固形燃料を使ってみる:Esbit/エスビット
過去に何度かアウトドア用のガスを使用したストーブを採り上げてきました(このエントリー等).ODガス缶を使用したストーブは火力が強くて使い勝手が良いので,アウトドアでのクッキングに最適です.
しかし悲しいことに,私は最近殆ど山登りをしないので,キャンプ用/防災用的な使用/備蓄に近い状態です.でもまぁ,結構便利に使えています.ただ,あまりハイローテーションで使用しするわけではないので,ガス缶の消費量がちょっとアレですが…(^^;
で,こんな状態であるにも関わらず,燃料の使用量/残量をもっと厳密に管理出来,防災用的な備蓄に便利で,携帯・保存時に小型軽量な物を…的な欲が出てきまして…ガジェット欲とも言えますが(笑)…アルコールバーナーと固形燃料をウォッチしていました.
これらは最近流行のULトレッキングには定番とも言えるガジェットですが,とにかく軽くて嵩張らなくて必要最小限の火力を持っているという点が魅力的.
アルコールバーナーはアルミ缶を使用した自作派も多いわけですが,trangiaのコレ
やEVERNEWのチタン製のコレ
が定番かなと思います.wikipediaにも詳しく解説があるので,そちらも参照のこと.寒冷地でも使えるという点が大きなアドバンテージかな.
ただ,青森出身の友人が荷物を減らす目的で冬山に持って行き,『やっぱ火力が足りなかった…』とのつぶやき.そんなわけで,素直にその助言に従い,出張帰りにアウトドアショップに寄って,固形燃料の定番とも言えるEsbitのミリタリーを購入.
モンベルと好日山荘には結構な頻度で行っているような気がする.ショッピングモールに入っていることが多く,出先でも『お,こんな所にも入ってる』って感じで立ち寄ったり.
今回は好日山荘で購入.メジャーな商品なので,アウトドアショップであれば大抵置いていると思います.当然Amazonでも買えます
.
今回購入したのはミリタリー
の方.スタンダード
というタイプもありますが,違いは燃料のタブレットの大きさのみ.スタンダードは4gのタブレットが20個入っているのに対し,ミリタリーは14gのタブレットが6個入り.
これはストーブと燃料のセットなのですが,約千円で一通り揃うというリーズナブルさも魅力的.
当然ながら燃料は別売もされています.メジャーな商品なので,入手性も良くて安心.当然Amazonでも買え,ミリタリーはこちら
,スタンダードはこちら
.
ストーブは共通なので,セットを買ってみて燃料のサイズが感覚に合わなければ,別の方を購入するというのも良いかもしれません.
飯塚カンパニーが代理店.代理店のエスビット紹介ページはこちら.店頭ではあまり見かけることの無い製品も載ってます.
で,これがストーブ本体.使い方は絵で説明されています.
反対側.こちらが地面に奥く側です.
ストーブを横から見るとこんな感じ.実にコンパクトです.
ストーブの中には燃料のタブレットが一箱入っています.前述の別売りされている燃料と同じパッケージです.
燃料の箱の裏側.
ストーブはこのように観音開きになっており…
こんな感じに開きます.写真のように開き切らない状態でも使えますので,クッカーが小さい場合は閉じ気味に使うと良いでしょう.
構造が単純なので,壊れにく,また,壊れた場合の修理も容易でしょう.
流石は旧ドイツ軍も使っていた質実剛健なミリタリーテイスト.
燃料の箱にはこのように2つのパッケージに分けてタブレットが入っています.
1つのパッケージは42g
ではお湯を沸かすためにクッカーを置きます.このエントリーで使用した物と同じです.
水を500cc張ります.
ストーブが小さく背も低いので,重心が低くてとても安定している感じ.
燃料のタブレットを取り出しましょう.このように1つのパッケージに3タブレット入っています.詳しくは後述しますが,結構独特の臭いがしますので,苦手な人は何らかの対策を採るか,1パッケージ無いの3つを使い切ってしまった方が良いと思います.
ミリタリーに入っている1タブレットは約14g.十文字に溝が穿たれているので,少ししか使わないときにはナイフか何かで割って使用量を調整…ってことも出来なくは無さそうです.
