Evernote Days 2014 Tokyoに参加した(4)
こちらのエントリーの続きです.
1週間経ってまだ1日目のレポも終わらない状況に焦り始める今日この頃ですが,参加された皆様におかれましては,如何お過ごしでしょうか.
今回は4コマ目に聴講した,コクヨS&T株式会社 山崎 篤 氏,Evernote アンバサダー 五藤 隆介 氏,rakko entertainment 若林 大悟 氏,株式会社NTTドコモ 源河 浩一 氏による『紙と Evernote について考える』です.
内容は,コクヨのCamiAppという製品を軸足として,アナログとデジタルと言いますか,紙とEvernoteについて考えるという講演です.この講演も盛況で,私は立ち見と相成りました….
進行役は,コクヨS&Tの山崎氏です.
そして『選手権』と銘打ち,中部地区,北海道地区,九州地区,横浜地区の各代表に語ってもらうという構成でした.
紙を捨てるためのEvernote
まずは中部地区代表の五藤氏.
タイトルは,『紙を捨てるためのEvernote』です.紙製品を製造する会社の講演で,紙を捨てるという刺激的な内容で話せるってカッコイイです(^^
スライドのコントラストが低く,写真が読みにくいのですがご容赦を.
まずは自己紹介.Evernoteアンバサダー,ScanSnapアンバサダー,そして『ごりゅご.com』ブロガーetc.ライフログに関して書かれている『たった一度の人生を記録しなさい』の著者でもあらせられます.
自己紹介の延長として(?)『ごりゅごの特性』として紹介された内容は,
- 字が下手
- 手書きするよりパソコンの方が早い
- 天才的に絵が下手
- 自分の下手な字・絵を見るとイライラする
- 「図」で物事を考えられない
- アウトラインが好き
でした.私も字が下手なので,おっしゃる意味の大半が分かります.
でも,そんなに下手な字では無いような気も….そして絵も自己流でいいんじゃないかな…と,思っていたのですが…
あっ…
到達した結論は,
- 手書き文字を書かずに生きていく!
- 図や絵を描かなくても生きていく!
- メモは全てパソコン,iPhoneからしか書かない!
そしてこの流れから,『自分から新しい紙を生み出さない』→『メモはEvernoteに残す』という流れになるわけですね.
更には,
- モノが増えるのが嫌い
- モノの管理に脳みそを使うのが嫌い
- 使わないモノが存在するのが嫌い
- 必要なモノが見付からないのが嫌い
ということで…
- 可能な限りあらゆるモノを捨てる
- 電子化できる情報は電子化して捨てる
- 家にある本は全て「自炊」して捨てる
- もらった紙はスキャンして捨てる
- 捨てられない紙はスキャンして奥深くにしまい込む
との結論に至ったそうです.
そして生み出された紙は電子化して処分し,Evernoteに保存という流れです.
私などは適当な所で見切りを付けたり折り合いを付けたりするのですが,氏は実に徹底しています.禁欲的な修行僧を見るようです.
紙とEvernoteの連携
次にrakko entertainmentの若林氏が登壇.
Evernote界で非常に多くの人に愛用されているFastEverは,氏の手によるものです.ホント,便利です.いつも使わせて頂いております.
CamiAppとFastEverのコラボ製品が出ているのは知りませんでした.
CamiAppについて,
- 起動したらすぐ撮影画面
- 撮影したらすぐ補正
- 補正したらすぐEvernoteにアップロード
- アップロード中も次の撮影が可能
- 自動で高速にリサイズして送信
といった具合に,とにかく俊敏に動く点をアピール.
そして『CamiApp FastEver Editionをひねって PR』とのこと.
紙には紙の強味がある.デジタル/Evernoteと組み合わせることによって,最強ツールにするという趣旨の話しが続きます.
例えば紙には経過を残せる.そして企画やデザイン,勉強等に使用するアウトプット用としては紙がベスト.
流れとしては,紙でインプットされた物や,紙にアウトプットしたものを,Evernoteにストックするという流れ.
ここで紙に対するアイデアのアウトプット例.
これはアイコンのアイデアを練る際に描かれた物だそうですが,このような試行錯誤を見える形で履歴を残しつつデジタルで行うのはかなり厳しいですね.
