出先でも水彩を気軽に楽めるセット:ウィンザー&ニュートン コットマン ハーフパン12色水筆付き
急に絵を描くたくなることってあるじゃないですか.それもモノクロではなく,色を乗せた絵を.
最近は,凄まじい色数がラインナップされているマーカーやボールペンが出ていますので,ペンで描いた後でそれらを使用して色を塗ったり乗せるというのも良いと思います.見栄えの良い作品が手軽に出来るし,何と言っても道具の準備や片づけが楽.そしてツールの持ち運びも楽.でも,アナログツールとして,何かが『もうちょっと』足りない気がしてました.ただ,この『もうちょっと』が何処から来ているか考えると中々答えが出ませんでした.
意外とこの感覚,不便さと表裏一体なのかもとも思い,『少し不便な思いをした方が満足できる』なんて仮説を立ててみたけど,それとも違った.じゃぁ何だろう…と,思って何気に『コレ』を購入して使ってみたら氷解.そうなんですよ.『水彩画』っぽい出来を私は求めていたんですよ.同じ事を同じようにしても同じように出来ないかもしれないという感覚,そして何処かで派手に失敗すると全てが台無しになってしまうけど,小さな失敗をリカバーしつつ最終的にイメージ通り完成したときの達成感.そして文字通り透き通るような透明水彩のグラデーションや色が重なったときの綺麗さ.
とは言え,水彩はやはり準備や片付けが大変な感じがしますよね.5年ほど前に携帯水彩色鉛筆をレビューした通り,私も出来たら面倒な事は避けて通りたい.3年ぶりに新刊が出た『よつばと!(15)』でも,後片付けをするという交換条件で道具を買ってもらってましたしね.筆洗に水を入れ,チューブからニュッと絵の具をパレットに出し,描き終わったら道具を洗って綺麗にして乾かしてしまって…はやっぱり準備も片付けも大変です.
しかし,今は良い道具もあるんですよ.この辺りを端折れる.え?道具があっても画才がって?いいんですよ,楽しければ.自己満足上等じゃないですか.かくいう私も元旦に,下手の横好きを体現したかのような絵を披露してます(笑)
そのようなわけで,前述の『コレ』こと,『Winsor&Newtonの12色固形絵の具付きのパレット・水筆付きの携帯セット』をご紹介.
Amazonで購入したところ,おまけ付き.
『コットマン スケッチブック』が付いてきました.
270g/m2の細目,中目,粗目の画用紙が各3枚ずつ入っています.が,私はマルマンのミニリーフの画用紙を使うことが多いので,気が向いたら…ということで仕舞っておきます.
で,この製品,『WINSOR & NEWTON』ですよ.1832年創業のイギリスの会社ですよ.ある意味,入門用セットとは言え,これが2千円台で売られているのは驚きかも.
単純な輸入品ではなく,日本向け商品です.長いけど,『コットマン ハーフパン12色 水筆付き』が製品名.
裏側には説明書き.
そして中身はコレ.白の樹脂製ケース.500円玉と大きさ比較して分かる通り,かなりコンパクト.
本当はターレンス製品のような金属製の方が好みだけど,価格を考えると仕方ないかなと.ただ,『学童向けとは違うのだよ』的なオーラを纏っています.ないしは,『学童向けでも本物を使え』のような感じ.
こんな所にさりげなくメーカー名の刻印.印刷で…とか,周りからもメーカー名が目立つように色付きで…のような事がない点も高評価.
フラップ式に開くようになっており,ぱかっと開けると上側が普通にパレットとして使えるエリア,下側が固形水彩の絵の具と水筆を収納するエリアになっています.
純正の水彩はこのような二分割になっており,小さく収納できるようになっています.
使用時はこのような感じにセットします.タンク部分がそれなりに太さがあるのと,滑り止めの凸凹の加工がされているので,大きさの割に使い辛さはあまりありません.ただ,消耗品と考えると,ちょっと難があるかも.この水筆の入手性があまり良くないのと,純正以外でこのケースに収まる水筆が今のところ見付けられてません.消耗品なのに,大事に使わないと….
なお,パレット部分はペタッと開くわけではなく,このように絵の具側が斜めになります.
もしも卓上以外で使うのであれば,このようなスマホやタブレット用のリングをケースの裏に貼り付けて使うのも良いかもです.
そして絵の具は固形水彩で12色.
どのような色を好んで使うかは人によって違うし,題材によっても変わってくると思います.ただ,ベーシックな所が押さえられているように思われます.まずはこのセットでスタートし,あまり使わない色と(別途購入した)使いたい色を入れ替える形で,自分に適したセットにするのが良いと思う.
色数が多い方が良い場合,かなり大きくなるけど,24色セットもあります.あちらはメタル製.ん?普通なら1万以上するはずなんだけど,Amazonのココだと5千円を切ってるぞ.あと,エメラルドグリーンは入ってないけど,パーマネントサップグリーンが色的には近いぞ,よつば(ジャンボー)
水彩絵の具と言うとチューブタイプが一般的ですが,これは見ての通り,固形水彩です.
店頭でもこのような単位で売られています.
普通の文房具店では売られていないかもですが,画材屋さんにはあると思う.あと,京都のヨドバシの地下文房具売り場でも売られています.
パッケージから開けると,このように固形の絵の具と,それを収めたケースが現れます.
『紙ラベル剥がしてしまうと色の名前が分からなくなるかも…』と,心配に思われたかもですが,ケースの横に印刷されているのでご安心ください.ちなみにコレは,『ウルトラマリン』です.色見本の一覧は…世界堂のページが見やすいかも.
