廉価かつ便利に使えるBluetoothイヤホン:QY7とQY8
今年はイヤホンのレビューとして,有線で接続するJVC HA-FX850 やShure SE535Ltd のエントリーを書きましたが,今回はBluetoothヘッドホン.
音楽を聞くためのBluetooth接続のイヤホン/ヘッドセットと言うと,使い勝手の点で抜きん出ているJabra ROX WIRELESSが大人気を博しました.イヤーパッドにマグネットが内蔵されており,左右をくっつけると固定される&電源OFF,離すとONという具合に電源とも連動します.『コストコで安く売られてるいるなー』と,思っていたら,某誌で絶讃された直後に瞬殺でした.
そう言えば,BOSEのノイズキャンセリングヘッドホン(QuietComfort 25)のときも同じような感じでした.昨年末に某誌でグランプリを取った直後,コストコに山のように積まれていた筈なのに,あっという間に在庫ゼロになっていました.雑誌の影響力って凄いなぁ.なお,現在は在庫が復活していますが,コストコで売られているのは少し前のモデルであり,QuietComfort15です.
で,話し戻ってBluetoothイヤホンですが,やはり『プレイヤーとケーブルを線で繋ぐ必要が無い』というのが最大のメリットで,何かしながら音楽を聞くとき…例えばジョギングのときに手にケーブルが引っ掛かってプレイヤーが吹っ飛んで地面に叩き付けられて『ギャー』とかいう事故を防ぐことが出来ます.また,デスクワークのときもケーブルレスは便利です.常にキーとマウスの上に手がある場合は別ですが,何か作業する度に手に引っ掛かってストレスを感じるという事態を防げます.
難点は『電池の持ち』と『音質』ですが,前者に関してはBluetooth4.0のお陰で,小型軽量の製品でも5時間程度は持つようになりました.普通に使う分には1日中,ヘビーに使う場合はたまに充電してやれば特に問題無く使えるでしょう.
次に音質ですが,やはり数万円台のイヤホンと比べたら勝負になりません.でも,ワイヤレスが求められるシチュエーションというのは,じっくりと音を楽しむような用途ではなく,音質よりも使い勝手,音質はBGMとして流しておくような用途であるため,問題になることはあまり無いのではないかなと思います.とは言え,『音が出れば良いというレベルか?』というとそうでもなく,『普通に音楽を楽しむことは出来る』というレベルですし,最近はcodecとしてAACやaptX対応の物も増えてきているので,それなりに進化してはいます.
で,今回紹介するのは,『消耗品的として考えても良いくらいの価格帯』のBluetoothイヤホンです.2千円台です.ハッキリ言って,音質に関しては全く期待せずに購入しました.でも,意外と『聞ける』のでびっくり.
で,『良い買い物をしたなぁ』と,思って使っていたら,新機種が出ました.そしてこれまた廉価な製品.これは購入して比較するしか無いでしょう…と,いう流れで,SoundPEATS QY7 とTaoTronics TT-BH06 のレビューです.後者は中身的には『QY8』と同じだと思うので,QY8としてレビューすることにします.
QY7
購入したのは,SoundPEATS QY7のblack/Redです.今思えばレジスタンスカラーのblack/blueにしても良かったかなぁと思うのですが,色合い的には綺麗な赤なので気に入っています.
化粧箱はこのように実にしっかりしており,とてもアンダー3千円の製品には見えません.
『QY7』
安いからと言って,付属品に手が抜かれているわけではありません.
中には一式を収めたケースとマニュアル.
マニュアルはやや怪しげな日本語です.
マニュアルに記載されている重要な所を拾い上げると…
- ペアリングモード:電源OFFからボタンを5秒間押し続ける.pariringのの音声が再生され,赤と青の点滅になる
- ボリューム±は曲のスキップにも使える(1秒押し続ける)
- マルチペアリングも可
- pinコードは0000
- BTは4.1+EDR
- 対応プロトコルはHFP1.6,HSP1.2,AVRCP1.4,A2DP1.2
- 通信距離10m
- 待機時間145時間,通信時間5時間,充電2時間
と,いった所でしょうか.
一式が収められているケースですが,意外としっかりしたセミハードケースでビックリです.
中を開けるとこのように付属品がてんこ盛りで,はち切れんばかりになっています.
こんな感じ.
本体はこちらです.デザイン的には中々です.また,黒赤を選びましたが,落ち着いた赤色であり,良い感じです.
ケーブルは平形であり,絡まりにくくなっています.ただ,それ程しなやかではないのと,タッチノイズが大き目なのが気になるかな.それとイヤーピース部がやや大き目.
実際の装着部分のアップ.ジョギング用にも適するよう,ガッチリとホールドできるスタビライザーが付けられています(フィットする大きさの物に交換可).
RとLのどちらにも同じデザインの物が付いているので紛らわしいのだけど,R側のみ稼働するマルチファンクションボタン(音符のようなマークの赤い部分).
そしてR側の音量/曲送りボタン,そしてマイク穴
L側.
L側はこのような蓋が付いていて…
めくると充電時に利用するmicroUSBポートが出てきます.
JVC HA-FX850も結構大きいなと思ったけれど,こちらの方がゴツイです.でも,平べったいので外耳への収まりは良いです.
充電すると赤ランプ点灯.
約0.5A流れています.前述のように,フル充電に必要な充電時間は2時間とのこと.
BTで接続すると青点灯.
マルチファンクションボタンを長押しして電源を入れると"Power on".接続完了すると"Connected",バッテリが切れそうになると"Battery low"等,英語音声でステータスを教えてくれます.良い感じです.
