リフィルを変えてmini5の延命を図る(2)
このエントリーの続きです.
日本能率協会から見捨てられたリフィルが販売されなくなったmini5の延命について.今回はシステム手帳の本家本元と言えるファイロファックス(Filofax)のリフィルを試してみました.
『システム手帳のサイズ』と言えば『バイブルサイズ』がスタンダード.そして『システム手帳のメーカー』と言えば,真っ先に挙げられるのが英国の『ファイロファックス』です.始まりは1910年とのことなので("Filofax"になったのは1921),今年(2016年)で106年.1世紀以上の歴史があるわけです.流石大英帝国ですな.
で,これだけの歴史あるブランドともなると,驚愕のエピソードも枚挙に暇がないわけです.一番有名なのは,ノルマンディ上陸作戦の際に将校が胸ポケットにバイブルサイズのファイロファックスを入れていたところ,これが敵の銃弾を止め,命拾いをしたというもの.日本でシステム手帳が『ファッション』としてブームになったバブル期に,このエピソードがよく宣伝文句に書かれていたように思います.この他,秘書グレース・スカールの話とかも有名ですね.
『重要な情報全てをこの1冊に集約して記録』といった使われ方がされるシステム手帳ですが,そのために必要なのはキャパシティ.バイブルサイズやA5サイズ,かつ,バインダー径の大きい物が好まれたのは,こういった事情です.しかしその一方で,『手帳は持ち歩く物』ということで携帯性を重視する風潮もあり,その流れでmini6やmini5が出た…ということだと思います.
システム手帳の歴史はFilofaxの歴史であると言って良いと思いますが,mini6は1989年に.そしてmini5は1996年に出ています(ついでに書くと,A5サイズは1993年).そんなわけで,mini5も『本家』にラインナップされているサイズであり,一番の新参者ではありますが,それでも23年の歴史があるわけです.
と,いうことで,Amazonにはmini5サイズが無かったので,本家のリフィルを楽天にて2種類ポチってみました.一つは見開き一ヶ月のマンスリーブロック(17-68110).そしてもう一つはイヤープランナー(17-68108).
まずは見開き一ヶ月のマンスリーブロック(17-68110).
"ENGLISH"と書かれていることも分かる通り,ワールドワイド仕様の英語版です.しかし,『ミニ 見開き一ヶ月』と,日本語のシールが貼られていることからも分かる通り,日本向けの製品です.
このように,『共通の英語版のリフィル』に『その国の祝日の書かれたシール』をバンドルすることにより,ローカライズしているというわけです.スマートではないけれど,実用的かつ無駄が無い.賢いと言えば賢い方法ですな.
ユーザ側から見たら,『シール付きの日本仕様』が販売されなくなったとしても,輸入すれば英語版は入手出来る可能性が残るので,今の私が置かれている状況が回避出来る可能性が高くなるというメリットもあります.
1枚目は表紙.印象的には,『蛍光バリバリの真っ白な紙と,ビシッと締まった漆黒のインクで印刷された文字の織りなすエッジの利いたコントラスト』ではなく,少し落ち着いた…悪く言うと,少しくすんだようなマイルドなコントラストです.
あと,フォントは私の好みです.固すぎず崩れすぎずで可読性も良好.
そしてめくると2018年のカレンダーがあり,個人情報を控えておくページが続きます.かかりつけの医者や歯医者を書く欄もある辺り,素性としてあちらの製品であるという雰囲気を醸し出していますな.
そして様々な国の祝日一覧.
こんな感じにミッチリ書いてあります.
イメージ的にFilofaxって飛行機で飛び回るビジネスマンの利用率が高いと思うけど,流石にmini5に(ただでさえ容量が少ないので)この情報を入れて欲しい人って少ないんじゃないかな….
そして各国の貨幣等の情報が続きます….
個人的には,理科年表(←Amazon見に行ったついでに来年版を予約したのは内緒だ)の方が眺めていて楽しめると思うのだけど…流石にmini5には入らないっすね.
当然ながら,日本の項目もあります.
そしてノートページがあって,filofax関連の諸々が続き…
続き…
続き…
ようやくメインディッシュへ.
国産のリフィルは各日の筆記エリア(箱)を少しでも大きく取ろうとしているようなレイアウトですが,filofaxのは割り切っている感じです.アルファベットの方が漢字よりも単位面積当たりの情報密度が少ないので,スケジュールをこの面積に書こうとしても書き切れない→どうせ書けないから無理せずにスッキリしたレイアウトに という流れなのかもしれません.