なお,WINSOR & NEWTONの絵の具は『青』とか『赤』のような単純な名前ではないので,名前を聞いてもどんな色かすぐに想像できないかもしれません.また,同じ緑でも,『インテンスグリーン』と『ビリジャンヒュー』の色の違いは?と聞かれても,私の語彙力では表現出来ません.モニタを通して見ると色味が変わる時があるので,店頭でパッケージの色を見て判断するのが一番かなと思います.
渡しの場合,今年度はコロナ禍の影響もあって旅行をせず,出張らしい出張も無く,という感じで遠出する機会がありませんでした.ただ,今後『旅行中に絵を描くかも』というときに持って行くセットとしては,コレとトラベラーズノートのパスポートサイズ,または画用紙リフィルを多めに入れたミニルーズリーフ バインダーのセットかな.なおトラベラーズノートの場合でも,画用紙ノートを使うのではなく,こんな感じで画用紙フィルを挟んでおく形で.
では,早速使ってみましょうか.一通りパッケージから取り出し,固形水彩を使える状態にします.
水筆は….
前述の理由で純正水筆を使うのが憚られたので,今回は百均の水筆を使うことにします.
水筆が一般化しており,ダイソーやセリアで普通に購入できるようになって来たので有り難い限り.
水筆のタンクに水を入れ,あとはティッシュを丸めておけば使うための準備完了です.
まずは色を見ようということで,一通り画用紙に色を乗せてみましょう.
固形水彩の上を水筆で少し濡らし,そして軽く擦ると筆先に色が乗りますので,後は紙に塗るだけです.また,実際に絵を描く際には,パレットの上で色の濃さを調整したり,混色をしたりもしますね.
それと使い終わった後ですが,固形水彩の方はそのまま放っておけばOK.表面が濡れていたものが乾いて元の状態に戻るだけです.パレットの方は,水滴が垂れるほど濡れていたら拭き取り等が必要になりますが,基本的には水筆のタンク内の水を捨てて収納したら,パッと蓋を閉じて仕舞えば良いので,片付けがめっちゃ楽です.
色はとても透明感があり,そして明るいクッキリとした発色です.凄く良い.下の写真では,撮影時のホワイトバランスの調整を少々失敗してしまっており,正確に伝え切れないかもですが.
なお,水筆で色を変える際には,チューブ部分を押して水を押し出し,丸めたティッシュ等で筆先を拭きます.手抜きすると色が濁るのでご注意を.あ,下の例でいうと,セピアの上に少しチャイニーズホワイトが乗ってしまっていますね(失敗例).あと,重ね塗りをする際には,きちんと乾いたあとで次の色を重ねましょう.
余談ですが,水筆はプラモデルの塗装にも革命を起こしていまして,水性アクリル塗料を使った塗装は水筆のおかげでメチャクチャ楽になっています.筆先を洗うために水を入れたコップかバケツを用意して…をしなくて良いのは,凄まじく楽です.
そうそう,『宮崎駿とジブリ美術館』,高価でしたけど購入して良かったです.初版特典のトートも先日届いたところ(^^
なお,現在Amazonでは転売屋が絶賛活躍中ですが,版元情報は『重版中』になっています.3月に出回る予定の第2刷は既に蒸発しており,第3刷(?)が4月中旬に市場に出回るようなので,買えなかった人はもう少しの辛抱です.近くの書店で予約して待ちましょう.転売屋に餌を与えてはなりません!!
で,『ほぉ~』とか『ふぅ~』等,恍惚とした表情でため息をつきながら,ゆっくり1ページずつめくって じっくり楽しんでいるのですが,そんな中に,宮崎監督の透明水彩の解説ページがありました.きれいに描くための注意点等も書かれているので,じっくり読んでみてください.実に参考になります.
あと,以前書籍の電子化で少し触れた,『宮崎駿の雑想ノート』や『泥まみれの虎』とかも,画集(?)として読んで/見ておくべきでしょう.
まとめ
久しぶりの水彩なのですが,実は固形水彩を使うのは今回がほぼ初めて.昔,別メーカーのセットを試しに少し使ってみたのですが,あまり続きませんでした.そのセットの発色が,あまり好きになれなかったのが理由です.しかし今回,WINSOR & NEWTONの絵の具の透明感のある発色の美しさを見た瞬間に,創作意欲という名の炎が燃え上がるのを感じました.まぁ気持ちに腕が追い付かないというオチも付くんですけどね(笑)
さて,まとめに入りますが,やっぱり『表現したい』と思ったときに,パッと実行出来るツールを持ち歩くのって大切だと思うんですよ.こちらのブログをお読みの方であれば,常日頃からメモ帳と筆記用具を持ち歩く必要性を十分に理解されていると思います.それと似たような感じです.流石にメモを残すような短時間でとは行きませんが,夜中に出先の宿で,ふと『描きたいな』と思ったときに描ける程度の機動力は欲しい.
そう言えば,このときは水彩パステルを使いましたが,このときも出張先の宿でふと思い立って…という感じでした.描くついでにブログにもアップしちゃえ!みたいな(笑)
そのようなわけで,何か表現したいけど水彩絵の具は準備も後片付けも大変で…なんて思っている方,『ウィンザー&ニュートン コットマン ハーフパン12色 水筆付き』オススメです.また,必ずしも出先で絵を描く必要はありません.家で描くときに使っても良いのです.このセットであれば,コンパクトに収納できるので邪魔にもなりません.そして『私には画才が…』というそこのあなた,絵は描いていけば,どんどん上手くなって行きますよ.気軽にチャレンジしてみてください(^^
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