アンダー千円のプラモデルなのにジックリ楽しめる:ハセガワ 1/72 A4E/F スカイホーク
凝り始めたら際限が無い趣味って沢山ありますが,そのうちの一つがプラモデル.
パーツをランナーから切り出し,説明書通り組み上げれば見栄えの良いプラモデルが完成するガンプラなんてジャンルもあります.昔,グフカスタムの記事をポストしましたが,接着材すら使用せずにコレだけのものが作れるのは素晴らしいです.良い時代になったものです.
その一方で,下手をすると(?)40年近く昔の金型で未だに生産されているプラモデルもあります.当然昔ながら(?)の作り方が必要で,ニッパで切り出してヤスリがけし,接着材で貼った後でパテで穴埋めし…なんて感じで作ります.そんな労力をかける意味があるのか…なんて思われるかもしれませんが,手間をかけて細かな所まで作り込み,塗装もビシッとしたりした日には,神々しい後光が見えてくるようです.
そう,時間と労力,そして場合によってはお金も注ぎ込む究極の自己満足趣味なのです.
そして今回紹介するのは『ハセガワ 1/72 A4E/F スカイホーク』.元々の機体はベトナム戦争時に米海軍が使用したものですが,フォークランド紛争でも使用されてイギリスの駆逐艦を撃沈したりもしましたが,私と同じ世代の人は,トップガン(1986)で教官が搭乗し,トムクルーズが乗るF-14を追いかけたり追いかけられたりした機体…と,言った方が通じるかも.小型なのにペイロードが大きく,そして機動性も高いので爆撃機なのに敵戦闘機を撃墜した記録もあります.
語り始めるとキリが無いので,詳しくはコチラを参照.
ワタシ的にもとても好きな機体です.そしてこのハセガワのプラモデルも価格が安い(2020年現在でも800円くらいで売られている)こともあって,子供の頃から何度も製作したことがあります.おそらく5機近くになると思う.ただ,今まではササッと作って塗装して終わりにしてたけど,今回は気合いを入れて作ろうと思った次第です.
下の写真は結局半年近くかけてようやく完成した物.ちょっとずつ作っていたので完成が遅くなったけど,800円のプラモデルには見えないでしょ?
この1/72スカイホーク,とても特長が出ていて良い製品なのだけど,古い設計&金型のため,イマドキのプラモに慣れた目で見ると粗が目立ちます.
例えばシートはこんな感じ.金型の合わせ目に沿って『パーティングライン』という凸が出来てしまうのですが,それが結構酷い.そしてそれをヤスリで丁寧に削って平らにしても,シートの右と左で段差あり.
モナカのように2つのパーツを合わせて作る機体も,合わせ目がピッタリは合いません.ここも丁寧にヤスリがけ.
機首はパーツが歪んでいてうまくハマりません.これも古い金型のプラモの『味』です.
エアインテイクに至ってはこんな感じですよ.
こういった隙間はパテで埋めて綺麗にヤスリがけします.
いつも思うのは,1/72のパイロット.設計にCADなんて使えないしコンピュータ制御の加工機なんて無い時代に,よくこれだけのものを作ったなぁと.そんな話を大学のパイセンに言ったところ,『日本には昔から仏師というのが居てだね,米粒にも…』なんて話をされました(笑)
細い面相筆でもかなり塗装が難しい細かさなので,このくらいで許して下さい.
射出座席のイジェクトハンドル(黄色い部分)は元々は無かったので,真鍮線を塗装して作りました.こういった一手間加えるだけで,それっぽい雰囲気が出ますよね.
機首に板重りを入れて重心を整え,尻餅を付かないようにします.
ノーマルな色は面白くないし…と,思って色を変えてみたのだけど,結局3回塗り直した挙げ句に結局オーソドックスな『ガルグレー』に.下の写真はその試行錯誤中の物.空軍色です.
