではないんです:ロルバーン(Rollbahn) ダイアリー スリム
テレワークの一般化,そして奥行きが少ない机でノートPCを開きつつ手前にノートを…という流れから,横型手帳やノートが一気に普及しました.その一方で,縦型手帳の人気が一気に落ちたのかと言うと,必ずしもそうでもないようです.特に縦型でもスリムタイプは携帯性もよく,意外と場所を取りません.そしてリング型であれば,折り返して使うことも可能.
そんなわけで,昨年も大人気だったRollbahn/ロルバーン ダイアリー スリムですが,今年も人気が衰えず,既に公式オンラインショップは全色完売のようです.私も興味はあったのですが,昨年は買えずに『ぐぬぬ…』と,なりましたので,今年は8月早々の発売直後に購入しました.
では早速中身を見ていきましょう.
ロルバーンは『シンプルで飽きのこないデザイン』ということで人気ですが,このダイアリーでもそのDNAを受け継いでいます.
私が購入したのは『ダークブルー』ですが,ホワイト,グレージュ,イエロー,レッド,ライトパープル,ライトブルー,ダークグリーンの合計8色のラインナップです.
1色で塗られた表紙.そしてそこにワンポイント的に印刷されている見慣れたRollbahnのロゴや文字.シンプルですが実に良い感じです.
ハードカバ,ダブルリングと共にロルバーンの特徴であるゴムバンド.カバーにハトメで止められている所も通常のロルバーンノートと同じです.
開くとこんな感じ.ダブルリングのため,ペタッと180度開きます.
そしてパット見で分かると思いますが,『横幅狭っ』.製品名にある『スリム』の所以です.紙は当然ながらロルバーン標準のクリーム色のコシのある用紙.
中身を見ていくと,まずはカレンダー.
そしてイヤープランナー.
『スリム』のイヤープランナーでは,1ページ3ヶ月.10月始まりで左側に10月~12月,そして右側に折込1ページで1月~6月,ページを捲ると裏側に7月~12月となっています.
イヤープランナーにも(他のページと同様に)ミシン目が入っており,きれいに切り離すことが出来ます.そのため,期間中に手帳から切り離して別に使ったりであるとか,1年が終わった後で記録用に切り離してファイリング…なんてことが手軽にできます.
そしてページを捲ると右側には2023年の1月~3月のエリア.一応イヤープランナーに関しては,年度末まで使用できるようになっています.
使用シーンを想定して思ったのですが,普通に3ヶ月1ページにせず,1枚物を折り込んで1年にした理由は何故なのでしょうね.閲覧するだけであれば良いのですが,このように開いた状態で右側は本体から飛び出しているため,下敷き等を使ったとしても右半分は少々書き込みにくいです.
ブロックマンスリーが続きます.10月スタートです.
『1Pで1ヶ月なの?スリムサイズだとブロックが狭すぎない?』と,ドキドキしていた人は心配ご無用.このダイアリースリムは見開き1ページになっており,筆記エリアは十分な面積が確保されています.
ただ,卓上に広げる分には問題ありませんが,手持ちで一ヶ月のスケジュールを確認したり,筆記時に真ん中にリングが手に当たって…という部分が人によってはマイナスポイントかも.
月曜始まりで,日曜祝日だけ赤色で印刷されています.
右上に年,月が少し大きめに印刷されており,その下に1列メモ用の罫線が引かれています.行数は24行.31行だったらなぁ…と,一瞬思いましたが,狭すぎると使いにくいので,割り切ってToDo的なリストに使うのが良いかもです.
下には無地の十分なスペースがあり,右下には翌月のカレンダー.
ブロックマンスリーは12月までです.なので,イヤープランナーのように年度末までは記入できません.
そして方眼ノート.見慣れた方眼ノート.だけれども『スリム』のこの縦横比は新鮮かも.
クリーム色の用紙,この淡いけど視認できる罫線,そして角の丸,etc.ロルバーンの特徴はそのままです.
当然ながらキレイに切り離すためのミシン目も.
このように厚さを見ると分かるのですが,一般的な手帳と比較すると,強烈にメモページの割合が多いです.
以前紹介した横型ダイアリーでも書いたのですが,ロルバーンのダイアリーはスケジュール管理用のページが主役ではなく,あくまでメモ帳が主役な感じです.
そして黄色の厚紙が挟まり…
ロルバーンの特徴のひとつ,クリアポケットページ.『スリム』だと底の深いポケットになるため,小物を入れると取り出しにくいかも.
で,再び黄色い厚紙ページが続き…
おしまい.
スリムなために携帯性が高く,そして前述した通り,このように折り返して使えば非常に省スペースで使えます.ただし,このスタイルで使うと,見開き1ヶ月でなくなるために一覧性が悪くなります.
大きさはこんな感じ.公式には,横98mm*縦166mm*厚さ17mm.手帳と言うにはやや大きいけれど,筆記サイズが十分あるノート的に使える手帳としては,標準~小型サイズかな.メインのスケジュール管理部がウイークリーだったり,紙質が全然違うし用途もかなり異なりそうだけど,『ほぼ日weeks mega』のサイズは94mm*188mm*13mm.意外だけど,weekよりも少し小型です.