折角なので,着火にマグネシウム ファイアースターター
を使ってみることにしました.210円で売られており,いざという時に役立つと思われるので,1個は持っていて損は無いんじゃ無いかな.
使い方ですが,まずはマグネシウム部分を少し削って着火先にばらまきます.で,勢いよくシュッと擦ると火花が飛んで着火します.
が,火花の飛んだマグネシウムがチリチリと燃え上がるだけど,エスビットのブレットにはうまく着火しませんでした.着火剤的な火付きの良さを期待していたのだけどな….
仕方ないのでティッシュを火口にして着火することにトライ.キャンプ等で木炭/乾いた木に着火する際にはこれで行けます.
が,あえなく失敗.ティッシュはメラメラと燃え上がったものの,燃え尽きてもタブレットには引火せず.
もう一度チャレンジするも,焦げ目が付くのみで引火せず.
子供に『燃やして良い紙を破って持って来て』って言ったら,点数の悪かったテスト用紙が千切れて登場… :-) .
火口の炎症時間を調整するために紙を破って入れてみたけど…
またもや焦げ目が広がるだけに.もしかしたら,火口に使ったテストの点数が低すぎたからかもしらん :-P
結論としては,着火性が極めて悪いので,ライターやトーチが無ければ着火は無理/困難です.
ライターで少し炙ったら,スッと着火しました.
簡単に引火し過ぎるのは怖くて嫌ですが,着火しにくすぎるのも考え物かなぁ….
ストーブがウインドスクリーン的に働くので,多少風が吹いていても,ガスストーブのときのような心細さがありません.これはイイかもしれない.
炎を上げて燃えます.ブォーッて感じでは無く,柔らかくメラメラという感じなので怖くはないです.
かなり大きな炎が上がります.
が,500ccの水は3分半後にチロチロと水泡が出てくる程度.
既にこの時点で半分近く燃料が無くなっているような感じ.
果たして沸騰したお湯は出来るのでしょうか…
10分経っても沸騰せず.
嗚呼,もう燃料が…風前の灯火.
ちなみにお湯の温度は72度まで上昇しました.
クッカーの温度は112度でした.
15分程で燃料が燃え尽き,自動鎮火.ついにグラグラを沸き立つお湯を見ることは出来ませんでした.
燃え尽きた燃料カス.
炭化した部分を擦るとストーブに貼り付いている燃料の燃えカスが露出.
クッカーの裏にはベッタリと煤が付着.
擦れば取れるのですが,ガスストーブと比べ,掃除が大変ですな….
ストーブの方は,ゴシゴシと燃えかすを取ってこんな状態に.まぁ別に衛生的にも実用的にも問題無いので,こっちは良いでしょう.折り畳んでザックに詰めれば,炭化した部分が周りの荷物に当たることも無いですし.
裏側はこんな感じで綺麗な物です.
と,いうことで,お湯を沸騰させるくらいの火力はあるかと思ったのですが,残念ながらありませんでした.そして雰囲気的には,タブレットを増やせば何とか沸騰させられるかもしれない…なんて感じは全くありませんでした.
ただし,70度以上にはなりましたので,ごく簡単な調理/料理の温め直し程度であれば十分実用的に使えそうです.
そして何よりその小型軽量さ,カシャッと開いて組み立てるストーブのギミック,タブレット形状の燃料,そしてストーブと一体化して収納できる必要十分な量の燃料タブレット.ガジェット好きには堪えられない魅力満載です.
主役を張れるストーブではありませんが,何かあったときのための保険に,一セット持っておくというのは良いかもしれません.ミリタリーの燃料であれば,一箱で15分*6で90分の調理が可能です.数箱備蓄してもそれ程嵩張りません.また,タブレットは使い切らなくても良く,消火して次回また残りを使うと言うことも可能です.燃料のストックが容易で,使いかけが無駄にならないというのは便利かも.
最後に1点.今回使ってみて感じた欠点は,その火力の弱さとクッカーを汚す煤の他にもう一つあります.それは燃料の独特な臭い.まるでカニのような匂いです.苦手な人は強烈に苦手かも.
| 固定リンク
コメント