iPhoneの可能性を拡張するポータブルプリンタ:KINGJIM Rolto
プレスリリースを見て電気が走り,ISOTで実物を見て興奮し,発売日の8/1に届き,使い始めて気分が一気に高揚したのでレポ.
KINGJIM ロルトを一言で説明すると,iPhone用の
感熱紙を使用した超小型プリンタです.
『感熱紙って何?』って方は,レジで出力されるレシートをイメージして下さい.
あんな感じでiPhoneから『紙』に印刷出来るのです.プリンタは小型軽量のために持ち運びが楽で,印刷はWiFi経由のため線を引き摺らなくてもOK.更には電源はUSB給電(電流に関しては後述)で動くので,外でもバッチリ使えます.
面白い製品でしょ?
箱は極めてシンプル.
そして昔懐かしいドット絵が描かれた上面.
裏面には説明書き.これが無ければ,箱を見ただけではどんな製品か理解出来ないと思われ.
では早速開梱.
内容一式.
そして本体.カマボコ型のつるっとしたデザインです.排紙部分の黄色のラインがアクセント.
正面.製品名の下にステータスランプがあります.
サイドにはWPS用スイッチ,WiFiのモード切り替え用スイッチ,そして給電用のmicroUSBポートがあります.
そして反対側には,給紙時にフタを開けるために使用するロックがあります.
後ろ姿はまるでマシュマロ.
底面の四隅にはゴム足がしっかり付いています.滑ったりしません.
そしてこれが付属のACアダプタ.コンセントが畳めない上にゴツイ.
出力はL型のmicroUSB.
microUSBの端子のVccとGNDのみを使用している様子.
変なピンアサインでなくて助かりました.また,入力はワールドワイド仕様の100~240V.出力は5V1.8A.
では早速使ってみましょう.
まずはサイドのロックボタンを下方向へスライドさせ,フタのロックを外して開きます.
排紙部にはゴムローラ.ベタベタしておらず,さらっとした感じなので,埃を吸着して事故ることが少ないでしょう.
フタの根元には用紙のセット方向を説明したシール有り.
反対側から見るとこんな感じ.
感熱紙を使っているだけあり,印刷エンジンは実にコンパクトです.
では早速ロール紙を.ロール紙はロルト専用ロール紙を使用します.
サイズは50mm幅で長さ4m.店頭価格で600円前後.業務用と比べると,少々ランニングコスト高目かな.
箱の形状も凝ってます.
感熱紙ならではの注意書き.直射日光,圧力,高温多湿に弱いので注意.
また,高耐久タイプの感熱紙ではないと思われるます.出力した物の中・長期保存には向かないでしょう.
開けまして…
取り出し.
ロール紙は太い芯に固く巻かれています.
で,端からうまく剥がそうと思ったのですが,こんなことに.剥離しやすいテープで貼るか,1枚物の皮を外側に巻くかしておいて欲しかったなぁと….
そしてこの程度繰り出して…
本体にセット.
フタを閉じ…
余白部を内蔵カッターで切ります.
POSのレシート同様,ピリッと小気味よく切れます.
スライドスイッチでWiFiモードを設定.今回はダイレクトモードに.
そしてACアダプタを接続すると…
ステータスランプが赤く光ります.
そしてiPhoneがWiFiで繋がると,このように『繋がってるよ』と緑色に変化.
ステータスはLED表示されますが,それぞれの意味はマニュアル参照のこと.
また,WiFi設定の初期化は,底面RESETボタンを5秒以上長押しとのこと.初期パスワードは微妙な感じなので,使い始めたら真っ先に変更しましょう.
主な仕様はこんな感じ.
WiFi動作はダイレクトモードとブリッジとして働くモードがあり,ブリッジとして動かした場合は,Roltoが更に上流のWiFi親機に接続されます.つまり,iPhoneをRoltoに繋げた状態のままで,WiFi経由でインターネット接続も出来ということです.
なお,ダイレクトモードの場合でも,3G/LTEでインターネット接続を維持出来ます.そのため,Webのプリントアウト等のように,プリンタとインターネット接続の同時利用が可能です.
印刷に際しては,専用アプリが必要になります.AppStoreからRoltoをDLしましょう.
WiFiに接続した後にRoltoを起動すると,こんな感じになります.うまく認識すると,『検索中です』が『印刷できます』に変わります.
最初に使用する際には,まずは設定メニューからWiFiのSSIDやパスワード,そしてEvernoteアカウント等の紐付けをしましょう.
この後でブックマークレットを登録しておくと,Safariで開いているページをSafariから直接印刷出来るようになります.これも設定推奨.
ではまずはWebページの印刷を試してみましょう.
なお,Roltoのアプリ内からもWebをブラウズ出来ます.
下部中央の印刷アイコンをタップすると,プレビュー画面へ.
Roltoアプリ内からWeb,カメラ,写真,メール,マップ,Evernote,メモ等のデータを直接触れる(閲覧して印刷できる)のですが,印刷のUIは全て同じです.
グレー化や2値化,文字を入れたり線を描いたりトリミングしたり等,充実した編集機能が下部のアイコンタップで利用可能です.
印刷開始.
印刷は高速で,スルスルと滑るように印刷されて行きます.
グレーにすると写真はこんな感じで印刷されます.
正直言って,印字品質は今ひとつ.文字も,2~3回コピーを繰り返したような品質で,細かな所がやや潰れ気味.お世辞にも綺麗とは言えません.
しかし,実用的なラインは維持しています.
