Evernote Days 2014 Tokyoに参加した(7)
ちょっとバタバタしてしまったこともあり,かなり間が空いてしまいましたが,このエントリーの続き.あれから一月近く経つのかと思うと,時の流れが速すぎて…(以下略)
『基調講演 未来記憶』というタイトルのMITメディアラボ副所長 石井裕氏による講演.
かなり混み合って座れないんじゃないかと危惧していたのですが,何とか座って聴講することが出来ました.
冒頭に井上GMの挨拶.初日は台風の心配をし,二日目は早朝に地震があって焦るという感じだったのですが,軽妙な挨拶で場を盛り上げました.
そして石井氏の登壇.
『ボストンから(Evernoteブランドの)このバックで来ましたー』と,挨拶.講演の後半では『おーいお茶』を持ち上げておられましたが,素晴らしい洒落っ気とスポンサーに対する気配りです.
そして一枚目のスライドは,日本人であれば生涯忘れられないであろう,あの日の出来事です.
氏の講演は非常に情報量が多かったので,私が特に印象に残った内容を凝縮し,箇条書きにしてみます.
- 記録・記憶が役立てられない理由は,リマインドされないから,見たくないから.そして最終的に忘れ去られてしまう.
- 大量生産品の明朝フォントの詩集では,全てを伝えきれない.肉筆原稿を見たとき,書き直しで万年筆が紙を引き裂く音まで感じられた.これが氏の研究の原点.如何に情報を表現するか,感動を伝えるか.
- 御母堂様の死後,遺された和歌をtwitter botにつぶやかせた.すると命日に花が届き始めた.氏の死後のbotも既に用意してある.botは永遠に言葉を残す.死後も永遠にその存在を感じることが出来る.無限の雲海墓標.
- 情報はローカルにフローズンするのではなく,激しく流れる流水.情報は循環し,エコシステムを作る.
- 必要なのはアークテクチャ.そしてエコシステムを作ること.AmazonやGoogle,Appleに全部やられた.日本は負けた.デバイスの時代では無い.
- 『理念駆動』.テクノロジは1年ですたれ,アプリケーションは10年でおきかえられる.しかし強いビジョンはきっと100年を超えて生き続け,我々がいなくなった未来を照らしてくれる.
- 未来は予測するものでなく,発明するもの.未来はお客に聞いても分からない.
- (MITで)コンピュータサイエンスでもエンジニアリングでも負けた.そこでアトランタオリンピック仕様のテーブルを取り寄せ,卓球で一番上手い学生をぶちのめした.尊敬されないとチームは作れない
- 凄いのを作って悔しいなぁと思わせる.そして何故俺が作れなかったんだ,次を見てろよ そう思わせるのが友情
- 何故か聞かないで.それがアート.
- 茂木氏との対談がまだYoutubeにあるので,消されるまえに見て.
- 2050年,私は違うところに行く.皆さんも同じ.寿命は有限で,未来は無限.技術は急速に陳腐化するが,真の理念は未来に永続する.
- 『出杭力』,『道程力』,『造山力』の3力が重要.打たれても打たれても突出し続け,原野を切り開いて生まれていない道を一人全力疾走し,誰もまだ見たことの無い山を海抜ゼロメートルから自らの手で作り上げ,そして世界初登頂する力.
- twitterは必ず読む.(講演を聴講することによって,あなたに)どう変化が起きたか聞かせて欲しい.(@ishii_mit)
更に凝縮してまとめると,『三力を養え』ってことでしょうか.
日本では,例え才能に恵まれた人であっても,こぢんまりした所にうまく収まってしまう人が多いような印象があります.そして会社勤めであったり,場合によっては大学で研究している場合でも,『こんな技術があるから何か使えないか』(技術駆動)とか,『マーケッティングの結果,市場で求められているのはこれだから』(ニーズ駆動)といった考えに行ってしまいやすい.
『それじゃダメなんだ』というのが氏の主張だと私は理解しました.
そんな上っ面の所を軽く撫でたような物なんて,数年でゴミ.しかしビジョンを持てば,自分の死後の未来すら照らす物を得られるかもしれない.既にある山を登ろうなんて小さいことを考えず,自分で山を造って道を切り開き,周りから叩かれたりしても負けずに登り続け,そして頂きに立とうぜ というのが氏のメッセージではないかと感じました.
その素晴らしいプレゼンと圧倒的な風圧は,以下に続くスライドの写真で感じ取って下さい.でも,その場に居た人でないと,この『風圧』はなかなか理解してもらえないかも.
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