実によく考えられているフィルム付箋:カンミ堂のスッと立つふせん『スット-SUTTO-』
発売直後に調達し,出張の折に東急ハンズで別のカラバリを買い増しし…とかしていたら,すっかりレビューが遅くなってしまいまして候.少々時期を逸した感もありますが,まぁ気にせずに書くことにします.
今回紹介するのは,『名は体を表す』と,言いますか,そのものズバリ過ぎるネーミングで,捻りがなさ過ぎるように感じるのが実は捻ってるような気がしなくもない『スッと立つふせん スット(SUTTO)』という付箋です.卓上で付箋を使う際に便利なツールです.
リーガルパッドっぽい黄色い背景に黒い罫線,そして縦一文字の赤い線.店頭で目を引きます.
文房具好きな人であれば,ネオジウム磁石並の強力さで吸い寄せられることでしょう.
裏面に説明書き.
詳しくは後述しますが,思い付きやノリで開発した製品ではなく,実に細かな所までよく考えられている製品です.
上記用紙の裏側には,イラスト入りで使い方が詳しく書かれています.
そしてこれが本体の裏側.
ロール状の70枚のフィルム付箋が下部に収納されており,両サイドから金色のワイヤーがコの字型に出ています.
表面.台紙に貼られた黄色い部分は,ロールから引き出されたフィルム付箋です.
普通は一枚/一片ずつ取り出したりするわけですが,この付箋は6枚が台座に貼り付いた状態でスタンバイしており,必要に応じて任意の長さで(例えば2片一塊とか,絵を描いて6片一塊とかで)切り取るようになっています.
このように,リフィルは透明の筒状のケースに収納されています.
リフィルの交換は,コの字型のワイヤーを外し…
横にスライドさせて行います.そして収納後,6枚引き出して台座に貼り付けてセット完了という感じ.
付箋に何か書く際は,机に寝かせて書くようになっています.こんなとき,台座がツルツルと滑ってしまうと片手で書きにくくて仕方がない.
しかしスットでは,このように台座の裏側に小さなポツポツが付いており,滑り止めになっています.筆記時に手を添えなくても動かないので,実に快適です.
そして素材はドライな素材であり,ゴム系のようにベタベタしません.ゴム系は加水分解の恐怖があるので,実にありがたい.
メイド・イン・ジャパンです.
筆記時はこんなスタイルで(下の写真ではワイヤーを抜いていますが,別に抜かなくても良いです)書きます.白い部分はフカフカのマット状になっており,実に書き心地が良いです.
この横罫1本分が1片の付箋になっています.1片は12mm*42mm.書き込みを行うという意味では,手頃なサイズです.
あと,この台座がこのサイズになっているのには意味があります.必ずしも付箋を1片ずつ切り取って使う必要は無く,この台座のサイズ,つまり6片を一塊として使っても良いわけです.例えばイラスト入りのメモを描いたりしても良いわけです.
このような使い方は,1片ずつポップアップ式で出てくる通常のフィルム付箋では真似できません.当初は『何故こんなにデカくしたのかなぁ』とか思っていたのですが,使ってみたら目から鱗.
フィルム付箋なので,水性インクでは書けません.万年筆もNG.
鉛筆か油性BP推奨.
ワイヤーを後ろ側に回してスタンドにし,本体を立てます.この角度で立ちます.直立と言っても良いような角度.設置面積をあまり取らない点は良いけれど,少し手元から離さないと見にくいデス.
ToDoを見える位置に張っておくための最大6件までのボードとしても使えますが,FIFO(First-IN First-Out)型なので途中を1枚切って…とか,順番を入れ替えて…ということをやりにくい構造です.
『最初に6片取り出し,全てを切り離した後にもう一度貼る』のような使い方をしても良いのだけど,それならこちらでレビューした製品の方が便利.
1片ずつ破る場合,このように『ハサミマークの点線』の所まで付箋を引っ張り出します.この際に,特にメカニカルな仕組みがあるわけではないのですが,1片ずつカチカチとミシン目毎に軽い抵抗があります.そのため,丁度良い位置まで引っ張り出しやすい.引き出す部分の角度のみで実現しており,シンプルで壊れない.実に素晴らしい設計です.
