ThinkPad Yoga 260を使い始める
これまでは出先仕事をする際に,こちらでレビューしたThinkPad E130を主に使っておりました.3年も前のマシンではありますが,SSD512GB+mSATA 256GB+16GBメモリというプチ贅沢環境ということもありまして,深刻な不満はありませんでした.
この他,出先仕事の内容によってはMacBook Air 11inchのみ,もしくは両方持って行ったりすることもありまして,打ち合わせ場所の想定によっては,ASUS MB169B+
も持って行くという感じでした.
このモニタ,すごく便利です.小型軽量だけどUSB1本で繋がって電源供給もUSB経由.大きさは15.6inchなので,数人の打ち合わせのときに丁度良い感じだし,Full-HDなので,宿では作業用のメイン/サブモニタとしても便利.開発環境って特に解像度食いなのが多いので,広くないと使いにくいのです.ノートPCの1366x768だと,障子に穴を開けて覗き込んで…という程極端では無いけど,窮屈です.Full-HD万歳.
MB169B+の前はOn-Lap1502Iを使っていたのだけど,こちらはHDMI接続出来るので相性問題が起きにくく,USBで繋ぐとタッチパネルにもなるという付加価値があったけど,MB169B+と比べると大きくて重いので,出張の友はAsusに.ASUS MB169B+
,オススメデス.
と,こんな感じだったのですが,新幹線で周りを見渡すとカミソリの刃のような薄型PC人口が次第に増えて来ております.そんなある日,二軍選手だったLenovo Yoga 13を使って客先でデモ&ディスカッションする機会がありまして,液晶がくるっと回る『コンバーチブル型』の便利さを実感.更には画面タッチでプログラムを操作したり,画面に絵を描いてディスカッションしたり…と,いうことで,タッチパネルの打ち合わせでの有用性も実感.『こんな機能,何に使うの?』とか『デザイナーくらいしか便利に使えないんじゃないの?』とか思っていたのに,目から鱗でした.
で,期末と言うこともあって,E130のリプレースを検討.流行としてはSuerface系が盛り上がっておりますが,完全に液晶とキーが分離するセパレート型は避けました.よく同僚が膝の上で使おうとして液晶だけ落としてますので…(^^;
発注時期としては2月上旬だったので,ちょっと興味のあったWiGigオプションは付けられませんでした(Web上にBTOメニューで表示されていたと思うけど,選択するとエラーになるという状況だった.サポートセンターに電話すると,3月から選べるオプションが表示されていたということで,その場で即座に非表示になりました.仕事速いなぁ).あと,E130のときは『これでもか!』というくらい開腹して色々と換装/増設しまくったけど,今回はBTOでお大尽仕様にしただけで,本体その物に関しては(今の所)ドノーマルです.
PCIe-NVMe SSDで1TBの物が安く出たら換装もアリかも…とか思っていますが,まだちょっと先かな.
と,いうことで,Yoga 260および『コンパーチブル型』の布教活動開始.
私がBTOで調整した項目はこんな感じ.
- Core i7-6600U プロセッサー (2.60GHz, 4MB)
- 12.5型FHD液晶 (1920x1080 IPS) マルチタッチパネル(10点)
- 16GB PC4-17000 DDR4 SODIMM (1スロット使用)
- 512GB ソリッドステートドライブ (PCIe-NVMe)
この他,後でThinkPad Pen ProとPen Pro-2を後から買い足しました.
標準でPen Pro-2が付いてくるかと思っていたのだけど,別売りだったんですね.詳しくは後述.
で,ThinkPadと言えば,このベタッとした無骨なフォルムですよね.私のThinkPad歴は…長くなりそうなので止めときましょう.昔の機種で言うと,ThikPad220を個人で欲しかったなぁというくらいからの付き合い.
今回まず気付いたのは,Lenovoのロゴが柔らかい感じになっていること.調べてみたら,昨年変わったんですね.個人的には新しい方が好きな感じ.
ボディに輝く『ThinkPad』は品質の証.そしてこの赤い所がLEDになっており,電源の状態やスリープの状態のインジケータとして動くのはE130と同じ.
単に本体の横にLEDを配置したら安上がりだし実用上問題無いのでしょうが,こういう無駄に凝ったところも好きだなぁ.
本体左側.カスタマイズでスマートカードリーダーを付けられます.
