写真を撮る楽しみを味わう:Canon EOS Kiss X5 (1)
実は昨年11月のことになるのだけど,CanonのEOS Kiss X5を購入しました.
このカメラ,Canonのデジタル一眼のラインナップの中では,エントリー機としての位置付けになっています.CMのせいか,銀塩カメラのときから『親が子供の成長を綺麗な写真に残すために…』というイメージがある製品.そんなわけで,ママさんカメラ的な-悪く言うと,『メカ音痴の素人向けカメラ』的なイメージ-を,そこはかとなく持っていました.
しかし,いざ実際に使ってみると,驚く程の綺麗な写り.そして凝った使い方が出来る一方で,何も考えずにパシャパシャ撮れる使い易さ.雑誌でベストバイのデジイチに選ばれることが多い理由がよく分かります.
そんなわけで,少しでも多くの人にこの魅力をお伝えすべく,モノ/ガジェット視点でのレビューをば.主に『もっと綺麗に撮れないかなぁ』とお悩みのコンデジユーザ向けに書いてみます.
* * *
私のデジカメ歴は,QV-10からです.その後現在までに購入した機種は,気が付くと二桁になっていますが,全てコンデジです.
ただし,一時期『ポケットに収まる一眼レフ』とまで言われたMINOLTA TC-1に惚れ込み,ドップリと銀塩カメラに回帰していた頃もありました.これは『TC-1の写り』と『フィルムスキャナを使ったときの解像度』に魅力を感じていたからです.10万円クラスのGR等の高級銀塩カメラがデジタルにシフトした頃以降は,(少なくともアマチュアレベルであれば)写りも解像度もデジカメで遜色が無くなり,そして現像を必用とせず,撮影後すぐに内容を確認出来る手軽さもあり,再びデジタルオンリーになりました.
メーカーはCASIO,SANYO,FUJIFILM,Nikon,Panasonic,Canon等,行きつ戻りつ色々と渡り歩いて来ましたが,必ずポケットに入る程度のサイズの機種を選んで来ました.
メーカーにも機種にも拘りがないけれど,サイズにだけは拘っています.理由はその機動力.やはり普段持ち歩け,『おっ』というときにサッと取り出してカシャッと撮影出来る魅力は何者にも代え難い.
とは言え,最近このような状況が徐々に変化しつつあります.
かなり主観が入っていますが,ある意味私がコンデジに求める機能は,Canon PowerShot S90でほぼ満たせた感があります.後継機として,これまたとても魅力的な機種であるCanon PowerShot S100 が出ていますが,『どうしても買い換えたい』という程の強い欲求は得られませんでした.そして他のコンデジにもそこまでの魅力を感じませんでした.
他方,昔は『カメラには及ばないけどまぁ一応写せる』程度の品質だった携帯電話のカメラ機能が,動画撮影機能も含めて急激に進化したのには驚きました.嫁さんのiPhone4Sを使った際には,『もうコンデジいらんかも…』と,思った程でした.特に携帯やコンデジでは厳しい品質になりがちな,暗いシーンでの撮影でも驚きの写りでした.
そんなわけで,今もPowerShotS90を持ち歩いているけれど,もしかしたら来年の今頃は持ち歩かなくなっているかもしれません.早くiPhoneの新機種出ないかな….
周りを見回すと,割と同じようなことを言っている人がかなり多いです.では,デジカメは全て携帯に吸収されるのかと言うと,私はそうならないように思います.
ここ数年のミラーレス一眼の流行を見ても分かる通り,『画像として記録出来る』というだけでは無く,カメラ本来の『楽しさ』という方向性や,『写りの良さ』という基本的な部分が,共に大きく評価され始めているように思えるからです.
楽しくなきゃ&納得の行く画質なければ,あんなにゴツイ物を持ち歩くわけがありません.(一部の層の)ファッションに取り入れられたという面もあるかもしれませんが,写真を楽しむ人の裾野が広がったのは間違いなさそうです.
* * *
私の場合,デジイチの購入を検討した一番大きな理由は画質です.デジイチの画質はコンデジと比べものにならないくらいに綺麗.
特にそれを感じたのは,懇意にしている近所のおっちゃんが『おっちゃんも撮ったるわ』と,デジイチを持ってきて子供のイベントを撮影してくれたとき.私は主に動画班(笑)だったのですが,たまにコンデジで静止画も撮影.そして撮影された画像のクオリティの差に愕然.
