劇場で観るべし:『君の名は。』
こんにちは.数年ごとに公開される新海誠の作品を『ほしのこえ』から毎回楽しみにしている者です.
今回も,『もうそろそろだよなぁ』と,思っていたら,バンバンTV CM流れるし,凄まじく広報に力が入っています.超メジャー級扱いです.昔は『(新海誠の)作品は素晴らしいのにあまり広く知られていない.もっと大勢の人に観て欲しいなぁ』なんて思っていたけど,映画館で満席になっていたりするのを見ると,何気に寂しくもありますな.
で,金曜に休みを取り,『公開初日の1回目』の上映を見に行ったわけですが,今作はこれまでの新海誠の作品の中で最高傑作です.これまで通り,その艶のある美しさにうっとりとする背景画や自然物の動きに加え,最初から最後まで息をつかせないストーリー展開,そししてスクリーンの中で命を吹き込まれて生き生きと動いているキャラクタ達.素晴らしい,実に素晴らしいです.
『TV CMが過剰に流れる映画は地雷の法則』(by tadachi)があるわけですが,この作品はこの法則に反しています.自信をもってお勧め出来ます.みなさんも,こんなブログを読んでる時間があるのなら,今すぐ映画館に行くべきですよ!!!
ネタバレにならないように(ポスターに描かれているシーンでさえも,ネタバレにならないように色々と考えられているし…)予告編で公開されている話を列挙すると…
- 主人公は高校生の男女
- 女の子は飛騨の山奥に住み,都会に憧れている女の子
- 男の子は東京に住む子(風景から考えるに,四谷辺り?)
- 寝て起きたら体が入れ替わることが何度か発生
- 入れ替わっているときに色々と面白いことがある
- 千年周期の彗星が飛来するときに何かが起きる
この他にも細かな話を1つ1つを並べると,映画好きな人であればどこかで聞いたようなネタが散りばめられています.そんなわけで,観るに際して一抹の不安を感じるかもしれません.しかし,実際にこの映画を見始めると,そんな不安はブッ飛びます.そして所謂『起承転結』な盛り上がり方をするのではなく,いきなりトップギアでグイグイ引き込まれ,このまま最後まで行くのかと思いきや,更にオーバードライブで話が展開していくという感じ.一秒たりとも飽きさせません.先の展開をじっくり予想する余裕すら与えません.情報の飽和攻撃を使わずにこの展開って凄いわ.
で,最後は身悶えする感じで『あぁ,「秒速5cmメートル」の再来か…』と,思いきや….ここから先は劇場でどうぞ.
一応不安に思われないように書いておくと,2007年の作品の『秒速5cmメートル』が,9年の歳月をかけてようやく完結した…という印象を受けました.昔『秒速5cmメートル』を観て悶々としてしまった方は,『君の名は。』を見に行くべきです.そして最後に幸せな気分に浸り,この9年間の空白を埋めるべきであります.
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ストーリの話はこのくらいにして,その他の部分についての感想.
前述の通り,新海誠の作品は背景や自然物の描き込みは天才的に素晴らしいけけど,キャラの描き込みが(その美しすぎる背景と比べて)少し浮いてるかな…と,昔は感じていました.環境ビデオ的に心で観る映像っぽい感じと言いますか….でも,そういった流れが『雲の向こう、約束の場所』で大きく変わり始め,『星を追う子ども』で羽が生えた感じがします.そして今作で突き抜けた感じ.
今作で初めて新海誠の作品を観た人は,『こんな天才,今までなぜ埋もれてたんだ?』という印象を持つかもしれません.
そうなんですよ.『宮崎駿の作品』とか冠につくと,もうそれだけで成功は約束されていたわけです.今なら(『サマーウォーズ』や『バケモノの子』の監督の)『細田守の作品』と冠がついても同じような感じ.でも,『新海誠』はまだそれ程メジャーではなかっただけで,同氏による秀作の劇場アニメは沢山あるんです.興味を持たれた方は,上記の2作品や『言の葉の庭』,『ほしのこえ』もチェックしてみて下さい.
既に一部では,『ポスト宮崎駿の…』なんて担がれ方をしています.しかし個人的には,全然方向性の違う天才だと感じています.『宮崎駿的なアニメ』を求めて新海誠の作品を観てはいけません.商業的なキャッチフレーズとしては便利かも知れないけど,変な色を付けないで欲しいなぁと思う次第でございます.
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映画の話とは少し話が逸れますが,素晴らしい作品なり製品って,一人,もしくは少数の天才の影響力で出来ているんじゃないかなと思います.
その一方で,一般的な企業文化では『属人性』は忌み嫌われるものであるし,特に日本的なリスク最小化&調整タイプの意志決定機構を通ると,最大公約数な平凡なもの,もしくは余計な物がコテコテついた最小公倍数的な製品もしくは作品になってしまいます.そうすると,今一つ特徴がなくてぼやけた当たり障りのないものになりがち.これってつまらないよね.
その一方で,天才のセンスや才能ってものは普通の人が身につけることはまず出来ないし,伝授できるものではないし,秀才が大勢いても一人の天才に対抗できるものではないよね…と,思うわけです.
最近のAppleやジブリの流れを見ていて感じるのは,天才に頼っていた部分を,その人が抜けた後でも維持するのは極めて難しいなということ.やはり天才を見つけて引っ張ってこないと色々と難しいんじゃないかなぁ….
と,いうことで,日本の誇るアニメーションの劇場向け作品の世界では,新海誠と細田守が今,そしてこれからを支える天才だと思うわけです.あ,庵野秀明もシン・ゴジラ(*)を作ったことで気力を取り戻し,燃え尽き症候群から復帰して,エヴァの次回作を是非素晴らしい物にして欲しいなぁ….
(*)シン・ゴジラも観たのだけど,テンポが良いし散りばめられた小ネタも素晴らしいし,凄まじく面白い作品でした.ただ,パンフを買おうとしたら品切れ.通販を調べてみると,2~3倍の価格が付いていることもザラです.転売屋め…と,思っていたら増刷かかって今回無事に劇場で購入できました.パンフも素晴らしい内容でしたので,買いそびれた人は今一度劇場の売店に行ってみて下さい.
そんなわけで,『君の名は。』を観に行こうか迷っている人は劇場にGOです.観て後悔はしないアニメ映画ですし,今後も語り継がれる名作になることでしょう.
あと,観終わった後で『円盤が出るまで待てない!』と,言う人は,書籍になりますが,『新海 誠Walker ウォーカームック』と『新海誠監督作品 君の名は。 公式ビジュアルガイド 』の購入をオススメしておきます.前者は新海誠の素晴らしい映像美の数々を再体験することが出来ますし,後者は今作をじっくり味わい直すことが出来ます.なお,ストーリーも一通り追えるようになっているので,特に後者は映画を観てから読みましょう.それと小説も.
さて,来月は京アニの聲の形も観に行かねばっ.こちらは原作も素晴らしいし,良い作品になる予感.予告編を観ただけで泣けます….
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