好きな黒色を探し,気が付いたら全ての色を愛でているペン:サクラクレパス Ballsign iD/ボールサインiD
昨年末に発売になり,そして文具沼の住人の間で話題になり,そして案の定Amazonで在庫が一瞬姿を消しました.ただ,そもそもこの製品は限定製品ではなく,そして価格もリーズナブルな普段使い用のペンであったこともあり,Amazonも含めて順調にオンラインショップの在庫が復活しつつあるようです.
さて,サクラクレパスの『ボールサインiD』(公式)ですが,特徴は『様々な黒色インクがラインナップされている』こと.そして価格に似合わず(失礼!)デザインがクリエイター系のハイセンスな軸であることでしょうか.
インク色は6色あり,ボール径は0.4mmと0.5mmの2種類,合計12種類出ています.そしてボール経の違いで,軸の色がライトグレー(0.4mm)とダークグレー(0.5mm)に分かれています.そしてインク色に合わせてノック部分のカラーチップの色も変えられており,実質的に各軸は各リフィル(径・色)の専用軸になっています.Amazonでは,0.4mm径セットと0.5mm径セットとして売られています.おまけに6本セットで1,500円しません.これはもう,12種・12本全てを大人買いせよという神の啓示でしょう(笑).
が,何とかその欲求に耐え,まずはインクの色を見るために0.4mmの6種6本,そして(私が)おそらく気にいるであろう,0.5mmの青系インクのものを1本購入してみました.え?結局0.4mmは大人買いやんかって?まぁ,いいじゃないですか(笑)
と,いうことで在庫が復活して入手性が良くなったことですし,レビューしてみます.
と,いうことで,0.4mmのセットと0.5mmのナイトブラックです.前述した通り,0.5mmは(まずは)1本だけにしました.店頭ディスプレイが素晴らしいので,店先で見付けていたら,『ココからココまで全部』と,行ってしまったことでしょう.危ない,危ない(笑)
で,このような感じで,6種の黒色です.
クリップに隠れてしまうと見にくいのですが,後端のノックされる部分のカラーチップがインク色と同じになっています.
では細かく見てみましょう.
それにしても,軸色のライトグレー,とてもきれいです.一連の写真では少々ホワイトバランスが崩れてしまっているような気がしないでもありませんが,モニタの機種や設定でも色味は変わるしなぁ…伝えきれるかなぁ….と,いうことで,気になる人は是非店頭で実物を見てみて下さい.ホント,きれいなライトグレーです.
白だと汚れが目立つし,暗い色だと(当然だけど)明るくなくて沈んだ色になる.かと言って,カラーを全面に出すと派手になってします.で,その微妙なバランスをピンポイントで突いた繊細なライトグレーという感じ.『もっと明るく!』『今度は明るすぎ!』とか,調色もかなり苦労したんじゃないかな.そしてツルツル・テカテカなプラスティッキーな安っぽさが出ないよう,シボ加工もされています.滑り止めにもなって,握りやすい.
JAPANはココに.
少し残念なのは,ペン先のチップ.樹脂製なのですが,少し成形にムラがあり,凸凹や筋が目立つ感じ.まぁ使っている分には気になりませんが,軸と同じくらいのクオリティだったらなぁ…と,思うと少し残念ポイント.
"Ballsign ID"とボール径を示す刻印はこの位置.
無粋なシールは剥がしましょうね~.剥がされる前提と言いますか,糊が残らずキレイに剥がれます.
うん.良い感じ.
あと,軸の断面は鉛筆のような六角形ではなく,4角形のうちの向かい合った2辺だけをニュ~ンと引っ張って丸くした感じ.もしくは,6角形のうちの2つの頂点を削ってRを付けた断面と言いますか….2辺だけ直線で,2辺だけ曲線になっており,軸を握ったときに丁度ペンダコが出来る部分に曲線が当たるようになっています.長時間筆記の際に痛くなりにくい工夫.
0.5mm径の方はダークグレー色の軸です.見たままの印象を写真で伝えにくいのだけど,シボ加工が若干メタリックにキラキラするダークグレーです.焼鉄色とかガンメタル色に若干近いかもしれない.ただ,所謂重厚感が出る感じでは無いため,良くも悪くも重々しい高級軸のようには見えません.