また,氏曰く,ノートはアウトプットのツールで,筆記用具は鉛筆をこだわって使っているそう.鉛筆は書いていくうちに太さが変わり,クリエイティビティを刺激するとのだとか.
『紙(と鉛筆)が最強』ということを強く訴えると共に,『紙とEvernoteが最強』.
そして最後にCamiAppのプッシュも忘れません.
CamiAppの実践的な使い方
次は源河氏が登壇.
こちらは『10分で使いたくなるCamiApp』というタイトル.直球勝負です.
自己紹介.docomoでもようやく公の場所でApple好きと言えるようになったという話で笑いを取ります.空気が一気に和やかに.この他,CamiApp歴とEvernoteのノート数(16k)等の紹介.
注) ちょっと前までsoftbank,auのみでしたが,NTT docomoでもiPhone,iPadを扱うようになったという意味です.
で,ここで聴衆に対し,物忘れが増えていないかという問いかけ.
年を取ると短期的な記憶力が減り,そして記憶の蓄積が増えるので,結果的に利用可能な空き容量が減る.物忘れが増えるというのは誰でも起きていることなんですよという説明.
そしてその対策として,
- メモする環境を整える.即座にメモする.
- とったメモは再開できるように一箇所に集める
という対抗策を採っているとのこと.
続いてCamiAppの素晴らしい所の説明に移ります.
その一つがアクションマーカー.1動作だけではなく,複数動作も同時に行うことが可能で便利.
そして他の方法を使ってスキャンしたりメールする場合と比べて圧倒的に手間や時間の短縮が可能.
続いてCamiAppの仕事での利用例.説明用,共有用議事録,資料作成用のメモなど.
CamiApp+Evernoteを使うメリットは,
- 探す場所は一箇所のみ
- 外出先でもいつでも見られる
- 大切なメモが無くならない
- データなので共有が簡単
他ににも,おススメの使い方を紹介して下さいました.
名刺と打ち合わせメモを一つのノートとして作成し,それを関係者で共有.(アクションマーカーの)CamiAppの設定はEvernoteへの保存と関係者MLへのメール送信としておくと,一気に一通り出来るという方法.
これは便利そう.そしてCamiAppならではの活用方法です.
と,いうことで,10分間で実にCamiAppを使いたくなるプレゼンでした.
中の人によるCamiAppの紹介と便利なTIPSの紹介
そして最後に山崎氏.写真とご本人の髪型が全く違うので,最初は別人かと(^^;
私は犬派ですが,猫スタンプもかわゆいです.
現在の仕事は,『ネットステーショナリービジネスイノベーター』とのこと.
そして初めて知ったのですが,コクヨの社名は『国誉』から来ているのだとか.ただし,『国』は創業者の故郷の『富山』.ちなみにキャンパスノートは滋賀で生産しているとのこと.
なお,後で調べてみたところ,創業者黒田善太郎が故郷を出るときに郷土に恥じない人間になるよう,国の誉れになるという意味で付けたそうです.そして商標を国誉にしたのは大正6年で,明治38年の創業時は黒田表紙店,大正3年には黒田国光堂に社名を変更していたようです.
キャンパスノートから始まり,ユニークなネーミングのコクヨ製品の数々の紹介.
そして本題のCamiAppの宣伝.
紙とデジタルということで進めていたが,キングジムのshotnoteが出たために『早く出せ』ということになり,予算が付いてCamiAppとして出せたという経緯だそう.
アンバサダーとして10名認定.
人を喜ばせようというサービス精神旺盛な感じで,『実は単純なので,コレを買わなくてもアレをこうすれば使えるんですよ~』的なtipsを度々披露して下さいました.
この手の話は,実際に参加して初めて味わえるライブ感ですな.とても楽しめ,かつ,役に立ちました.
そしてCamiAppの語源について.文房具のネーミングは単純であったり駄洒落であったりすることが多いですね.
続いてCamiAppの訴求ポイント.
ますは操作数が少ない.写真を撮影して終わり.ワンアクションでEvernoteへ自動アップロード.