付けたは良いけど,まだ使ったことが無いのは内緒だ.
右からPowerd USB 3.0ポート,Mini DisplayPort,Lenovo OneLink+ポートが並びます.
反対側面の写真に行く前に書いておくと,『標準ポートは全て本体に搭載』という場合に必須な,『標準VGAポート』と『Etherコネクタ』はありません.
例えばVAIO S11のページでは『"実際"の現場要求に応えた"ビジネス全方位"設計』という下りで触れられていますが,やや古い設備の会議室に行くと,標準のVGAしか使えないプロジェクタが現役です.また,ノマドな環境で無ければ,セキュリティの問題で,ネット接続はWiFiではなくて有線接続が普通です(異論は認めない!).
私の会社では野良無線APを一時的にでもこっそり立ち上げると(スンマセン…),セキュリティ部門の人が速攻で警告して来るしなぁ….
まぁそんなわけで,これらポートも搭載して本体だけで自己完結するのが理想なわけだけど,Yoga 260では+αな機器が必要になる場合がありますヨということで(便利な周辺機器に関してはまた後日).
そして左側のヒンジに近い部分に角形の電源ポート.古くから見慣れたThinkPadの丸形では無く,角形です.
裏側.
バッテリは内蔵で交換不可.ファンレスでなく,また,ちょっと重い処理するとファンが頑張り始める感じ.放熱は大事.フィン一杯.
本体右側.セキュリティチェーン用の穴,HDMIがあり,
USB3.0ポート,microSDスロット,ヘッドホン端子,専用タッチペンの収納用ホールが続きます.
メモリカードがmicroSDって所がちょっとアレですな.フルサイズのSDカードスロットであれば,出先でデジカメ画像を確認したりコピーしたりするのも楽なのだけどなぁ.デジカメの方をmicroSD+SDカードアダプタの構成にしてしまおうかなぁ.
あと,microSDスロットの下はSIMスロットです.詳しくは後述.
更に手前を見ると,ボリューム調整用のスイッチと電源スイッチが続きます.
で,先のSIMスロットはこんな感じにアダプタを引き抜けます.SIMを入れることが出来ます…が,日本向けモデルではWANカード付きをBTOで選択出来ません.それとアンテナも配線されてないので,別モデルのように『対応WANカードを購入して挿すだけ』というわけには行かない模様.
しかし,Huaweiのカードを改造して動くようにした猛者も居るようです.凄いなぁ.ガッツあるなぁ.
あと,標準で1本付いてくると思っていた2048段階の筆圧対応の充電式Pen Pro-2ですが,直販モデルでPen Proをチェックしていないと,このように蓋だけ付いて来るようです.うーむ.あれは追加のペンでは無いのか…(Pen Pro-2以外にPen Proという周辺機器もあるので,追加で購入出来る別物だと思っていました.少々紛らわしいな…)
で,私と同じ目に遭った人は,こちらの直販からオーダーしてみて下さい.型番は4X80K32538です.
Core i7のシールと(最近あまり耳にしなくなった)UltraBookと書かれたシールが貼られています.気になる場合は速攻で剥がしましょう.
本体のアームレストの所にもThinkPadと光り輝くロゴがあります.この赤ポチもケース外装の所と同様,LEDのインジケータになっています.
Yoga260に採用されているFull-HDのタッチパネルは綺麗です.12.5inchなので,1920x1080でも実用的な精細さ.ただし,グレア液晶なので映り込みが結構あります.液晶保護も兼ねて,若干ノングレア気味な保護フィルムを貼ってカバーしましょう.詳しくは後日.
ThinkPadの証しであるトラックポイントもあるし,トラックパッドもあります.
昔はどちらかを殺さないと誤動作が多かった印象があるのですが(例えばトラックポイント使用中,トラックパッドに掌が触れてしまうとカーソルが飛んでしてしまうとか),そんなことは無くなっていました.この辺りの改良具合,数字には出てきませんが,かなり進化しています.
それとキーボードは6段.ThinkPadらしい打鍵感の良い&使い易いキーボードはこの機種でも健在です.
最上段1列をファンクションキーとして使うか,音量up/down等のファンクションボタンとして使うかの切り替えが出来るのですが,現在どちらのモードであるかをLEDで確認出来るようになっています.小さい工夫だけど,微妙に有り難い機能.
アームレストの右端に指紋センサ.