並べるとこんな感じ.個人的には,カラーチップとのコンストラストがしっかり出るライトグレーの軸の方が,締まって見えて好みです.ペンの構造は一緒なので,好みの軸とボール径が一致しなくても良ければ,リフィルだけ入れ替えて使うというのも手かな.
分解するとこんな感じ.価格から考えても分かる通り,あまりコストがかからないような構造になっています.そしてリフィルは多色BP用/4C的な細いタイプではなく,若干インク容量の多い太いタイプ.不意なインク切れの心配をせず,安心感を持ってガシガシ使えそうです.
分解時に,細かなパーツがパラバラにならないようになっています.例えばバネがペン先のチップから外れないようになっていたりします.こういった細やかな心遣いは実に嬉しいですね.神は細部に宿る.
リフィル交換時に,『ピ~ン』とか言ってバネがどこかに飛んでいったら,泣くに泣けないですしね.
で,ノック時はオーバーハングしているクリップがカラーチップごとスライドします.ペン先収納状態は下のようになっており,カラーチップが飛び出ていてインク色が確認出来るようになっています.
そしてノック時はカラーチップがほぼ全部スライドして収納され,この状態で固定されます.
SAKURAの刻印はこの位置にあります.
なお,クリップは自身の剛性で挟み込むようになっていますが,構造上,厚めの革一枚分くらいの厚さがMAXな感じ.これ以上の厚さの物を挟むと,クリップ先端がかなり鋭角に曲がってしまうでしょう.
後ろから見るとこんな感じ.ノックする部分を鋼製のクリップが包んでおり,そしてカラーチップの間に隙間を作るこのデザイン,素敵だし強度・構造もとても工夫されています.素晴らしい.
さて,肝心の『色』を見てみましょうか.
下の写真は,一番上だけ0.5mm径で,その他は0.4mm径です.そしてカラーは『ナイトブラック』,『ピュアブラック』,『モカブラック』,『フォレストブラック』,『カシスブラック』,『ミステリアスブラック』です.
全て『黒系』という感じで,ブラックそのものの『ピュアブラック』を中心に近い色味で固めているかと思いきや,かなり個性のある色味です.その一方で,ハッキリと黒色から離れているわけでもない.単体で使われて『いや,黒ですよ』と言われたら『ん~.そうかなぁ』と,思わされるくらいの違いです.流石に下の写真のように並べたら,『ぜんぜん違う!』と,なりますけどね.そしてどの色も綺麗.
次にボール径による差ですが,しっかりクッキリ書きたいなら0.5mm,繊細に書きたいなら0.4mmという感じでしょうか.ナイトブラック同士の比較でも分かる通り,たかが0.1mmの差ですが,インクの乗った線の太さの違いはパット見でも分かります.ラフにザザザっとスケッチするような用途の場合も,0.5mmが合いそうですね.
まとめ
と,いうことで,サクラクレパスのBallsign iDのご紹介でした.
ビビットかつハッキリと色の違いを出す方向性ではなく,普段使いで最もユーザーが多いと思われる『黒』に狙いを絞り,『ただの黒では味気ない』と,常々思っている人をターゲットにした,実に素晴らしい製品です.特にスーツ族ですと,普段使いのインク色の選択肢は黒か青,少しひねった場合でもブルーブラックくらいまでに制限されます(ことが多いです).しかし,Ballsign iDであれば,ピュアブラックは当然にしても,その他の6色も普通に使えそうです.
そして全ての色が綺麗.実際に描いて色の違いを見て,ハートを撃ち抜かれました.『6色全て購入し,気に入った色を普段使いしよう.おそらくナイトブラックだろうなぁ』なんて思っていたのですが,実際に使ってみると,どのインクの色もきれいで,目移りしてしまって普段使いを1色に絞れなくなってしまいました.サクラクレパスの術中に嵌められた感じもしますが…良いでしょう.自らその罠に絡め取られ,全色使いすることにしましょう(笑)
と,いうことで,Ballsign iD,オススメです.まずは6色セットを購入し,気に入った色を探すつもりが全色気に入って全色使いになって下さい.みんなで沼に飛び込みましょうぜ(笑)
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