そして切り欠きのように,斜めにカットしてある右上の部分も秀逸.引き出す際に,付箋の端を容易につまめます.フィルム付箋の場合,平面にペタッと貼り付いてしまうと剥がしにくいのですが,スットではそういう心配がありません.よく考えられています.神は細部に宿る.
ペリペリペリッと千切ります.
一片はこんな感じ.全面付箋になっています.
今回購入したのは,
リーガルパッドのような
スット イエロー,
スット ブルー
,
そしてそれぞれのリフィルの
スット リフィル リーガルイエロー
と
スット リフィル スアクアブルー
です.
カラバリとしては,これらの他に,薄いストライプのピンク色であるスット クリーム
もあります.しかし,この柄は私が使っていたら違和感が…ということで購入せず.
スット ブルーもイエローと構造は同じです.台座のカラーがブルーになり,リフィルもブルーがセットされている点のみが異なります.
滑り止めの付いたこのパッドも色を含めて同じ.
リフィルは3本入りです.なので,70*3の210片.
リフィルは互換性があるので,青い台座にイエローという組み合わせも出来ます.
ついでに書きますと,こちらで紹介したペントネのリフィルとも互換製があります.
スットは面積が広いけど,薄いので収納性・携帯性もマズマズ.使い易いし,スットの方を持ち歩こうかなぁ…なんて思い始めています.
それにしても,リーガルパッドのデザイン,カラーには心惹かれる物があります.
ワタクシは,いつもコストコでA5サイズのリーガルパッド24Padセットを買っています.たまに在庫切れになっているので,結構ユーザーが多いのかな.
一点だけスットの悪い点を書きますと,このワイヤー型のスタンドの固定方法.
スットを立てる際にはこの位置で固定するわけですが,他に角度を取ることが出来ません.完全フリーかこの角度の二択になります.
『もうちょっと寝かせた角度で立てたいな…』と,思っても,出来ないんです.無理矢理寝かせようとすると,このように撓むだけです.
台座の下の方で幅を絞り,ワイヤーを両サイドから挟むような構造にしておけば,台座左右に切り欠きを数カ所用意することにより,立てる角度を複数選べたのにな…とか思うとちょっと残念であります.
気が向いたら自分で加工してみようかな.
と,いうことで,まとめ.
紙製の付箋と比べた際に,フィルム付箋には,『貼った際に下が透けて見える』という大きなアドバンテージがあります.とは言え,通常は『単に貼るだけ』のような使い方はしないでしょう.おそらく,付箋に何か文字なり絵なりを書き込み,それを貼り付けていることでしょう.
フィルム付箋は,紙製の付箋のように重ねてしまうと,一枚ずつ取り出しにくい/剥がしにくいという問題があります.そのようなわけで,ポップアップ式やロール式の物が大半です.
ところが今度は,ポップアップ式やロール式になってしまうと,構造的に『取り出す前に書く』ということがしにくくなってしまうわけです.貼った後で書いても良いのですが,貼る先によっては心理的に抵抗がありますよね.紙製の付箋であれば,束にして積んでおき,上からそのまま筆記出来のですが….
そんな悩みに対する解が,スットではないかと思うわけです.
適度な大きさで常に引き出してあり,即書き込み可能.筆記時にはフカフカした下敷きのお陰で書き心地が最高.そして裏側の滑り止めのおかげで,保持せずに片手で書いてもズレない構造.付箋のサイズも用途に合わせて自由な長さにカットして使用可能.普段は立てておけ,設置面積も最小限.極小のToDoリストスタンド的にも利用可能.
その一方で,スタンドの角度が調整出来なかったり,(フィルム付箋なので仕方が無いのですが)水性ペンで書き込めないといった短所もあります.しかし,先に挙げたような数多くの長所が短所を補って余り有ります.
最初はデザインにビビッと来て購入に至ったのですが,思いの外よく考えられている実用的な製品でした.オススメです.
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