あと,古いプラモデルは『凸モールド』です.イマドキのプラモだとパネルの境目の表現凹になっていて,エナメル塗料を流し込むとうまく立体感が出ます(所謂スミ入れ).しかし凸モールドはこれがやりにくい.完成度のためには何だってするチョットおかしくなっちゃった人は筋彫り用のカッターで全部凹に掘り直したりもします.
流石に私はそこまで時間が無いので,そのままにします.
キャノピーの塗装はマスキングゾルを使用.
塗って乾かして塗装したいところだけ剥がします.
そしてスプレー塗装等してゾルを剥がすと綺麗にキャノピーの枠を塗装することが出来ます.
実機のコクピットも狭かったみたいなのだけど,プラモでもキツそうな感じが伝わってきますな.
キャノピーを接着して良い感じに.当然前面は半透明の青に塗装.
デカールも貼って一応これで完成.
前述のように凸モールドはスミ入れがしにくいので,『コピックモデラー』を使用.
上の写真と見比べてみて下さい.一手間かけるとグッと見栄えが良くなるでしょ?
さて,次は武装に行きますか.固定武装の20mm機関砲*2は機体に付いていますので,ぶら下げる方を.
ちなみにA-4はそのコンパクトな機体からは想像も出来ないほどのペイロードがあります.重量にして約4t.これは太平洋戦争で日本を焦土にしたB-29のBASICミッション時の爆弾搭載量とほぼ同じです.
全長30m,全幅43m,レシプロエンジン4発で定員11人の巨大な機体で運んでいた量が,全長12m,全幅8mの1名で運用出来る小型の機体で運べてしまえるようになるのだからジェットエンジンって凄いですな.
なお,パイロンは5つあり,ミッションによって搭載武装は変わります.そしてハセガワのキットには爆弾やミサイル,増槽が付いて来ているのですがイマイチな出来なので,別売りの武装セットを使うことにします.
『ハセガワ 1/72 アメリカ空軍 エアークラフト ウェポンI 』と『ハセガワ 1/72 アメリカ空軍 U.S.エアクラフトウェポンVI スマート爆弾セット 』を何箱も買い込み,つい勢いで他のセットも買って…などして気が付くと爆弾工場.
気が付くと,こんな感じを数ローテーションしていました….
ヤバイっすね.爆弾沼ですわ.
で,パイロンへの搭載はちょっと工夫しつつやっていたのですが,はやり強度的にちょっと厳しくて,光硬化の液体プラスチック接着材のBONDICを使用.いや~便利だわ.点付けして,ピカッと3秒程紫外線を当てればガッチリ固定出来る.
と,いうことで,Mk82(500ポンド/227kg通常爆弾)を山ほど搭載してみるテスト.30発なので合計6.8t.一番外側のパイロンは強度的にもこれだけ詰めないので,まぁ仮想設定と言うことで.格好良ければ良いんです.
爆弾の信管や本体に書かれている英語のメッセージ(超拡大すると実際に読めそう.米に文字を書くなんてレベルじゃ無いぞ,コレ),黄帯等があるとディテールが一気に上がりますな.
正面から.向かって左に出ている空中給油用のアームがワンポイントですな.あと,前輪の脚が長く,『強度的に大丈夫か?』な雰囲気.
まぁ実際には空母からの発艦や着艦も難なくこなしているので耐久性もあるのでしょうか,ぱっと見は不安に見える程長いっすね.でも脚が長いお陰で主翼下に十分なスペースが出来,沢山の武装を詰めるようになったようですが.
右側.
左側.
斜め後ろから.
こうして見ると,やっぱ積み過ぎですな(笑)
あと,男の子だったらやって見たいことの一つをやってみた.
スマート爆弾にはまだデカールを貼ってません.あと,20mm機関砲の砲弾を作って並べたかったんだけどな…(笑)
と,いうことで,インドア趣味のプラモデル,如何ですか?
あまりコストをかけず,長時間楽しむことが出来ますよ~.
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