戦車好きなら黙って観に行きなさい:fury(フューリー)
ミリヲタにはいくつかのカテゴリがあります.
やはりウェポンを愛して止まないカテゴリの人口が大きく,更には好みによって航空機,艦船,戦車,小火器等のカテゴリに細分化されます.何でも好きな雑食系も居ますけど(私みたいに).
その他はと言うと,歴史や戦略,作戦が好きなカテゴリや,兵站や装備品,レーションが好きな廃人系等も居ますが,やはり冒頭の『兵器好き』グループから見ると,ごくごく小さな勢力と言えましょう.兵器ってやっぱカッコイイですもんね.男の子的には外せない.
私のミリヲタ性向は,幼稚園にすら行ってない頃に親戚のオジサンにもらった,61式戦車のプラモデル に始まるのかもしれません.後に『何故74式じゃ無い?』とか思ったりもしたのですが,未だに貰った物を覚えていることを考えると,私の人格形成の中で,相当なる影響を与えたことは間違い無いでしょう.
と,自分語りから始めましたが,戦車好きの同志諸君!fury(フューリー)は観るべきです!映画館で!今すぐ!
この映画を大雑把に評するとすると,戦車版の『プライベート・ライアン』といった感じです.ご都合主義の主人公が強くてカッコイイ ヒーロー物ではなく,リアル指向の寂寥感漂う汚くて臭い映画といった感じでしょうか.
でも,戦意高揚映画でも反戦映画でもないので,一線は越えていません.The Pacificのように,胸くそ悪くなるような(おっと,失礼!)感じはありません.エンターテイメントという軸足は不動です.
この予告編を見て血圧/心拍数が上がった人は観るべきです.それも劇場で.
戦車と言えば,普通はドイツな訳ですよ.あまり詳しくない人でも,『タイガー戦車』(ドイツ語的にはティーゲル)の伝説を一度は聞いたことがあるでしょう.日本人的には,雲霞の如く押し寄せる敵を,劣勢な中,少数精鋭の部隊がバッサバッサと敵を切り倒していく勇姿に血湧き肉躍らないわけが無いでしょう.
ミハエル・ヴィットマンが連合軍の戦車を単騎で撃破しまくったヴィレル・ボカージュの戦いや,宮崎駿の『泥まみれの虎』でも描かれたオットー・カリウスが有名ですね.
しかし,ハリウッドがナチスドイツを主役にするわけが無い.そんなわけで,本映画の主役として,性能は劣るものの数の力でドイツ軍を圧倒して押し潰したM4シャーマン戦車が登場です.アメリカ軍の主力戦車です.しかし,圧倒的優勢な状況で楽に勝っても面白くも何ともありません.主人公達は様々な原因で非常に困難な状況に置かれます.そして満身創痍で逃げ出すことも出来ない状況下に置かれ,強敵に遭遇して孤軍奮闘せざるを得ないシチュエーションになります.
***
戦争物映画では,予算の関係で大道具の細かなディテールまで再現しきれない場合があります.今であればCGで綺麗に誤魔化す手もありますが,一昔前の映画だと,『それっぽく見える』程度に止まることが多い.ちょっとでも知っている人が見ると,粗が目立って幻滅する物もザラでした.例えばプライベート・ライアンでは,T-34を改造してTiger戦車として登場させています.
シルエットはとても良く出来ており,アップにも十分耐えられるのですが,足回りや履帯を見ると,『あぁ,T-34ベースの改造ね』って分かってしまうのが残念至極.
それがですね,Furyでは様々な実車が出てるんですよ.Tiger Iに至っては,英国博物館で実働状態で保管されている131号車が出てるんです.そうです.本物のTigerが走り回っているのを劇場スクリーンで観ることが出来るんですよ!!(興奮)
また,個人的には萌え(?)要素が強すぎてちょっと敬遠気味だったのですが,ガールズ&パンツァーでは,戦車車内の様子までもが緻密に描かれており,戦車カテゴリの人達の話題になりました.私も『アニメなのにすげー』とか思ったりしたわけですが,furyは実写ですし,その上を行くわけですよ.鼻息を荒くせずにいられましょうか.
まぁ確かにパンツァーファーストが10本以上指向されてるのに殆ど当たらなかったり,M4は被弾すると派手に燃え上がるとあれ程問題になったのに,主人公のfury号は火を噴かないとかご都合主義な部分はあるわけですが,手榴弾一発でドイツ戦車が木っ端微塵に吹き飛んでいた昔の映画のことを思うと,隔世の感があります.
と,いうことで,曳光弾飛び交う中,戦車が轟音を響かせて前進するシーンを観ると鳥肌が立つ皆様は是非,映画館に足をお運び下さい.巨大なスクリーン&最高の音響環境で観ると,迫力が全然違いますよ.
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