SD/microSDカードをRAIDで使用し,大容量USBメモリを作る
3GやWIMAX,その他諸々の手段を使用することにより,出先であっても高速にネットワーク接続することが可能になりました.そのため,社内サーバ/レンタルサーバ/自宅サーバに諸々のデータを置いておき,外からそこにアクセスして使用するということがやりやすくなりました.
しかし,やはり重要なデータや大容量なデータは手元に置き,外出時にも手軽に持ち出せるようにしたいもの.その方が,通信時のセキュリティ上の問題や通信速度の問題,そして『電波の入りが悪くて繋がらね~』のようなトラブル時の備えになります.ただ,物理的に壊れたり紛失した場合のことを考えると,バックアップをクラウド環境に置いておいたり,データを暗号化しておく等の形で,セキュリティ対策を取る必要がありますが.
で,私の場合はもう一つ切実な問題があります.それはMacBookAirの内蔵SSDが128GBしか無いせいで,重量級のデータは外付けデバイスに置かざるを得ないという問題です.
『節約しつつ使えば何とかなる』とか思っていた128GBですが,やはり次第に空き容量が乏しくなって来ました.しかし普通のUSBメモリでは容量的に心許なく,そして外付けHDDでは扱いに少々神経を使う必要があります.
かと言って,『SSDを使用した外付けディスクはまだ高いしなぁ』なんて思っていたときに見付けたのが,今回紹介する製品です.
タイトルの通り,こんな感じに使える製品です.
今回は2つ程製品を紹介しますが,まずはSD/SDHCカードを4枚まで使用することが出来る,『最大4枚のSDカードを合わせて容量合体 SD/SDHCカード用 コンバイン接続式 カードリーダー 上海問屋DN-YCR-JR70104SD [メ04]』(長っ)という製品.
最大容量は32GB*4で128GB也.
裏側にマニュアル.
ご存知のように,通常のSDメモリカードはHDDと比べてアクセス(特に書き込み)が低速です.しかしこの製品は,SDメモリをJBODで繋げて容量の大きな1台のボリュームとして見せるだけではなく,特定条件下ではRAID0化し,アクセスを高速化する機能も持っています.
ここに書かれている説明では,RAID0化によって『2~3倍速くなりまっせ』とのこと.
本体とUSBケーブルが入っています.本体はかなり小型で薄い.
本体はシャイニーブラックのテカテカ仕様.miniUSB Bのポートが1つだけ付いています.
裏側はマットな仕上げ.個人的にはテカテカ系は好みではないので,全体的にこのような仕上げにして欲しかったなぁ.
で,SDメモリの取り付けの際には本体を分解する必要があるのですが,両サイドにこのような切欠きがあるので,本体の爪を割らないようにこじって開けます.
この写真を見ると分かる通り,本体両サイドは軽くRが付いています.普通に四角になっていた方が収まりが良いのだけどなぁ.
それぞれのスロットに番号が書かれていますので,SDカードを挿入する際には,この順番で入れます.
使用レポートは本エントリーの後半で.
次なる商品は,microSD/microSDHCカードを2枚使用可能な,『2枚のmicroSDカードを合わせて容量合体 microSD/microSDHCカード用 コンバイン接続式 カードリーダー 上海問屋 DN-YCR-JR70102SD [メ01] 』という製品.こちらも商品名が長い(笑).
前述の製品と同様,このような簡易パッケージに入って売られています.
同様に裏側がマニュアル.
こちらもRAID0化により,『2~3倍の速度向上がありまっせ』という説明.なお,microSDHCカード2枚までになるため,64GBが最大容量になります.
本体はこのような普通のUSBメモリのような形状.
片側にmicroSDスロットが上下に2つあります.
コネクタ側はこのような感じ.キャップ式です.
microSD/microSDHCカードを用意し…
このように差し込み…
奥まで挿し込めば準備完了です.
なお,それぞれのカードがフォーマット済みであったとしても,PCに接続した後で,1つのボリュームとしてフォーマットし直す必要があります.
利用時は赤いLEDが点灯/点滅します.
少し使ってみた感想では,
- もう少し長さが短ければ良いな
- キャップ式ではなく,コネクタがスライド式だと良いな
辺りが気になった点です.
欲を言うと,本体に横向きスロットをもう2つ程追加し,最大容量を128GBにして欲しかったかな….
