本当に音楽を愉しむためのイヤホン:JVC HA-FX850
Life is Musicな皆さん,こんにちは.やはり音楽は(以下,前振りが長くなるので略).
ショボイ音響装置を使用していたとしても,素晴らしい曲・思い入れのある曲であれば,鼓膜ではなく心を直接揺さぶられて感動したり,昔の記憶が昨日のことのように鮮明に思い出されて涙したりすることってありますよね.こんなとき,『音楽って本当にいいな』と,心の底から思います.
でも,『もっと良い機器を使って聞けば,もっと深く感動できるかも』とか思い始めたら,その先は『ピュアオーディオ』と呼ばれる,似非科学や思い込み,はたまた宗教じみた魑魅魍魎の跋扈する世界への底なし沼へ一直線かもしれません.
が,心を強く持ち,その少し手前の世界で踏み止まれば,懐に致命的なダメージを与えられること無く,奥深いオーディオの世界を堪能することが出来るでしょう.
投資額と満足度は必ずしも比例しません.その関係は線形ではなく,どのような曲を聴くかやどのような機種を選ぶかによって大きく変化します.その様なわけで,『投資額と得られた効果の微妙なバランス点を何処に設定するか』という点が重要です.
今回紹介するイヤホンは,純粋に『音を愉しむ』という意味で,『頂上を極めたイヤホン』と言っても過言では無いと思います.ホント,凄いです.国産かつこの価格帯でこんな凄まじいイヤホンが出たのは感動的です.これで不満を抱えるとしたら,辛く険しいピュアオーディオの沼にハマるしか道は無いと思える程に.
と,いうことで,JVC HA-FX850を紹介します.
高級感漂うパッケージの製品写真.
『ハイレゾ オーディオ』のマーク.再成装置としてキャパに余裕があることを示しています.
ハイレゾの定義であるところの『CDスペックを超えた音(サンプリングレート,量子化ビット数)』の是非ですが,ここでは深く議論することは避けます.個人的には,『可聴域を超えた音をどこで聴くのか』という議論は少々乱暴だなと思う反面,『ハイレゾは素晴らしい音だ!』という,ご高齢な評論家の方々の有毛細胞は果たしてきちんと機能しているのだろうか(特に高周波の聴力)と,疑問を感じるところでありますが….
木製ユニット,ハウジングを使用.
『木が奏でる美しい響きと自然な音の広がり』なんて書かれると,『木』のイメージを使った刷り込みを狙っているんじゃないかと穿った見方をされるかもしれません.私もそう思っていました.実際に聴くまでは….
付属品として色々付いて来ます.
箱を開けるとこんな感じ.素晴らし過ぎます.気持ちが高揚します.
本体とキャリングケース.
JVCのロゴの入ったキャリングケースですが,
中に付属品諸々が入っています.
付属品のイヤーピース,クリップ,コードキーパー.
そして本体.うっとりするほど綺麗です.
真鍮とウッドの組み合わせが実に素晴らしい.
このモデルはコードを交換可能です.規格は一般的なMMCX.
高級イヤホンなのに,(事故や経年変化のために)コードの断線が原因でイヤホン全体を買い換えるなんてのは嫌ですよね.ケーブル交換が可能であれば,イヤホンとしての寿命を延ばすことが出来ます.
また,ケーブルを他社製に交換することにより,音質を変えたりすることも出来ます.
形状でユニットの左右確認が可能ですが,この部分にR/Lと書いてあります.
プラグは3.5mmのミニステレオ.ジャック部が太くないので,タイトな穴のカバーをしたiPhone等でも挿せないことは無いでしょう.
ちなみにコードキーパーはこんな感じにケーブルを巻き付け,長さ調整のために使います.ちなみにケーブル長は1.2m.
キャリングケースには,一式がこのように綺麗に収まります.
***
では,早速使ってみましょう.なお,購入後は最低1~2日間くらい音声を再生し続けてエイジングしてから使用を開始した方が良いでしょう.
で,再生.当然と言えば当然ですが,音源が悪い(古い)音楽は,それなりにしか聞こえません.
なお,以下の音源は全て256kbpsのAACです.『ハイレゾ音源を聴くんちゃうんか』というツッコミがあるかと思いますが,私にとっては『普通にiTunesで購入した音楽が綺麗に聞こえるか?』が重要なんですヨ.
次は某氏に洗脳されてハマってしまった水曜日のカンパネラ .凄まじい中毒性です.
HA-FX850が役不足だと叫びそうですが,1万円程度のイヤホンとは別次元の音になります.透き通った高音,そして深みかつ迫力のある低音.音に『艶』があるんですよ.