指紋の認識が非常に速く,置いたと思ったら認識されており,SSDが速いので瞬間的にデスクトップ画面に切り替わる…という俊敏さです.
それにしても,指紋でWindowsへのログインが出来るのは便利ですな.セキュリティレベルの高いパスワードの人は特に,その恩恵を被ることが出来るでしょう.
『ラップトップモード』.所謂普通のノートPCとして使えます.
前述した通り,セパレート型も卓上であれば同じように使えますが,膝の上で使うときはヒンジでしっかりと支えられているコンパーチブル型でないと危険.
液晶をくるっと回してこんな感じにすると,『テントモード』という形になります.
更に回すと『タブレットモード』.この状態にすると,ちょっと分厚いタブレットのように使えます.
このようにキートップが収納され,ほぼ平面になります.
『Lift'n' Lock(リフトンロック)』という構造になっており,キー部分を回転させるとキーボードのフレームが上がり,そしてその状態でロックされるのだそうな.
さて,ポートの話しに戻りますが,Yoga 260は角形の電源ポートになっています.こんなタイプです.最近のThinkPadはほぼこの形状ですね.
ワタクシ,E130を使い始めた際に複数のACアダプタを購入し,行く先々用にデポしたり小型の物を携帯用に購入したり等していたので,使い回し出来ないのは辛い所です.
ちなみに旧タイプはこのような形状の電源コネクタでした.
でも同じようなことを思う人は多いようで,ニーズあるところに製品あり.こういう変換ケーブル
が売られているわけです.値段も安いし有り難いなぁ.
さて,説明をせずにサラッと流していた本体左側にある『Lenovo OneLink+ポート』ですが,これはLenovoの外部機器接続用のDOCコネクタのようなものです.様々な製品が出ているのですが,本体と一緒にGbEtherのケーブルを購入してみました.
普段はデスクトップPCとして使い,出先にはYoga260本体だけ切り離して持って行く…のような使い方の場合,諸々付いたDOCが便利です.ドッキングステーションはこのページで一覧できますが,Yoga 260用にはコレがベストかも.値段も手頃ですし.
まぁ本当はWiGig搭載して無線でDOCを繋ぎたかったのだけど….WiGigドックいいなぁ….な,泣かないもん.
『Lenovo OneLink+ポート』ですが,結構横長でゴツく見えますが,昔のAppleのDockコネクタ,正式名称は日本航空電子工業のDD1とほぼ同じサイズです.
反対側はEtherコネクタ.
ここに…
挿して繋ぐだけ.
データコピー中.ほぼ1Gbps出てます.
GbEtherになると,異様に熱くなったり速度が出なかったりするUSB接続のアダプタがちらほらあるのですが,純正品のコレは安心感があります.
あと,ストレージは拘って『512GB ソリッドステートドライブ (PCIe-NVMe)』にしたわけですが,効果絶大でした.ベンチを取るとこんな感じ.
やはりI/Oが速くてメモリが潤沢だと幸せになれますな.いずれ慣れてしまうかもだけど.
で,届いてから約二ヶ月使いましたが,実に快適で,既に手放せない相棒になっています.
購入前はE130よりも一回り大きくなることによる可搬性の低下を懸念していたのですが,厚みがぐぐっと薄くなったため,むしろカバンに収まりやすくなりました.これは嬉しい誤算.
それとFull-HD液晶は,複数ドキュメントを開いて作業したり,開発環境を使ったりする際には必須とも言える感じです.今までの1366*768をたまに使うと,拷問にすら思えるようになりました.ノートPCであっても,もう狭い液晶に戻れません.
繰り返しになりますが,ちょっと残念だったことは,購入タイミングの関係でWiGigが付けられなかった事.法人窓口の人に,保守部品を取り寄せてメンテナンスマニュアルを見ながら作業してもダメか聞いたのですが,『アンテナがが取り付けられていないから無理です』との返事.アンテナを自分で付けたらあかんのかなぁ…もしかしたらTELEC認証絡みか….な,泣かないもん.べ,別にWiGigドックなんて無くても不便はしてないし(酸っぱいブドウ)
あと,日本向けモデルのWAN非サポートも何とかして欲しい所です.最近はSIMロックフリー機器の普及と格安SIMの関係で土壌は整っていると思うので,今後はBTOで対応して欲しいな…
***
細々した話や周辺機器でパワーアップする話は別エントリに回しますが,最後に『コンパーチブル型』のメリットを少々.