そこそこ容量の大きなmicroSDHCカードが手元に余っている場合は,かなりリーズナブルに,大容量USBメモリを作ることができるでしょう.
では,今回の主役である,SD/SDHCカードを4枚使用可能なアダプタについて詳しく見てみましょう.
まずは手元にあった,SDHC 32GB Class10( 2,268円也)を2枚使用してみることにします.
32GBのClass10のSDHC カードが2,500以下になるなんて…安くなりましたなぁ.
このような形で2枚挿入します.
USBケーブルを接続するとPCからは1ボリュームとして認識され,フォーマット後に利用出来るようになります.
利用時は,青いLEDが点灯/点滅します.
explorerを見て『おっ』と思ったのですが,
通常の『ディスク』ではなく,このように『リムーバブル ディスク』(画像中,選択状態にあるディスク)として認識される点がちょっと変わっているかな.
では,容量が異なる物を併用したらどうなるでしょうか.
このように,2GBと8GBのSD/SDHCカードを用意し…
挿入してみました.
PCに接続すると,合計容量(32+32+2+8-神様の取り分(笑))の容量のリムーバブルディスクとして認識されました.ただし複数の容量のディスクが混在しているために,RAID0化はされていないようで(当然だよね),遅いです.
では,ベンチを取りながらもう少し細かく見てみましょう.なお,以下は断りが無い限り,NTFSのアロケーションサイズ1024Bでフォーマットしています.フラッシュメモリの寿命をあまり削らないために,2回計測&100MBの設定で計測している点はご容赦を.
○32GB Class10 1枚の場合
○32GB Class10 2枚の場合
○32GB Class10 3枚の場合
○32GB Class10 4枚の場合
○32GB Class10 4枚でexFAT(8192B)でフォーマットした場合
○比較
全ての結果をグラフにすると次のようになります.
以上の結果から,同じ容量,同じクラス(速度)のSDカードを使用した場合,奇数枚のときは普通にJOBD,偶数枚の時はRAID0化されて速度が向上していることが分かります.そのため,速度の点からだけ見た場合は,3枚挿しよりも2枚挿しに抑えておいた方が有利です.
次に速度の向上率を見ると,概ね1倍~1.5倍程です.そして書き込み速度が殆ど向上していない点が目立ちます.
この部分は,おそらく使用するSDカードの性能にもよると思われます.今回使用したカードは一応Class10ですが,『あまり速くない』と評価されることがあります.速度に定評のある製品であれば,もしかしたら劇的に速度が向上するかもしれません.ただし,価格面では大きくコストアップになるでしょうけど….
そしてもう一点速度の点で言及するとしたら,NTFSよりもexFATの方がパフォーマンスが良いという点でしょうか.これはファイルシステムの軽さが原因ですが,私のようにMacでも利用したいと考えている人には有り難い結果だと思います(MacでもNTFSのディスクをを読むことが出来るが,書き込みが出来ない(純正環境の場合)).
***
以下,まとめです.
今回紹介したような製品を使用することによって,『手持ちの余ったメモリカード』を有効利用し,手軽にUSBメモリ化が可能になります.そしてそのコストも,かなり低く抑えることが可能です.
例えば128GBの容量を持つドライブを考えた場合,SSDを使用した外付けディスクやUSBメモリは共に2万円前後します(2011年12月現在).その一方で今回紹介した製品では,1,299円+2,268円*4で,合計10,371円(税込)で組むことが出来ます.約半額.これは有り難い
そしてSDメモリも今は丁度過渡期.次第に64GB以上の容量に対応かつ高速なSDXCカードに移行しつつありますが今はまだ高価で,そしてSDXCに非対応の機器もかなり存在します.
そのようななわけで,廉価になったSDHCの最大容量である32GBのカードを購入するのが,現時点では最も諸々のパフォーマンスが良いでしょう.しかし,SDXCが十分に普及価格に落ちてきた際に,下手したら大量のSDHCカードが余ってしまいます.
こんなとき,SDHCカードを使い回すことが可能なソリューションを予め用意しておけば,無駄にすることを躊躇して必要なのに買い控え,その結果日々の運用で苦労する…という悪循環を絶つことが出来ます.
値段から考えても,結構お得感がありますので,1~2個持っておいても良いアダプタだと思います.
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