ちなみに以前紹介したロルバーン ダイアリー横型と大きさを比較するとこんな感じ.かなり小さいです.
まとめ
と,いうことで,少々アップするタイミング遅くなってしまった感がありますが,『ロルバーン ダイアリー スリム』の紹介でした.
おそらく,
- ウイークリーはいらない,ブロックマンスリーで十分,その分ノートページを増やしたい
- シャーペンの消しゴムではないけど,手帳に付いているオマケ的なノートページに不満がある
- 縦型の手帳を持ち歩きたいが,大き過ぎたり小さ過ぎたりで手頃なサイズ感の製品が無い
- ロルバーンのノートが好きだけど,スケジュール管理用に別のモノも持つのは嫌
- とにかくロルバーンが好き
- 方眼万歳
のような人には,ジャストフィットな製品かもしれません.
正直なところ,実物を見た瞬間に違和感がありました.一般的なロルバーン ノートの縦横比を見慣れているためでしょう.ただし,見ていると意外と短時間で慣れます.
それとノート術に関係して来るかもしれませんが,例えばA5なりB5なりのサイズのノートを使うとき,(学生の板書は別として)左から右にビッシリと横書きする人はあまり居ないですよね.人によっては予めノートに縦に線を引いて分割している人もいますが,『パット見』で内容を把握できる範囲って,意外と狭いんです.例えば清川(2007)では,『視野角全体は水平200度、垂直125度(下75度、上50度)に達するが、情報受容能力に優れる有効視野は水平30度、垂直20度に過ぎない』と,報告されています.
ノートと顔の距離は30cm以上離すことが推奨されていますが,ギリギリの30cmであると仮定すると,この『情報受容能力に優れる有効視野』は,上下が106mm,左右で161mmしか無いことになります.横のサイズを見るとA5は148mm,B5は182mmになるため,片面であればA5でギリギリ,見開きとなると両方ともアウトです.そして見るだけでなく『読む』となると,更に厳しい内容になります.一瞬で認識可能なのは13~14文字と言われています.つまり,単に狭い範囲に情報を詰め込めば良いというわけではありません.
つまり,読みやすい/見やすいフォーマットとは,タイトルやトピックのキャプションを13~14文字に制限して頭出し出来るようにし,更にコンテンツは長々と続けて書かず,約10cm*16cmの範囲を一塊(1つの話はできるだけこの範囲に収まるようにし,そして次の塊の間にはスペースを空ける)とすると良いということになりそうです(*).
(*)さぁ,手元の5x3の情報カードのサイズを測ってみよう!
そう考えるとこの『ダイアリースリム』はとても使いやすそうです.ロルバーンLでも横幅が143mmであり,先の数字に収まっています.しかし,スリムは更に狭く横幅が98mm.物理的な制限が設けられることにより,『塊』を意識して使うだけで,より一覧性と瞬発力が高い情報バンクを作ることが出来るでしょう.そしてピッタリ過ぎて驚きですが,『ダイアリースリム』を横に寝かせると,ほぼジャストで『情報受容能力に優れる有効視野』サイズです.
少し脱線すると,カード・タイル型のwebページが多い理由は何故かとか,『アトミックデザイン』的なアプローチを応用して論理構造をテンプレート化出来ないかとか(バレットジャーナルにも一部通じるものがある),それを使って表記すると更に読みやすいノートを創れるのではないか…とか考えると面白そうです.こういう話,大好物デス.…閑話休題
その一方で,ウイークポイントもあります.
ノートとしてそれなりに使う人の場合,1年という期間が尽きる前に,ノートページが尽きるでしょう.そして『スリム』なために筆記エリアが標準サイズよりも狭く,一般のノート比べて遥かに消費ペースが早いでしょう.すると,比較的短期間で,ノートページを持たないノートが主役のダイアリーになってしまいます.
この事態を防ぐためには,替え麺的に継ぎ足しできるノートリフィルが求められます.しかしロールバーンフレキシブルのようなリフィルですと,(リング穴が増えることにより)使い勝手が悪くなり,耐久性に不安が生じます.そしてランニングコストもかなり上がりそう.そう考えたら,『通常のスリムノート』と『紙,リング穴部分を強化したスリムサイズ専用の交換可能なダイアリーリフィル』のセットという組み合わせが最強のような気もします.ノートが尽きたら別途スリムノートを購入し,ダイアリー部分だけ移植するという方法です.
更に書きますと,この形式であればコチラのページような使い方も出来ます.このページ,未だに凄いPVになっているので,ニーズはかなりりある筈….フレキシブルと食い合いになる危険性もありますが,DELFONICSさん,是非,ご検討をお願いします.
と,いうことで,色々と魅力的な部分が満載の『ロルバーン ダイアリー スリム』の紹介でした.実用性を維持しつつ,ビジカジ系の人やクリエイターには好まれそうな感じの雰囲気です.そして使っているところを文具好きの同好の士に見付かったら,『ん?』とか『お?』とか言わてその後で話に花が咲くことでしょう.
ちょっと話は発散・脱線気味になりましたが,手帳・ノートの面白さと可能性を知るためにも,是非多くの人に使ってみて欲しい手帳・ノートです.一言でいうと,『オススメ』.ただ,人気のある手帳のため,既に入手が難しくなりつつあるようですので,入手はお早めに.
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