Gladinet Cloud Desktop ver 3 と Google Docsの組み合わせ
今年の1月にこのようなエントリーをポストしましたが,その後すぐにGladinet Cloud Desktopのバージョンが上がっており,現在はver3.2になっています.
不具合の修正や新機能の追加等が行われているので,verup推奨です.また,無料版で『結構使えるじゃん』と,感じた方は,有料版にアップデートして,諸々の制限を撤廃して速やかに使い始めるのが宜しいかと.
そんなわけで,タイトルに関連した私の使い方を少しご紹介.
前回のエントリーと重複する内容は極力避けますので,まずはこちらを読んだ後に以下をお読み頂けると幸いです.
オンラインストレージサービスは多々ありますが,純粋に外部ストレージとして利用可能なものは,あまり多くありません.多くのサービスは内蔵ディスクと同期するため,内蔵ディスク以上の容量は扱えなかったり,扱いにくかったりします.
以前,この辺りの事情はSugarSyncを紹介したエントリーでも少し触れましたが,やはり縛りの無いストレージサービスは,商売として成り立ちにくいのかもしれません.
この手のサービスは,バックエンドとしてAmazon S3を利用しているサービスが多いことが知られています.そしてAmazon S3はこのような課金体系になっており,静的なストレージ容量だけではなく,データ転送量に対しても課金されます.
つまり,外部ディスクのような使い方をされると,転送量が相当増加することが予想され,結果,運営コストが嵩みます.そして一部のヘビーユーザーが滅茶苦茶ヘビーなトラフィックを発生させ,全体平均を大きく押し上げることになるのは想像に難くありません.そうなると,かかり高めの価格設定にせざるを得なくなり,ユーザーが限られてしまう.その一方で,利用料が変動する従量制課金は,一般に(普通のユーザからは)敬遠されますので,導入しにくいでしょう.
そのようなわけで,『容量無制限のオンラインバックアップサービス』というサービス(1Mbps前後に帯域が絞られているのが一般的です)が存在する一方で,お値頃感のある,外部ディスク的に利用可能なオンラインストレージサービスがなかなか存在しないのが実情です.
『無いなら常時接続の自宅でサーバを立ち上げ,今流行のパーソナルクラウドだ!』と,いう手もありますが,耐障害性やメンテナンス,運用の手間暇やコストを考えると,やはり一般的なクラウドサービスに任せたい所です.
(パーソナルクラウドに関しては,また日を改めてポストしようと思います)
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と,言うことで,前置きが長くなりましたが,Google docsは非常にリーズナブルな値段かつパフォーマンスに優れたストレージと言えます.プライシングを見てみますと,このような感じ.私は現在400GBで契約していますが,年間$100です.Amazon S3の価格表と比べると,転送量による課金抜きの状態で,既に5倍ほどの差が付いています.
確かにベアドライブの価格と比較すると,かなり割高に感じられるかもしれませんが,ネット接続されていればどこからでも利用出来,また,冗長化&きちんと管理されていて,自宅に転がされているNASよりも遙かに安全と考えれば,納得できる範囲です.
そして速度に関しても秀逸で,私の自宅で計測した際には,40Mbps弱出ていました.環境によって変動しますが,元々帯域を10Mbps以下になるように絞っている多くのオンラインストレージサービスと比較すると,正に別世界です.
ただしGoogle docsは,本来Webブラウザを介して使用するwebアプリです.通常のストレージとして利用可能にするためには,今回紹介しているGladinet Cloud Desktopのようなソフトが必要になります.この組み合わせは実に快適です.
しかし,Gladinet Cloud Desktopは,クラウド上に置かれているファイル(キャッシュされていないファイル)のファイルサイズやタイムスタンプを取得出来ません.そのため,更新の有無をチェックし,更新があったファイルを選択的にバックアップということが困難.
私はこの点はある程度諦めていて,Google docsは倉庫代わりに使っています.つまり,更新をかけるファイルの置き場所としては利用せず,固まったファイルを置く場所として利用しています.そしてファイルのコピーは手動で行ったり,『ファイルが存在しない場合にコピー』というモードでフォルダの同期ソフトを手動で動かしたりしています.倉庫として利用するならば,この方法で十分です.(バックアップやフォルダ同期の機能は,Gladinet Cloud Desktop Pro(有料版)にも備わっていますので,これを利用するのも良いでしょう)
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Gladinet Cloud Desktopを介してGoogle docsを利用することにより,Google docsの不具合を一部回避できるという副次的なメリットもあります.
例えば,Google docsでゴミ箱を空に出来ないという症状に遭遇した人は多いと思いますが(*),Gladinet Cloud Desktopを利用することにより,このような消せなくなったファイルやフォルダを消去することが出来ます.
(*)おそらく,ファイルの管理情報に不整合が発生している.これまでファイルの消失に遭遇したことは無いものの,重複したフォルダが複数出来たり,消せないファイルやフォルダが出来ることは頻繁にあります.
具体的な方法は,1)フォルダを作成して,その下に消したいファイルやフォルダを移動する 2)そのフォルダをexplorerで消す これでおしまい.とても簡単.困っている人はお試しあれ.
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最後にGladinet Cloud Desktopを介してGoogle docsを利用することによって発生したデメリット.
Gladinet Cloud DesktopのFAQやフォーラムのディスカッションでも出ていましたが,同じ名前のフォルダが複数出来てしまうことがあります.Explorer上では確認出来ませんが,Webブラウザからアクセスすることにより,確認出来ます.
例えば下に示す画面では,『home_music』というフォルダが,『捨てる用』の下に無数に出来ているのが分かると思います.
これは,Google docsは同じ階層に同名のファイルやフォルダの存在を許容するシステムであること,そしてAPIを利用してフォルダを作成した際に,たまにsuccessを返さない(?)場合があることを原因としています.
つまりフォルダ作成時に,『作ったよ』という返事が返ってこないが為に,何回か『フォルダを作って』というリクエストを繰り返してしまい,結果,複数の同名フォルダが出来ていたということになるわけです.調子が悪いと(?),夜中にコピーを開始して朝見てみたら大量のゴミフォルダーが…という事態もありました.
通常のファイルシステムではこのような状況は許容しませんので,上記の状態であっても,explorerからは以下のように見えます.
『home_music』が一つしか存在しないように見える事が確認出来ます.
Gladinet Cloud Desktopからのみ利用すれば実害は無いものの,この挙動は少々嫌な感じと言えばそうですな.私はと言うと,『面倒くさいなぁー』なんてブツブツ言いつつ消しています…
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以前,hiroさんも書かれていたことですが,家族との想い出の一杯詰まった写真や動画,その他データは,一回失われてしまうと,永遠に取り戻すことが出来ません.そして同時に,失うことによるダメージは計り知れません.その他のデータであれば,大抵誰かが複写かオリジナルを持っているでしょうけれども,これらデータは自分しか持っていないことが殆ど.可能な限り,守りたい所です.
デジタルデータであれば,いくらコピーしても内容が劣化しません.ですので,重要なデータは複数のコピーを持つようにしましょう.そしてこれらが物理的に離れた場所に保管されている状況にしておけば,突発的な事故や災害が発生した際にも,ある程度は保全されるでしょう.
もちろんプライバシーの問題と天秤にかけねばならない部分もありますが,例えばGoogle docsであれば,あなたの想い出のデータを,安全な場所に『共有OFFの状態で』ひっそりと保管しておいてくれるでしょう.
このエントリーは地震の相当前に書いたまま,埋もれていました.このような痛ましい記事を読むに付け,複雑な思いに駆られます…
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