tadachi-net 出張所

Amazonで購入したのですが，いつもの如くAmazonのバーコードタグが貼ってあります．外袋は真空パック用のアルミパウチなのですが，ERのように保護用の箱とはそういう物は無く，剥き出しです．

まぁある程度頑丈な素材なのでアレですが…詳しくは後述．

海外では箱に入って売られていて日本国内ではそれをバラして売ってるのかな…と，思っていたのですが，米国でもこの状態で売られているっぽいですな．

なお，Amazonレビューを見ると『5年保存って書かれてるのに残り2年の物が届いた』なんて話も書かれています．私の所に届いたのは(2018年10月着)残り3年半以上残っていたのでまぁ許容範囲かと．

成分は裏面に書いてあります．１つの塊で200kcalで，12枚入り．なのでカロリー的にはコレ１袋で概ね成人男性1名の1日分＋αの通常の摂取カロリーに相当します．体重によって代謝量が変わりますし，運動量によっても消費カロリーが異なるので，あくまでも目安ですが．

救難食糧ER（レビューはこちら）同様，国際海上人命安全条約（SOLAS条約）適合商品となっており，米国やカナダの湾岸警備隊等で使われているようです．

この手の救難用食糧のお約束ですが，食べ方や生き残るためのメッセージ等がパッケージに印刷されています．

このパッケージには英語とフランス語で書かれていますが，湾岸警備隊で採用しているという話のカナダの公用語は英語とフランス語．カナダ的には便利でしょうね．

『１人あたり１つのバーを6時間毎に食しなさい．少しずつ食べなさい』とのこと．

なので，200kcalのバーを1人が6時間ごとに1個で200kcal．24時間で4個で800kcal．これ１袋を1人の3日分，もしくは3人の1日分という感じで食いつなぎなさいという感じでしょうか．

海難であれば救命ボート内でじっとしているでしょうから，極寒でなければカロリー消費も抑えられそうな感じがします．

そしてこちらには命を繋ぐためのメッセージ．

簡単に訳すとこんな感じ．

『水を節約しなさい．

病気，けが，砂漠のような状態で無い限り，最初の24時間は水を飲んではいけない．最初の24時間が経過したら，１日あたり500ml以上は飲まないように．（水の）供給がほぼ尽きたときは，1日100ml以下にしなさい．海水を決して飲んではいけません，真水と混ぜても（飲んでは）いけません』

海で遭難した際の食糧として渡される可能性を考えると，とても重要なことが書かれています．海水を飲むと浸透圧の関係で脱水症状になるほか，余計に喉の乾きを覚えて苦しむことになります．

海で遭難したとききは，いくら喉が渇いたとしてもゼッタイに海水は飲んではいけません．

大事な事なので，反対側にはフランス語でも同じ事が書かれています．

原料は小麦粉，野菜のショトニング，サトウキビ，水，ココナッツ，そして食塩．

なんて感じでパッケージを眺めていたら…ん？

穴が空いてるじゃないですか．

真空パックの場合は包装がピチピチに締まってボディコン状態になってる筈なのに，ちょっとおかしいなぁと思ったらコレですよ．うーん．調べてみたら，同製品のピンホールがある物を高確率で引いた方がおられる模様．

ある程度の確率で包装に穴が空くことは仕方が無いけど，この製品って外装に穴が空いたら中身全滅なんですけど…．おまけに遭難時に『まぁこれ食って落ち着こう』って感じで出してみたら穴が空いていて全部痛んでました…なんて状態だと助かる命も助からない可能性が…．まぁクリティカルな部署だと定期的に検査してはいると思うのだけど，アメリカ人の適当さ大らかさはよく知っているので…うーむ．

そのまま捨てるのも勿体ないので，気を取り直して開けて見ましょうか．

アルミ包装された物って開けるのが強烈に困難な製品が多いのですが，これは上部に破るための切れ込みがあり，素手でも簡単に破れます．

遭難時とかって怪我をしているときもあるでしょうし，十分な道具が用意できないシチュエーションもあるため，素手で開けられるかって重要．

で，開けて見たらやはり穴が空いていた部分の中身が陥没してました．

輸送中か何かの際に，どこかにぶつけて穴が空いた線が濃厚です．

中身を全部出してみましょう．

何やらコルクマットのような外見をしていますが，小さな板が12枚個包装されて入っています．

１つ辺りの大きさはこの程度．推奨としてこれ１片を6時間毎に食せということですが，1個200kcal．これはカロリーメイト2本分に相当します．携帯性抜群で，ほぼ同カロリーのERよりも小さい．

『個包装』と書きましたが，それぞれは簡単にシュリンクされているだけでそ．この袋は簡単に破れます．AmazonのQAを読むと，この袋自身には保存用の機能はほぼ皆無（アルミの外袋を破ると中身が急速に劣化するので冷蔵庫保存してとの書き込みアリ）のようです．

食べてみる

穴が空いた時期は分かりません．しかし我が家に配達されたときよりも前であることはほぼ確実．するとワーストケースで17ヶ月間，穴が開いた状態で倉庫のような所に保管されていた可能性があるわけです．痛んでいる可能性がありますし，食べるのは危険です．

では，試食してみましょう（!!）

まずは匂いを嗅ぎ，一口噛んでみて強烈に痛んでいなさそうなことを確認しましたが，今後何かあったとしたら我の屍を乗り越え行け！（良い子は真似しないこと）

で，食感はと言うと，少し歯を立てると（歯を立てなくても指に力を入れると）ポロポロと崩れる感じで，ERのようなある程度シッカリ固められた粉っぽい落雁系とは異なります．この食感は…懐かしい感じが…そうだ！あげ潮だ！

浜松土産と言えば『うなぎパイ』が有名ですが，『まるたや』の『あげ潮』も是非機会があれば食してみて下さい．

そして『まるたや』の『チーズケーキ』がこれまた絶品なのですが，クッキー生地を砕いて使うチーズケーキの土台として，特別配合の『あげ潮』を使っています．

DX2400Fはこの食感にそっくりで，少し湿っぽさがあるような無いようなのホロホロしたポロポロです．

あと，（おそらくわざと）粒の大きさが均一では無いので，食感の変化があって食べ飽きにくい．地味に良く考えられています．そして肝心の味の方も，ココナッツ風味でめちゃくちゃ好み．これはマジでウマイです．極限状態に陥ったときのほぼ唯一の楽しみは食事でしょうから，『単に生き延びるための栄養摂取』以上の楽しみを与えられるか否かが，その後の生存率に影響して来ることも考えられているのでしょう．メンタルって大事．

そのようなわけで，『アルミ真空パックに穴空いとるやんけ事件』でいきなりミソが付いてしまいましたが，中身自体はとても素晴らしい物であり，携帯性・味・食感・成分共に万人にお勧め出来る物でした．ただ，長期保存のための要である外袋が破れる/破れていることがあり，破れると中身が全滅になるというアキレス腱を抱えていますので，

• 届いたら穴が開いていないか確認する（空いていたら返品）
• 避難袋などに入れるときは，中で擦れて/ぶつかって穴が開かないように工夫する

等の配慮が必要そうです．おそらく一番良いのは，適当な大きさのプラケースに入れて保管することでしょうね．

と，いうことで，（中身に関しては）DATREX DX2400F EMERGENCY RATION，超オススメです．

※現在販売中の『DATREX DX3600F EMERGENCY RATION レーション』リンクはこちら．