MAN WITH A MISSION も素晴らしい.廉価なイヤホンでは,単に耳元でシャカシャカドンドン鳴っていた音が,体全体を揺さぶる迫力の音楽に.
勿論アニソンもイケます.
女性ボーカルの声が素晴らしく美しく,そして音場に包み込まれるように聞こえます.一度HA-FX850で聞いてしまうと,廉価なイヤホンで聞いた音が偽物っぽく聞こえてしまいます.
普段数千円のイヤホンを使っているのであれば,百均のイヤホンを一度使ってみて下さい.きっとその落差に愕然とすると思いますが,それをもう一度感じることが出来ます.
でもやっぱりクラシック系が一番マッチするかな.楽器(特に弦楽器)の音が色気のある音に聞こえて鳥肌が立ちます.
ある程度エイジングを行った後にオーケストラ版のBEGINNING(youtubeリンク.私が聞いたのはiTunes経由)を聞いたとき,真面目な話,音に心を鷲掴みされて涙が出ましたヨ.機動戦士ガンダムUCのサントラは何度聞いても良いなぁ.
複雑さ,繊細さと言いますか,このイヤホンで聴くと,どんな音も『艶』がある音になるんです.イメージ的には,無機質な乾いた音が,暖かみのある深みのある音になるとでも言いますか….『なんじゃそりゃ』と,思われた方は,一度試聴してみて下さい.
あと,一般的なイヤホンのドライバユニットは,大きく分けて『ダイナミック型』と『バランスドアーマーチュア(BA)型』に分けられます.構造に関してはオーディオテクニカのページ等に詳しい説明があるのですが,全然音が違います.そしてHA-FX850はダイナミック型.
詳しくはまた後日のエントリで書こうと思うのですが,『BA型は音を楽しみ,ダイナミック型は音楽を愉しむ』といった表現がよく合います.そしてHA-FX850は,ダイナミック型の一つの到達点と言っても良いのではないかなと思います.
***
では良い点ばかりかと言うと,そうでもありません.少々難点もあります.
まず,ドライバが重いこと,そしてサイズが大きいということです.その結果,装着感が悪く,そして耳から落ち易くなるんです.
廉価なBA型として提供のあるZERO AUDIO ZH-BX700-CD と大きさ比較すると,こんな感じです.ゴツイです.
装着感を良くするには,やはりイヤーピースの交換が一番簡単.そんなわけで,出張の際に近くのヤマダ電機にて色々買い込みました.
純正以外で探すと,HA-FX850にはSONY ハイブリッドイヤーピース等が使えます.
『ハイブリッド』の方ですよ.要注意.
形状はこんな感じです.
かなりキツイのですが,こんな感じにはまります.
そして私にはこれがベストな装着感.ちょっとした形状の違いなのに,耳から落ちにくいしドライバーの重さも感じません.また,音質の(悪い方向への)変化は感じられませんでした.今はこれで常用しています.
この他,audio-technica ファインフィットも使えます.
『fine fit』ですよ.
純正よりも装着感が良い感じがしますが,私はどちらかと言うとSONYのハイブリッドの方が合っている感じがします.感覚は個人差があると思うので,試して合う方を使ってみて下さい.どちらも高価な物ではありませんし.
なお,音質的には,JVC スパイラルドットの方が良いような気がしないでもないですが,装着感の向上はその差を補って余り有ります.
ちなみにfinefitにはこのようなカラータイプもあります.
***
JVC HA-FX850ですが,値動きがかなり激しく,現在は3万弱で推移しています.普通の製品は発売後に時間と共にズルズルと値段が下がるのが一般的ですが,このイヤホンは平気で2割以上,値段が上下します.それも,発売から1年以上経っているのにも関わらずです.
なので,『欲しい』と思っている方は『今だ!』と,思ったら躊躇無くオーダーするのが良いかと思います.
そして先日,上位機種としてJVC HA-FX1100が発売になりました.普通はこれで(これまで最上位機種であったところのHA-FX850が)一気に値崩れを起こす筈なのですが,逆に店頭価格が値上がりしているという….確かにHA-FX1100がこのラインの最高峰の音を奏でていると思いますが,その差はHA-FX850との価格差程ではなく,結果,手頃な価格のFX850の人気が高いまま推移して価格が下がらない…と,いった所でしょうか.
と,いうことで,『音楽は常に私に寄り添うもの.そして私の人生を豊かにするもの』と考えている人は是非,愛用する音楽プレイヤーを店に持ち込んでJVC HA-FX850を試聴してみてください.そして気に入ったら,常に傍らにいる音楽を愉しむためのパートナーとして,その奏でる音楽を聞いてみて下さい.
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