WiFiで繋がるポータブルNAS(2):maxell AirStash MAS-A02A
前回はHDDを共有するWiFi接続のNASを紹介しましたが,今回はSDメモリカードを共有するAirStashの紹介です.国内ではmaxellが代理店ですが,『WiFi接続のSDメモリカードリーダー』的な紹介をされているため,『勿体ないなぁ』と思った次第.この製品のポテンシャルはこんな物ではありません.
更に,maxellは積極的にアピールしていませんが,製造元が昨年末に公開した新ファーム(version 2.x)が神ファームでして,SDXC対応,WPA2対応,無線ブリッジ対応,WebDav対応といった修正が施されています(2013年2月現在の最新版は2.0.1).これでこの製品の真価が発揮出来るようになったと行って良いでしょう.
そりゃそうですよね.今時メモリカードはSDHCまで,無線LANの暗号化はWEPのみなんて仕様ではダメダメです.単なるWiFiでカメラで撮った物をスマホに転送するだけなら別のソリューションもあるわけで(最近のデジカメは標準搭載している場合があるほか,Eye-Fi
やFlashAir
を使うという方法は広く知られています),割高な価格のAirStashを買う人は殆ど居ないでしょう.
と,いうことで,新ファームで使うAirStashです.
パッケージはこんな感じ.一通り日本語化されていますが,旧ファームのままです.もしかしたら…このパッケージが捌けるまでは新ファームを出荷出来ないということかも….
iPhone/iPod touch/iPadからWiFiでSDメモリカードを読み書きできますよ~.バッテリで動きますよ~というのがこの製品のポイント.
対応フォーマットであれば,iOS用の専用アプリから表示/再生可能.文書であればMS Office系,txt,rtf.写真はjpg,tiff,gif,動画はm4v,mp4,mov.その他音声色々.
日本語マニュアルと本体.
大きさはこんな感じ.iPhoneよりもかなり小型で,かなりゴツいガムのパッケージという感じ.
ステータス表示用のインジケータは1箇所.緑点滅で電源ON,黄色点灯で充電中.消灯は電源OFF.
iOS用アプリはファームのアップデート機能が含まれています.色々と高機能な製品なので,トラブったときは少々ヤヤコシイことになりがち.まぁ普通に使う分には大丈夫だけど.
本体のアップ.
裏側にはmaxellのロゴと技適のマーク.
これが電源ボタン.この下にステータス表示用のインジケータが入ってます.
SDメモリカードリーダ/ライタとしても使えます.キャップを外し,USBポートに挿します.この外したカバーを付けておく場所がない点がちょっと使いにくいかな.
今回は上海問屋の64GB SDXCカードを使用.アンダー3千円.安い.リムーバブルメディアと考えれば,2枚用意してトータル128GBのストレージを6千円以下で確保でき,更にメディアを買い増せば更に容量を増やせると考えるとかなり良い感じ.固定の内蔵フラッシュメモリしか使えない場合に比べてかなり用途が広がります.
Class10,UHS-1対応.
カードのシールはこんな感じ.上海問屋セレクトの花札柄ではありません.
で,こんな感じに挿しまして…
奥までカチッと入れたらOK.カードが飛び出ない点が良いです.
PCのUSBポートに接続すると,USB接続のカードリーダーとして使え,また,その際に内蔵バッテリが充電されます.
充電が終わったらUSBポートから外し,電源を入れてみましょう.この状態でWiFiの親機として動作し,待受を開始します.
***
では,iPhoneからAirStashを使ってみましょう.AppStoreから『AirStash+』というアプリをダウンロードし,実行します.アプリ実行時には,WiFiでAirStashに繋ぐのを忘れずに行って下さい.SSIDは,一覧を見たら分かります:-).最初は暗号化無しでスルスルッと繋がる設定になっていますので,出来るだけ早めにセキュリティ設定するようにしましょう.
AirStashに繋げた後でアプリを実行すると,次のように表示されます.
おそらく最初に使用した場合,『ファームをバージョンアップしますか?』のダイアログが表示されると思います.指示通りファームアップしましょう.
別の方法でもファームアップ出来るのですが,私がやった際には思いっきりハマッタのと,リカバリが非常に面倒だったので敢えて方法を書くのをやめておきます.