なお,むか~しにfilofaxのリフィルを試したことがあったけど,当時からこのレイアウトだったかは覚えていません.
ページの上にはカレンダー.左ページには前の月.
右ページの上には翌月のカレンダー.スペースの狭いmini5なのに,贅沢な面積の使い方ですな.
そしてこの位置にビシッと『filofax』の印刷.でも,デザインとして溶け込んでいて気になりません.
そしてバインダーの穴の所にも.
左端には縦一列にマンスリー.ガントチャートとして使えそう.
最後に別製品の広告.
国内メーカーの場合は必要なリフィルのみ入っているシンプルなものが多いので,余計な物(失礼!)がゴチャゴチャ入っているのは新鮮です.
では,バインダーに入れてみましょうかね….
色はクリームではありません.日本能率協会のリフィルと比べるとこんなに違います.また,前述した通り,1日の箱の面積がかなり違います.で,バインダーに入れようとしたら何故かちょっとキツイ…(理由は後述).
今までは蛇腹式のリフィルを使わなかったのだけど,複数日に渡るイベントが増えてくると,やはりこの手のリフィルが便利だなぁと思い始めて来年から実戦投入予定.
マンスリーブロックは『日』単位や『曜日』周期の予定は確認しやすいけど,週を跨がるスケジュールは少々見通しが悪く感じます.『○月○日から△日間』のような線を引く場合は,やはりシーケンシャルに日にちが連なった用紙の方が書きやすいし見たときに直感的に把握しやすく感じます.
『YEAR PLANNER』で『english』かつ『vertical』.
『コットンクリーム』と書かれている通り,用紙の色は少し黄色かかっています.色味的には,少し茶系に日焼けしてくすんだ紙…という感じかな.うーむ…自分で書いておいて何ですが,こんな書き方をするとあまり綺麗な色に思えないですな.
そしてこちらも祝日はシールでローカライズするようになっています.
畳んだ状態ではこのように1枚物.そして一ヶ月が縦に並んでいます.
パタパタと広げるとこのような感じに.片面6ヶ月で裏表で1年.
特別頑丈な紙ではないし,パンチ穴も補強されていません.でも,薄い紙ではないので,丁寧に扱えば1年くらいは破れずに持つ程度の耐久性はありそうです.
曜日,日付,満月/半月/新月が書かれており,土日だけ色分けされています.そして月曜だけ,右側にその年の何週目かの数字.
では,ローカライズを開始しましょう.
『あっ』(絶句).
高さが合っていないので貼るとはみ出します.そして,連続した日に貼ろうとするとこの通り重なります.
別に使えないわけでは無いけど,日本人的な感覚では,ちょっとコレはないよなぁ….祝日は薄い色のマーカーで塗ったり手書きで書いた方が見栄えが良いし実用的だと思う.
あと,filofaxはリフィルのサイズが少し違います.
奥側がfilofax,手前がAshfordのリフィルなのですが,バインダ側に1ミリ少し幅広です.この微妙な差が,前述の通りバインダーにはめるときの違和感に繋がったり,ページを繰るときに引っかかったりする原因になり,使い勝手が微妙に悪くなる結果に.
そして外側にもかなり広がります.下の写真はバインダに挟んで少し面した状態なのですが,Ashford(奥側)よりも数ミリ外側に広くなっているのが分かると思います.
ただ,『ジャストリフィル』仕様のバインダーに普通サイズのリフィルを挟んだときのように,手帳を閉じたときに手帳からはみ出す程は酷くありません.
と,いうことで,慣れてしまえば気にならないのかもしれませんが,
- 有効な筆記エリアが狭い(例:マンスリーブロックの各日の箱の面積が狭い)
- 祝日のシールを貼ろうにもかなりハミ出してしまう.貼る気にならない
- リフィルのサイズが少し幅広でバインダーが窮屈
という点がワタシ的にはマイナスポイント.
一方良い点としては,
- 『Filofax』なので,カレンダーリフィルが突然廃番になる危険性は少ない(と,思う)
- 印刷されている文字がとても読みやすくてデザイン的にも良い
辺りでしょうか.
『Filofax』というブランドに絶対的な安心感が感じられれば,『足を靴に合わせるのだー』的な方向に行くこともありかなと思います.しかし,やはり毎日使う物ですから,細かな所も出来るだけ妥協したくありません.
そんなわけで,別の環境への全面移行を本命の作戦としつつ,保険として,とりあえず今回購入したリフィルを入れて今年いっぱいmini5を使ってみて,大きな不満が出なければ来年も継続してmini5を使う方向で考えています.
難民の旅はまだ続くのです….
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