続いてアクションマーカー機能,そして派生商品等の説明.
個人的には,名刺CamiAppを早速使ってみようと思いましたです,ハイ.
あと,『運動会×CamiApp』の話しも面白かった.
内容的にはそれ程凄い話し事ではなく,黒いリュックを使っているのであれば,CamiAppの背景としてこれを使えるので便利という話です.単純と言えば単純な話しですが,このようなちょっとしたTIPSが絶大な効果を発揮することもあるわけで,TIPSの集積は侮れません.
この他『なるほど』と,思ったのは,XperiaとCamiAppのコラボ.
『会社が近いから話が早かった』とのことですが,やはりいくら電子的なコミュニケーションツールが便利になっても,実際に会って話すのに勝る物はないんですよね.そんな意味からも,関西在住の者としては,諸々が東京圏に集中しがちな状況を見るに付け,関東組がうらやましく感じています.
あと,Xperiaは自腹で購入したそうです.
そしてScanSnapとの連携も.
SnapLiteとの連携も興味あります.
展示会場でもデモされていましたが,SnapLiteは実に良いです.
手軽に記録を取る際に,スマホで写真として撮影する人は多いと思います.ところが普通にバシャッとやると,アングルが悪かったり照明の関係で綺麗に撮れないことがあります.
SnapLiteを使えばその辺りを悩まずに撮れ,そして綺麗に撮れるので,実に簡単手軽.素晴らしい.
と,プレゼンはここで終了.
総括
そして発表者の皆さんに惜しみない拍手が送られたのですが,優勝の栄誉は源河氏に.
感想と考察など
一応メーカーの中の人が司会進行をされておられましたが,スーツ系の宣伝色の強いものではなく,『先進的ユーザーが便利な使い方を指南』という感じで実に心地良かったです.そして紹介された事柄も,『すぐに役立つ実戦的なテクニック』であったり,『明日のランチ時に役立つ雑学や話のネタ』的で実用度高かったです,ハイ.
あと話の本筋とは関係ないのですが,短期的な記憶力の話しに関しては,関連文献を読んでより理解を深める意味で,引用文献も紹介して欲しかったです.
短期記憶に関しては加齢の影響は殆ど見られないという報告があります.その一方で,今回話題にされていた記憶力は,おそらく近年話題の『ワーキングメモリ』のことかなと思うのですが,例えば加齢によりワーキングメモリ能力が低下するという報告があります.後者は音響的刺激を用いた実験をしているのですが,40代群からの逆唱課題の再生率の低下具合が何とも刺激的です….
で,ですね.(一般的な意味での)ワーキングメモリの空き容量の問題であれば,GTDを使ってバッファを外に吐き出してみたりするのが有効ではなかろうかと思うのです.つまり,『忘れるから記憶を書き出す』ではなく,『考えるために必要な領域を空ける』を目的として,積極的にEvernoteに記憶を吐き出すのです.脳をクリエイティブな状態に維持・最適化するために,Evernoteを外部脳として使うのです.
個人的には,考えを紙に書き出して紙の上で思考を練るのも同じ事では無かろうかと思います.更に例えると,プロの棋士は脳内将棋盤で指せるし,何手目が…とか考えたり覚えたり出来る.しかし一般人には無理.
これもある意味,特殊なワーキングメモリの容量差を示していると思うわけですが,じゃぁ容量の少ない一般人は何やっても無理ないんでしょうか?
そんなことは無いと私は考えます.物理的な将棋盤を用意し,脳内でやらずに記録を取りながらやれば,アウトプットとしては,同じ事が出来るわけじゃないですか.流石に将棋の腕は良くならないので,プロの棋士に勝つのは難しいでしょうけど(^^;
と,いうことで,Evernoteは『記憶』の道具だけど,『考える』ための道具でもあるのではないかと考えさせられた講演でした.
***
それと最後に『紙とデジタルガジェット』の関係ですが,この動画(youtube)を観て下さい.
非常に深い意味を持った動画なので,絶対に観て下さい.紙にしか出来ない,それもデジタルガジェットでは絶対無理な利用方法が出てきます.
1日目の講演,もう2コマ分続きます….
| 固定リンク
コメント