コンデジの物を『記録用の画像』だとすると,デジイチの方は『作品』という感じ.頭では分かっていたけれど,同じ対象をほぼ同じように撮影して,これだけ差が出るんだというのをまざまざと見せ付けられてしまうと,実にインパクトがデカイ.
と,いうことで,常々画質以外にも,『背景をもっとボカシたいな…』とか,『もっと暗い所に強くならんかな…』とか,『もっとズームしたいなぁ』のような不満を感じることもあったので,今回購入に踏み切った次第.
ただし,コンデジからの買い換えでは無くて,買い増し.コンデジは今後もしばらくは使い続けます.この部分はiPhone5のカメラの完成度にも左右されるかもしれません.
* * *
では,コンデジとミラーレス・デジイチの違いについてのおさらい.
デジカメの画質を決定的に分ける大きな要因は,やはりレンズとイメージセンサであると言い切っても良いでしょう.細かい話をすると,画像処理チップが云々かんぬん…
ミラーレスとデジイチはレンズが交換できるので,例えば広角が欲しい/超望遠が欲しいという場合には,用途に合ったレンズに交換できますし,明るさや色味等も様々な特性を持ったレンズの中から選択できます.一方コンデジは,搭載出来るレンズにサイズ的な制約があるため,レンズが暗かったり,ズーム倍率等に制限が出やすい.特にレンズの明るさは画質に大きく影響を与えます.例えば室内撮影のような場合,センサの感度をかなり上げざるを得ずにノイズだらけの画像になったり,シャッター速度を大きくせざるを得なくてブレブレになってしまったりということが起きます.
そして画質に大きな影響を与えるもう一つの要因である『イメージセンサ』について一言で説明すると,サイズが全然異なります.
デジカメで使用されている代表的なセンサの大きさを比較すると,こちらの画像のようになります.コンデジの中で『センサが大きい』と言われていたPowerShotS90でも,高々1/1.7mmサイズ程度です.ミラーレス以上のカメラで使用されているセンサと比較すると,もうオモチャのようにしか見えません.
そのため,コンデジとデジイチが同じ画素数であった場合に1画素当たりの表面積を比較すると,コンデジの方が極めて小さくなります.するとレンズの条件が同じであったとしても,コンデジの場合は1画素に当たる光の量が極端に少なくなり,情報量が減るため,感度的にも色的にも厳しくなるわけです.
そのようなわけで,デジカメ初心者の場合は『画素数』というキャッチーなカタログ値のみに目が行きがちですが,注目すべきはレンズ性能(例:明るいレンズ(F値)が小さいと,それだけ多くの光をセンサまで通過させることが出来ます)とセンサのサイズです.
このような観点から,実際に購入する機種を絞り込んで行ったわけですが,マイクロフォーサーズ系は筐体サイズが魅力的だけど,センサが少々小さいので今回は除外.最終的に普通のサイズのデジイチと,APS-Cサイズのセンサを採用したミラーレスのNEX-5 とに絞り込みました.
まぁ今ならFUJIFILM X-Pro1やSONY NEX-7 も候補に入って来るかもしれません.この性能&価格帯のゾーン,急に賑やかになって来ましたね.
そして最終的に選んだのは冒頭に書いた通り,Canon EOS Kiss X5です.
スペックや巷での評判等を踏まえて検討したわけですけど,決め手は
- デジイチ新規購入なので,レンズ資産の縛りが無かったこと(デジイチのレンズは,基本的にメーカー毎に異なる)
- 安かったこと
- 使いたいレンズがあったこと
- レンズを複数持ったら,ミラーレスでもデジイチとあまり変わらないカメラバックの容積が必要になるだろうという感覚
辺りかな.
実のところ,一番背中を押された要因は,魅力溢れるこの動画を観ちゃったことだったというのは秘密だ.
いやー.この動画,財布の紐に対する破壊力デカイです(笑)
ただし今振り返ると,パンケーキレンズを付けっぱなしにすればかなりコンパクトだし,動画撮影用としても実用的に使えるNEXにしておいた方が良かったかな…なんて気が…少ししています….まぁ…また次に買い換える際に悩む楽しみが出来たと言うことで(笑)
* * *
と,いうことで,発注翌日にAmazonさんからブツが到着.