ワタクシ,社外で人と打ち合わせしたりすることがそれなりに多いのですが(一方的なデモのようなシチュエーションは少なく,ディスカッションベースのインタラクティブな形式が多い),今までは冒頭に書いたような外付けモニタを使用したり,下の図(*1)のような感じでやってました.
(*1)手抜きな図で申し訳ない…
会議室でプロジェクタを使うときもありますが,『あ,じゃぁそこのテーブルで詳しいところを話しましょうか』的な流れで始まることも多く(*2),4~6人程度の少人数の場合はこんなスタイルの方が楽なんです.
(*2)そういえば元上司の某先生,某学会の大会会期中はデモセット一式を常に持ち歩き,辻斬りよろしく『え?興味ある?話聞きたい?』という流れになると(強引にすると?(^^;),キャリーバックからシステム一式が出てきてお店が開いたものです.懐かしいなぁ.最近イギリスのGoogleに行かれてしまったけど,今も同じような感じなのかな(^^;
普通のラップトップの場合,キーボードが液晶の前に来るので,このスタイルでやるとちょっと邪魔なんですよね.私の場合,大抵はCANSAY nu board
を置いて『このグラフがこうなるので…』『いやいや,これにローパスフィルタをかけて…』みたいに話しながら図やグラフ書きながらやったりするので,特に邪魔なんです.
で,ここにYoga 260が登場です.下図(*3)の左が『スタンドモード』,右が『テントモード』の形態ですが,液晶の前にスペースが空いてnu board置けますし,液晶を正面に向ければ4人程度であれば全員見えます.そしてYoga 260はタッチパネルなので,卓上でマウスを弄ることすら不要で,操作を画面タッチで行えるわけです.
(*3)大変手抜きな図で申し訳ない…
副作用と言いますか副産物と言いますか…このような使い方をよくするようになった関係で,自分が開発するプログラムは次第にキーボード操作が基本的に不要なタッチパネルで便利に使えるGUIになって来ているような気が.
当初は『テントモードなんてどんなシチュエーションで使うっちゅーねん』とか思っていたのですが,いやいや,実に便利です.目から鱗です.
更にYoga 260の場合,下図(*4)のようにタブレットモードにして卓上真ん中に転がしておくことも出来ます.そして書き込み可能なアプリを立ち上げておけば,指やデジタイザペンを使ってみんなで書き込みすら出来るわけです.(参加者の慣れや協力が必要だけど)うまく使えばnu board不要にすらなります.
(*4)更に大変手抜きな図で申し訳ない…
と,いうことで,いやはや,Yoga 260は実に素晴らしいマシンでした.ただのノートPCのリプレース以上のものを与えてくれました.使う道具が変わることにより,やり方その物もガラッと変わることがあるのだなぁと実感.
繰り返します.Yoga 260オススメです.コンパーチブル型万歳.
※直販BTOを見てみたら,4/27現在,『512GB ソリッドステートドライブ (PCIe-NVMe)』を構成に入れると納期が6/2以降になる模様.人気だなぁ.
***
昔はこういった『カスタマー・エクスペリエンス』的な物は,Apple製品で強く感じさせられたものです.
しかし最近は,AppleというかMacがつまらないわけです.見た瞬間に電気が走って椅子から立ち上がるような革新が感じられなくなって来ており,面白味が減って来ました.新製品の噂が出る度に期待に胸を膨らませるのだけど,機能が追加されましたとか数字が変わるだけのことが多く….期待が大き過ぎるのかもしれないけど.
あと,安定性が急に低くなった気もします.Macでキーチェーンが何度も壊れまくったし,アップデートをかけた途端に普段使いのアプリが急に動かなくなったり.リリースを急ぎすぎてテストが十分に出来ない程余裕が無いのかなぁ.
こんな状態だと,次第にWinに気持ちが行ってしまうわけです.私だけがそうかと思っていたら,flick! digital 2016年4月号 Vol.54に,Apple信者がsurfaceに乗り換える理由 なんていう特集記事が出るわけで.
と,いうことで,Apple様におかれましては,そろそろインパクトのあるノート型の製品を送り出して欲しいなぁと切に願うわけです.MBA 11inchの革新をよろしく頼みます.
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