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2021年3月31日 (水)

ゼブラから出た,クッキリ発色のゲルインク ボールペン:SARASA R

2020年2月,三菱鉛筆からクッキリ発色インクを採用した『uni-ball one』が発売になりました.こちらのページに詳しく解説がありますが,『ノートを書く際に,濃くクッキリと書けると記憶に残りやすい』ということで,エビデンス付きです.

そんなわけで,発売後大ヒット商品になったようです.勉学に励む学生だけでなく,大人にも人気.多色展開もされているのですが,まるでマニアを狙い撃ちしたかのように定期的に発表される限定色セットは,狙い通り文具沼の住人を撃ち抜きまくり.ネット販売ではすぐさま蒸発し,血眼になってリアル店舗を探し回る難民を沢山生んでいます(転売屋に負けないで!!).

そんな中,3月22日にZEBRAから,『濃くあざやかに書けるインクのジェルボールペン』と銘打って『SARASA R』が発売になりました(公式 そして特設?ページ).見た目はよく似ていますが,その実力はどんな感じでしょうか.試してみましょう.

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『SARASA R』ですが,ボール径0.4mmの水性染料で,白軸は全14色展開.色は,ブラック,ブルーブラック,ブルー,スカイブルー,グリーン,フレッシュグリーン,オレンジ,レッド,ピンク,マゼンタ,バイオレット,ブルーグレー,グリーンブラック,レッドブラックです.

そして黒軸の0.4mm ブラックもあるほか,定番3色のブラック,レッド,ブルーのみボール径0.5mmもアリ.何となくユニボールワンを意識したような構成です.

そしてSARASA Rで面白いのは,『教科セット』があること.具体的には,国語,数学,英語,理科,社会の5教科用として,お勧めの0.4mmの5色がセットされています.

公式から引用すると,

国語:ブルーブラック、青、ピンク、赤、バイオレット
数学:青、スカイブルー、オレンジ、赤、マゼンタ
英語:ブルーグレー、スカイブルー、オレンジ、ピンク、赤
理科:黒、スカイブルー、緑、オレンジ、赤
社会:スカイブルー、フレッシュグリーン、オレンジ、赤、レッドブラック

というセットになっています.

私はこの中から,国語,理科,社会のセットを購入.数学も購入しようかと思ったけど,結構色被りがあるので,使ってから判断しようと思って一旦ペンディング.不足している色だけ単色で買い増しても良いですしね.

で,理科セットはこんな感じ.

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アップ.

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裏面に『何故この色?』の説明が書かれています.

色彩の知覚とその心理効果に関しては多くの(研究)報告がありますが,これはどんな根拠が…とか思って調べてみると,1級カラーコーディネーター(ファッション色彩)の野中女史がカラー診断とのこと.

『ほぉ~』と,思ってプロフィールを見てみると,『日本メンタルヘルス協会  認定基礎心理カウンセラー』や『日本ヒプノマネジメント協会認定 ヒプノセラピスト』でもあるとのこと.これらの協会は…深掘りするのは…やめときます….臨床心理士や公認心理師のように,公益財団法人が認定する資格/国家資格であるような医療系の資格かどうかは,名前だけでは分かりにくいですよね.そしてその性質・内容も.

ま,とりあえず,教科のチョイスから言って中高生くらいをメインのターゲットにしているのかなという印象を持ちます.

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ペン本体はこんな感じ.白軸は白一色で,ノックの部分がインク色と同じカラーチップになっています.

写真はスカイブルー.

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先端から見るとこんな感じ.

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グリップ部分はラバーパーツになっており,縦に筋が入っています.

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そしてクリップはこの形状.『バインダークリップ』と呼ばれており,それなりの厚さのノート等にも挟めます.

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インク色,そしてSARASA Rのロゴとボール径0.4mmであることを示す内容が,ノート等にクリップした際に外から見えるように印刷されています.

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カラーチップは上から見てもインク色が分かるようになっています.

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分解するとこんな感じ.

なお,SARASA Rは使い切りのボールペンとなっています.そのため,使い切った後,リフィルのみ購入して交換して使う…のようなことは出来ません.

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では,理科セットのペンの発色を見てみましょう.

線を引いた際に隅々までモヤッとせず,そしてインクの発色も良好です.淡い色であることが多いスカイブルーも,しっかり色が出ています.これは結構良いかも.

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ライバル対決.ユニボールワンと比べるとこんな感じ.

ボール径の差以上に違いがあるように見えるけど,おそらくインクの粘度の差かなと思います.SARASA Rの方がインクが出ていて掠れも少ないです.文字通り,SARASAインクはサラサラ.

また,濃く書けるインクフローの良いペンの場合,書いた直後に手で筆記面を擦るとインクが掠れて汚れる物が多いですよね.でも,SARASAインクはスッと乾くようで,掠れませんでした.

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SARASA Rとuni-ball oneのリフィルを入れ替えてみる

上がuni-ball one,下がSARASA Rです.似てますよね…とても.

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大きな相違点はと言うと,インク色の見せ方(SARASA Rはノック部分のカラーチップ),そしてクリップの構造です.

あと写真では若干分かりにくいかもしれませんが,uni-ball oneは軸がシボ加工されていてマットですが,SARASA Rはツルテカしていてプラスティッキーです.個人的にはuni-ball oneの方が好きかな.

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地味に異なるのは,グリップ部.どちらもラバータイプなのですが,SARASA Rには縦筋が入っています.

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分解してみましょう…ん?

リフィルの形状も殆ど一緒ですよね….

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リフィルを入れ替えて…

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普通に組めました.

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ノックや筆記も特に問題ありません.普通に使えます.