私はダブルズームレンズのセットを購入したけど,それはコストパフォーマンスを考えてのこと.最終的に別のレンズを使うことになるかもしれないけれど,約1万円で中望遠と望遠のズームレンズが付いてくるというのは有り難い.
ちなみに私が購入したときは,6万円台前半でした.時期によって1万前後の価格変動があるのですが,下落するだけではなくて上がるときもあるのが悩ましい.とは言え,『必要なら即,買うべし』ですが.
上の箱は別途購入したレンズ.下の箱の方に,カメラ一式が入ってます.
早速開梱.カメラ以外にも色々入っているけど,これらに関してはまた次回.
ダブルズームキットの箱はコレ.結構大きい.
この動画の影響を受け,アップルの人 も買ってみた.後悔はしていない(笑).
『ダブルズームレンズキット』の箱を開けるとこんな感じになっており,中に更に箱が.
右が本体+中望遠のズームレンズ( EF-S18-55mm F3.5-.5.6 IS II
)1本.左が望遠のズームレンズEF-S55-250mm F4-5.6 IS II
).リンク先を見ても分かる通り,レンズを別途購入すると合計で4万円弱します.如何にこのダブルズームレンズキットがお買い得か分かります.
白箱の中のEF-S55-250mm F4-5.6 IS IIは,このように厳重に梱包されています.
と,いうことで,内容物一式.
デジイチ本体と共に購入すべきものは色々とあるのだけど,絶対に購入しておくべき物は,レンズプロテクター.同梱のズームレンズ2本用にKenko PRO1D プロテクター 58mm を2つ購入.
レンズはデリケートな物です.汚れや傷が付いてダメにしないようにも,是非購入しておきたいアイテムと言えるでしょう.
そして次にブロアー.レンズやボディに付着した埃を吹き飛ばす際に使います.
レンズを不用意に拭くと傷が行きますし,(する人は居ないと思いますが)『ハー』して『フキフキ』しようものなら,致命的な傷や汚れが付いてしまう場合もあります.メンテの際には,ブロアーが必須です.
私はコンデジメンテ用の小型の物を持っていましたが,少し大型のコレを購入しました.メンテの手間が全然違います.使い易いのでオススメ.
では,レンズプロテクターを取り付けましょうか.
レンズの埃をブロアーで吹き飛ばし…
プロテクタをねじ込みます.これで一安心.
次にレンズをボディに取り付けてみましょう.
リング上のマークを合わせてはめ込み,カチッと回します.
やはり55-250mmレンズは長いですな.
ボディ部分のEOS Kiss x5のプリントのアップ.
ボディは樹脂製の部分が多く,ちょっと引っ掻くと簡単に傷が付きます.
それほど高級な感じがしない一方で,チープな感じもしません.良くも悪くも普通な感じ.『一生物』という値段でもありませんので,傷を気にせずに『光を切り取るための消耗品』と考え,ガシガシ使い倒した方が元が取れそうです.
背面はこのような感じ.
光学ファインダーがあると安心します….
液晶はこのように引き出して上下方向に回転させたり(角度制限有り),ひっくり返してボディの背面に収めることが出来るバリアングル液晶を搭載.映像を確認しながら,かなり自由なフォームで撮影が出来ます.
なお,光学ファインダーを使用する場合は液晶が眩しく感じるので,ひっくり返して収納しておく方が良いでしょう.
そして底部はこのような感じ.バッテリの蓋,三脚取り付け用のネジ穴等があります.
バッテリの型番はLP-E8 .7.4Vの1080mAhです.通常のコンデジ用と比べると少し大きめ.
この黄土色の保護ケース,コツが分かるまでは外すのが結構難儀でした.少し捻るようにしながら外すのがコツ.
側面には保護用の蓋付きで,リモコン,マイク,AV,HDMI出力端子があります.
記録メディアであるSDカードスロットは,グリップ側の側面.
屋外でも使いますので,やはり液晶保護フィルムも必要かなぁと思って購入しました.
フィルムを貼るときは,いつも緊張しますな…
昔は気泡が入って失敗することがたまにあったのですが,最近はコツを掴んで綺麗に貼れるようになりました.小道具として,セロテープを用意しておくと良いでしょう(液晶面の細かな埃の除去用).
電源ONして日付設定したら,即実戦配備です.
長くなりましたので,今日はこの辺りで.
次回に続きます.
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