そしてファームアップ後,まずするべきなのはAirStashの設定.設定画面はこんな感じです.
何はともあれ,真っ先に無線LANのセキュリティ設定をしましょう.設定画面の『DirectLink』から辿り,以下の画面で設定します.WEPはとてもセキュリティレベルが低いので,WPA2推奨です.ファーム2.x以降であれば,WPA2が設定できます.
設定画面の『SideLink(TM) Beta』の項目が気になったかもしれません.これは無線LANブリッジとして動作する機能です.
予めAirStashにインターネット接続可能なWiFiに接続する設定を行っておけば,例えばiPhoneからAirStashに接続することにより,WiFi接続を切り替えなくてもインターネット接続可能になるというものです.
現在のストレージの状態は『カード情報』で見ることが出来ます.SDXC 64GBの全領域が見えていることが分かります.
で,(昔,手持ちメディアを落とした)動画の入ったフォルダを降りて行くとこんな感じ.m4vには対応しているため,サムネイルも表示されます.そしてmkvは非対応.
対応しているファイル形式の場合,タップすると再生が始まります.
非対応のファイルは,別の方法で再生することにします.今回使用したのはGoodPlayer.
下の画面を見ても分かる通り,AirStashはWebDAVで中身を見ることが出来ます.URLは『http://airstash.net/files/』です.
で,こんな感じに降りていきまして…
mkvの再生もOK.
当然ながら,PC/Macからも接続できます.ThinkPad X100で繋ぐとこんな感じ.
Google Chromeで先のURLにアクセスし,降りていくと次のように見えます.
動画をクリックするとブラウザ内でプレイヤーが起動し,再生開始します.便利.
動画再生に関して補足すると,ビットレートが高いと再生が引っかかったり一瞬止まったりすることが多いようです.また,iOS用アプリから再生する方が,PCでブラウザから再生するよりも,安定して再生できるような印象を持ちました.
Win8ではExplorerでWebDAVが一応マトモにサポートしているっぽいので,WebDAVでマウントしてみましょう.アドレスバーに先のURLを入力すると,ローカルディスクと同じように見えます.
ただ,ローカルディスクと同じように使おうとしたら,ハマりました.大きいファイルを読み書きしようとすると,フリーズしたかと思うほど非常に重くなったりしました.
***
次に,普通のUSBメモリカードリーダーとしての性能を見てみましょう.
今回AirStashで使用している64GB SDXCカードを性能に定評のあるUSB3.0対応 SD専用カードリーダーで読むと,こんな感じです.Class10として見たらまぁまぁな性能ですが,倍の値段であれば,速度も倍近く出るカードもあります.データの入れ替えを頻繁にする場合は,より高速なカードにした方が良いかもしれませんね.
で,このカードをAirStashに入れ,USB3.0のポートに挿すとこんな感じ.トップスピードが10MB/s程落ちてますが,USB2.0のメモリカードリーダーとして見た場合,まぁ許容範囲ではないかと.
****
まとめ.
大きさ,稼働時間を考えると,手軽に持ち出せ,気軽に外で使えるWiFiストレージと言えます.充電時間2時間であり,稼働時間が7時間というのも素晴らしい.また,電源ONから3秒程でSSIDが見えるようになる高速さもグッド(他の製品は,平気で40秒以上かかるのがある).
難点は,少々転送レートが遅いっぽいこと.そして対応するフォーマットの制約が大きいことかな.
SDXCカードの規格は64GB~2TBまでサポートしているのですが,AirStashはFAT16/FAT32のみの対応.NTFSと言わないまでも,せめてexFATに対応していたらMacやWindowsからもっと自由に使えるのになぁと思うとちょっと残念です.FAT32だと,最大のファイルサイズが4GB未満に制限されてしまうのも少々嫌な感じ.
この部分は今後ファームアップで対応して来るかもしれないので,期待してウォッチして行きましょう.
そしてWindows/Macから大容量メディアをFAT32でフォーマットする方法ですが,こちらのページに詳しくまとめられています.Windowsであれば,SD Formatterを使うのが一番手軽そうです.
と,いうことで,次第に値段もこなれて来たAirStash,如何でしょうか.大きさ・重さ的にあまり邪魔にならないので,私は持ち歩きグッズ一式の中に入れ,持ち歩くようになりました.
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