と,いうことで,uni-ball oneの皮を被ったSARASA Rとか,その逆も作れたりします.『インクはこっちの方が良い!』とか,『軸はこっちの方が好み!』とかいう事がありましたら,試してみて下さい.

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まとめ

と,いうことで,発色の濃さを従来インクより27%増しにした,SARASA Rの紹介でした.

SARASAらしいサラサラ,スルスルとした書き味をそのままに,発色をクッキリ濃くした感じです.使っていて快適です.そしてライバルはuni-ball oneでしょうけど,どちらをチョイスするかは個人の好みかな.単体で使っているときはあまり気にならなかったけど,uni-ball oneのボール径0.38mmを使うとたまに掠れることがありました.この辺りをどう感じるかかなと思います.個人的には,書き味はSARASA R,軸はuni-ball oneの方が好みです.まぁ結果的に,どちらも揃えてしまうわけですが(笑)

そんなわけで,『濃くクッキリ書ける』ボールペンに新たな選択肢が出来ました.SARASAのスルスルした書き味が好きな人は是非行ってみてください.コストパフォーマンスも良く,1本110円.学生がガシガシ使うカラーボールペンとしても,とても良い価格帯のペンだと思います.そして文具沼の住人は是非,勉強セットをコンプしてみて下さい(笑).オススメ.

***

ここからは先は余談です.

『(インク発色の)クッキリは記憶を助ける』の根拠に関して興味がありまして,uni-ball oneの紹介ページを読んでみました.すると,出典となる研究は立命館大学の服部教授のご研究とのこと.タイトルは『筆記文字の濃さは記憶を促進するか:非流暢性効果(逆効果)の検討』です.で,内容を確認出来ないか探してみたところ,こちらで第38回日本基礎心理学会のプログラムが公開されており,要旨も読めました.この報告(ポスター発表?)で結果として報告されているのは以下の2点でした.

  • 黒色ボールペンの手書き文字で,色が濃い方が淡い場合よりも正再生率が有意に高くなった
  • 濃い文字の方が,「読みやすさ」や「学習容易性」の点で高く評価された(注:要旨からは有意差があったか確認出来ず)

先行研究で,読みにくい文字で書かれた教材で学習した方が学習効果が上がることが報告されており(Diemand-Yauman et al, 2011),これを非流暢性効果(disfluency effect)と呼びます.これと逆の結果になった(逆効果が示された)というのが,この発表の論旨の一つであるようです.

uni-ball oneは多色展開されていますが,科学的に証明されたのは,黒インクでの効果のみです.その点は公式ページにもしっかり書かれていますので,誤解してはいけません.

あと,『有意差』という点も重要です.

例えば被験者を2つの群に分け,別の課題をさせた後で同じテストをします.その結果の平均点に大きな差があったとしても,この結果を持って『課題』に違い/効果があると言うことは出来ません.検定を行い,統計的に明らかに差があることが示されて(有意差があって)初めて,違い/効果があったと言えます.

公式ページにグラフがありますが,30人を対象として行った実験で,単語の学習課題でインクが淡い群の正再生率が約25%である一方,インクの濃い群は約31%です.その差は僅かに6%です.しかし,統計的には違いがあると示されているわけです.

# 30%前後しか覚えられない単語課題ってどんなのだったのだろう….

あと,『濃いインクでノートを取るだけで,楽してバリバリ覚えられる!』なんて勘違いしてはいけません.この報告でも,その差は6%です.勉学に王道なし,地道な努力に勝る物なしですヨ.

私も認知心理学関係のD論だったので(対象は視覚刺激ではなかったけど),この分野の研究の論文を読むとワクワクしてきます.あと,最近はfMRIを使用して,脳活動を直接観測することにより視覚刺激に対する反応を見るというアプローチも多いですね.fMRIを使うと費用はかかるけど.そういえばここ数年,製品評価や快不快・ストレス計測のために筋電図・脳波・心拍変動のような生体信号を使用したいのだが…という企業からの相談がとても増えています.勘や経験では限界があり,アンケート形式のような主観評価は欲しい正確な情報が取れず,何とかして客観的かつ定量的な評価でエビデンスを…という方向にシフトしてきたんでしょうかね….閑話休題.

なお,学会での発表者は西田氏(PD)で,科研費の研究の一環としてこの研究をされたようです.当該発表の著者7名のうち,共著者3名が三菱鉛筆の方だったので,てっきり企業が100%費用負担しての共同研究かなと思っていたのですが違うようです.改めてよく考えたら,三菱鉛筆が研究費を提供していた場合,科研費と他の資金とを混ぜた使用は色々と面倒なのと,利益相反(COI: Conflict of Interest)の関係で発表そのものが面倒なことになりそうですしね.

あと,引用ルールに基づいていれば,学会等で発表された内容は,著作権者に許諾を得ることなく引用を行うことが可能です.なので,三菱鉛筆さん以外のメーカーさんがこの報告内容を引用しても問題ありません(許諾を取るのが筋だとは思いますが).共著者に競合メーカーの人が入っていたとしても気にせず,有用なエビデンスはバンバン表に出して広めるべきではないかなと思います.アカデミアって元々そういうものですし,裏側で行われる企業間の特許の争いは別として,学会内ではライバル会社同士でも研究者同士は仲が良いことが多いじゃないですか.そしてお互いに研究成果で競い合って&高め合って良い成果を出してるじゃないですか.

話変わりますが,SARASA Rの最後の『R』って何処から来たのかな…と,思っていたら,公式によると『濃い、あざやかという英語のRichの頭文字から』だそうです.関係者でしたらSARASA Rのロゴを見た瞬間に『!!』と,思うと思うのだけど,ぶっちゃけ,立命館大学のロゴのRかなと思ってしまった.立命館大学の研究もベースにあるよという暗喩かなと(笑)

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