印刷中のキャンセルもキビキビ動きます.しかし,自動でロール紙のフィードがされないので,手動でキャンセルした位置まで紙を繰り出してカットする必要があります.
次に写真を元データとし,グレー化と2値化機能を見てみましょう.
元の写真はこれです.
これを印刷用にグレー化するとこんな感じになります.
なお,感熱紙はモノクロ出力用なので,『グレー』として出るわけではありません.ドットパターンで模擬します.詳しくは,誤差拡散法参照.
そして2値化(モノクロ化)するとこんな感じ.
コントラストの大きい物は,2値化してから印刷した方がスッキリして見やすいかもしれません.
編集画面で文字を挿入することが出来るのですが,利用可能なフォントを複数持っています.無駄に(失礼!!)凝ってます.
付箋紙的に使用するテンプレートも盛りだくさん.ToDo,時刻,伝言メモ辺りは便利かも.
こんな感じで印刷できます.Rolto君がかわいい.
で,ロール紙はそんなに厚みが無いのですが,裏側が…
こんな感じに中央から剥離紙が剥がれるようになっており,
シールにすることが出来ます.
ダイスキンにペタッと貼るとこんな感じ.
粘着力がやや強めなので,簡単に剥がれない一方,紙によっては剥がす際に台紙を傷めてしまうかも.
シール状態にしなくても使えるので,栞的に挟んで使う方が安心感アリ.
そしておそらく多くの人が気にしている,『Roltoは普通のUSB給電で使えるか』ですが,充電大王の2.1Aのポートに接続したら使用出来ました.
Roltoの定格は5V1.8Aのようなので,iPadの充電に対応しているモバイルバッテリでも使えると思われます.
そして使用上の注意として書かれていたことを繰り返しますが,感熱紙は熱を加えると変色します.
水性ペンやフリクションのインクもこのように滲まず弾かず綺麗に乗るのですが,フリクションのラバーで擦るとこのように黒変します.
まとめと雑感
Little Printer(日本語の素晴らしい解説記事)やmPrinter(日本語記事)等を横目で見ながら,『辛抱たままらん.輸入するかなぁ』なんて思っていた所なので,国内のメーカーがこのコンセプトで製品を出してくれたことは実に喜ばしいです.
最近は業務用を除いて『真の意味での』モバイルプリンタがほぼ絶滅状態ですので,同好の士におかれましては,Roltoを買い支えて悦楽に浸り,更にはディスコンにならないように/後継製品が出るように積極的に保護すべき対象と言えるでしょう.
その一方で,欠点もいくつか目立ちます.
例えばACアダプタが無駄にデカイ点.ポラロイドのPoGo程ではないのですが,何考えてるんだと言うレベル.可搬性を考えるのであれば,せめてコンセント部分を折り畳み可能にすべきです.メーカーとして保証できなくなるからでしょうが,『専用ACアダプタ以外を使うな』と書くのであれば,使い易い物をバンドルして欲しい.
次に『出力品質が悪い』点.
Amazonのレビューで酷評されていますが,私ももうちょっと何とかならなかったのかなぁと思います.
同社のKINGJIM ココドリでも同様に出力品質が今ひとつであり,時期的に後発と言える本製品でもあまり進化した感じがしないので,今後もあまり期待できないかも….もっとスッキリした印刷が出来たら,iPhone用の神器になると思うんだけどなぁ.更に書くと,ソフト的に解決するためのファームアップ的な『何か』が来ると,ユーザ的には狂喜するんだけどなぁ.
綺麗さを求めるのであれば文字出力専用プリンタにし,フォント内蔵でESC/Pで印刷するなんてアプローチもあるかと思います.でも個人的には反対.私はCASIOのmemopriも使っているのですが,Roltoが目指している方向性とは用途が全く異なります.memopriはテプラでRoltoはプリンタ.機能的にもプリンタはテプラを含むけど,テプラはプリンタを含まない.
***
と,いう感じで,期待が大きかった分,欠点を長々と書いてしまいましたが,キラリと光る製品とも言えます.大抵の情報はネットで落としてスマホで閲覧出来るわけですが,物理的にアナログ的にクリップしておけるというのは実に楽しいし心強いです.
私の例で言うと,出張時には電車の予約状況や各種時刻表,宿の確認メールや出張先の周辺地図,その他重要な連絡事項等を『万が一に備えて』紙に印刷して持って行くようにしています.A4で出力することが多いので,クリアファイルに挟んで持って行くわけですが,荷物が多いときは邪魔で邪魔で….おまけに取り出しにくく,急いで参照したいときに役に立たなかったり.
こんなとき,Roltoで印刷し,手帳に貼っておけば完璧です.おまけに出先で急に出力したくなった場合でも,Roltoであれば可能.素晴らしい.
と,こんな使い方を聞いて『ピピッ』と自分なりの便利な使い方をイメージ出来た人は,是非購入して試してみて下さい.きっとあなたのiPhoneライフの可能性を拡張することでしょう.
欠点に関して少しフォローすると,電源に関してはiPadに給電可能な2.1A出力ポートであれば使えましたし,印字品質も『使える』レベルではあります.
また,まとめを読むと,色々と楽しい使い方をされている方がおられますし,SDKが公開されている関係で,周辺アプリも出てきています.今後,Rolto周辺が色々と面白くなりそうです.
なお,KINGJIM ロルト本体にはロール紙
が付いてきませんので,購入時には用紙の同時購入も忘れずに.
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