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2016年3月 4日 (金)

映画『スティーブ・ジョブズ』を観た.凄い映画だわ.

夜に会社で仕事をしていたら,大学時代からの腐れ縁の先輩が背後に立ちまして,『ただっちゃん,ジョブズ観た?面白かったよ.それにしても…主人公を演じた俳優が,ジョブズよりもスカリーに似てたなぁ…フフッ』と,一言二言残して去って行きました.

気になるじゃないかー(笑)

早速公式サイトで調べたら,上映館がかなり少ない様子.うーん.二条まで行くかぁってことで,4時に帰って8時に出かける(もちろん朝ですヨ!)というハードなスケジュールで先々週に観に行きました.

今回も前知識は入れず,聞いた/見たのは先輩から聞いた僅かな情報と,予告編映像だけです.

ジョブスを題材にした映画としては,あちらも観に行き,本ブログにてレビューもしました.

もう3年も前であることを考えると,年月の流れる速さに驚かざるを得ませんが,あちらの映画は実に『この映画を観に来る層』をよく分かっておられ,そして満足させる演出がなされていました.俳優陣はご本人そっくりの風貌をしていることが多く,そして様々な有名なアクシデントやイベントを観客が追体験.Appleフリークであれば喜ばないわけがありません.

その頃に,『ジョブズを題材にした映画は2本制作が進行していて,後から上映される方が本命だ』という話を聞いていたので,『この映画をどう超えてくるのだろう…』と,かなり楽しみにしていました.が,3年の年月は,そんな思いを忘れ去らせるのに十分な期間だったわけですな….

で,映画館に着くと,まぁ何と言いますか,席に座っているのはかなり濃いメンツです(『そんなことを言うのは,この口かーっ!!』と,猛烈な突っ込みがありそうな予感).あ,でも,ガルパンのときとは客層が全然違います(敢えてレビューはしませんが,ガルパンはいいぞ).劇場内で会話されている内容の方も,意識高い系です.そして誰もが『自分のイメージ通りのジョブズ』がスクリーン上に登場することに期待に胸を膨らませているようです.

お,劇場内の灯りが落ちて映画が始まりました…

…2時間後…

最近の映画は短い作品が多いのですが,本作は122分と長めです.でも,私は超絶寝不足にも関わらず寝落ちすることも無く,最後まで楽しめました.しかし,スクリーンを後にするお客さんの表情は一様に暗い….

もう封切りからかなり時間が経っているので,ネタバレを少し交えて感想を書くとこんな感じ.

『クライムサスペンス物を見に行ったのに,全部裁判所のシーンで,それも裏の部屋で裁判官と判事,弁護士だけで話し合うシーンばかり.犯行現場はおろか,犯人も被害者も出てこない』

 

あ…ありのまま 今 起こったことを話すぜ…』と,AA付きで書いても良いくらいな感じの想像の斜め上の展開でした.

予め宣言したようにネタバレを交えて述べると,全てのシーンは新製品(Mac,NeXT,iMac,)の発表会場.そしてリハーサル中の出来事を中心に話が進みます.裏舞台のオムニバスという感じです.

デモがまともに動かずにエンジニアを罵りまくったり,認知や養育費の件で娘達と揉めたり,スカリーの懇願とも懺悔とも取れる話を聞かされて言い合ったり.特にインパクトがあったのは,ウォズとの罵り合いの繰り返し.これは凄い迫力があった.

ジョブズと言えば,ビジネス書では神様のように崇め奉られ,最近ではミニマリストにまで究極のシンプリストとして信奉されているようではありますが,違うんですよ.それは綺麗な一面でしか見てないんですよ.

娘のLisaの件ではゲスい対応しまくってたし,仲間のウォズすら騙くらかして自分の報酬の取り分を大きくしてたり,病的なまでの完璧主義で同僚や部下を酷い目に遭わせていたりetc.固有名詞を伏せて内容だけ聞かせたら,大半の人が『酷い人間だ』と,吐き捨てるようなエピソードに枚挙に暇がありません.

でも,普通の人がなし得ないことを達成した事実もあり,『天才ってそんなもんだよね』という感も.厄災が降りかからない立場だから言える話でしょうが,天才は誰しも人格的に優れているってわけではないのですヨ.周囲はそれを期待するわけだけど,大抵は何か飛び抜けた才能と引き替えに,何かが欠落していることが多い印象があります.

話が逸れました…閑話休題.

映画を大勢の人に対する娯楽として考えれば,この映画は(純粋な意味で)あまり楽しくないし,合格点を得られないでしょう.

しかし,クリエーターの表現手段としての芸術作品として見たら,素晴らしい作品と言えるんじゃないかなと思います.敢えてスポットライトの当たる煌びやかなシーンを全て避け,『ジョブズ』の人間性や苦悩を掘り下げて映像化しているわけですから.

興行収入とか考えたら,もっと万人受けする娯楽作品の方が上へのウケは良いのでしょうが,ベクトルとしてはその真逆です.『分かる人に分かれば良い』という信念のようなものを感じました.それも内輪ウケ的な自己満足的なものではなく,もっとストイックで洗練された芸術家的な方向で.

そして俳優陣,女優陣が実に迫真に迫る演技を見せて…いや,魅せていました.緊迫したシーンの連続ですが,中途半端な演技を少しでもしたら,緊張感が切れて場がしらけます.でも,それが無いんですよ.

この映画は122分もあることを書きましたが,最初から終わりまでずっとピンと張り詰めたまま話が続くんです.緩急が無くて息抜きする暇がありません.ずっとクライマックスです.アクターの口から出る一字一句すらも聞き逃せない緊張感が延々と続きます.どんな拷問だよ!(笑)

ある意味,ジョブズの成した仕事,いや,彼の生き様というのは,この映画のような…大衆への迎合ではなく,『これは俺の自己表現なのだ!!』なのかな…という気がした映画でした.

しかし,最後のワンシーンで少し救われます.どんな救いがあったかは劇場で見てみて下さい.万人にはオススメ出来ないけど,このエントリーを読んで興味を持たれたら,上映が終わる前に劇場に足をお運び下さい.この映画はテレビ向きではありません.劇場という普段と異なる環境で,緊張感を持って見てこそ価値があります.

***

以下,余談.

映画の中でNeXTの垂れ幕が沢山写っていましたが,NeXTのロゴがこちらの方のページにあるように,水平に印刷されていたような気が….正確には,こちらのように28度傾けなければいけません.マニュアルにもその旨記載されています.細かな部分にも完璧を期して欲しかったなぁ.

実家の押し入れの中にはCPUを68030にしたMacintosh Plus,家の押し入れの中にはNeXT cubeが今も眠っているのですが,こんなんだから,小道具の細かな所が気になって仕方が無い(笑)

更に余談.こんなペースで仕事も遊びも手を抜かずに激しく活動したら,体が追いつかずに先週は1週間殆どダウンしてエライ目に遭いました.そんなわけで,OBSIDIAN HAMAMATSUはベットに横たわりながら遠隔リチャージすることに(苦笑)

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