某社のヘッドセットでは,あるモデルからアナウンス音声が日本語化されたのですが,何やら凄く違和感が.込み入った説明を音声でするのは避けるべきだし,簡易な説明であれば英語で十分なので,本製品のラインでは変なローカライズをしないで欲しいなと希望.
あと,高音質再生という意味では,Android等で利用する場合はaptX対応のメリットを享受出来ます.残念ながらAAC非対応なので,iPhoneでは普通のBTイヤホン/ヘッドセットです.
QY8
『QY8』としていますが,TaoTronics TT-BH06です.今度こそ青をと思ったけれど,黒・白・緑のカラバリでしたので,緑にしました.エンラのカラーや….
化粧箱はこのような簡素な箱になっています.
『スポーツ向けのワイヤレスヘッドホン』と,いった所でしょうか.
中も簡素.2つの箱が入っています.
内容物一式.
本体部分がQY7よりも大きくなったことが印象的です.
同梱さているイヤーピース等も,QY7より控えめです.でも必要十分.
マルチファンクションボタンは円形になっており,そして触って分かるようにポッチが付いています.
QY7と同様の配置で音量と曲送り兼用のボタン,そしてマイク.
ボタンは『+/-』ではなく,『・・/・』になっています.指で触って感触で分かるようにといった所でしょうか.
L側にフラップ型の蓋があり…
充電用のmicroUSBのポートが隠れています.
このフラップが実に開けにくく,ピン状のもので抉らないと開きません.少なくとも,指の爪を引っかけて…というのは難しい.あまりに開けにくいので,フラップ部を切り落とそうかと思う程.(スポーツ用途を考えると,汗の浸入を防ぐためにカッチリと防水した方が良いので…というのは分かるのですが,キツすぎると思う)
マニュアルは英語版.最近購入された方で日本語版が入っていた方も居るようなので,出荷時期によって違うのかも.
内容を抜粋すると,
- HFP1.6,HSP1.2,AVRCP 1.4,A2DP1.2
- 待機時間175時間,稼働時間5時間,充電2時間
- aptX対応
- pin codeは0000もしくは8888
- 2デバイスとペアリング可
- 2秒間押し続けて電源を入れると,直前にペアリングしたデバイスを忘れる
と,いった感じでしょうか.
QY8の連続稼働時間を『6時間』と説明しているページをよく見かけるのですが,少なくともこのマニュアルには"About 5 hours working"でした.
充電中はこのように赤点灯.
耳へのかけ方はこのような感じ.Shureかけではなく,また,コードは首の後ろ側に回します.
比較・まとめ
奥行きも微妙に大きくなっています.
実際に使ってみても,QY8の方が大ぶりな印象です.ただ,きちんと固定出来るので,JVCのように耳からポロっとこぼれ落ちるようなことは無い一方で,QY7と比較すると耳への収まりが悪く,安定性がやや損なわれた感じです.
バッテリの持ちに関しては,QY8の方が結構持つような感じがしないでも無いですが,実測をしていないので断言は出来ません.ただ,どちらも十分に持つので,普通に使用する分には問題無いと思います.
そして電波の掴みはどちらもあまり良くなく,電波状態が悪かったり,ちょっとした遮蔽があると,1~2mでもブツブツ切れたりします.
そして肝心の音質はと言うと,QY8の方が華やかな音であり,クリアで広がりがあり,解像感が増した感じがします.QY7のときはやや籠もっていた音がシャキッと出てきたような感じ.そして低音もQY7より出ている感じです.全般的に,QY7では聞こえなかった音が聞こえるように思います.
とは言え,一万円オーバーのイヤホンとは比較にならない程度の音質です.特に解像感が高く,キラキラとした高音が出せるBA型や,艶やかな音色で聞かせるJVCのとかとは音質面では比べ物になりません.まぁこの辺りは『3千円以下のイヤホンに何を求めてるんだね,君は』的な話しになるかと思います.
QY7/QY8の特質すべき点は,
- 気軽に購入出来る価格
- 必要十分よりも上の音質
- BTイヤホンとしての使い勝手の良さ
- バッテリの持ちの良さ
- 電話用のヘッドセットとしても一応使える
等が高い位置でバランスしていることでしょうか.
SoundPEATS QY7とTaoTronics TT-BH06は現在も併売されているので,上位機種は下位機種を置き換えるという位置付けでは無いのかもしれません.そのようなわけで,少しでも音質をと思う人にはQY8,耳が小さい人にはQY7がオススメかな.
いずれにしても,BTイヤホン/ヘッドホンを知らなかった人や,音質至上主義でBTイヤホンはアウトオブ眼中だった人には是非一度試して&使い勝手を体験して欲しいなと思います.また,そのための入り口としては,廉価なQY7/QY8は最適ではないかなと思いますです,ハイ.
[2016/06/19追記]ワイヤーフックタイプの製品のQY11,通常のイヤホンタイプの後継のQY19のエントリーもアップしました.よろしければ,こちらもどうぞ.
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通勤電車内用にQY8買いました。この記事のおかげで、わっぱの部品の使い方がわかりました。それでも装着後の安定感に今一つで、自分は付属品の耳かけを付けて使用しています。(この記事にはない部品がアマゾンで購入した製品にはついていました。)
ボタンを操作するときに耳を圧迫したり使いにくいところがあるので、QY11にすればよかったと思っています。(QY11はtadachi-netの別の記事で知りました。)
投稿: | 2016年5月31日 (火) 08時52分