シーリングワックス
『シーリングワックス』をご存じでしょうか.
日本語では『封蝋』とも呼ばれますが,詳しい解説はwikipediaにもあります.封筒に封をしたりするために使われる物ですが,中世ヨーロッパを題材にした映画の中で見かけたり,一部の由緒正しき手紙や酒瓶に見ることが出来ます.古き良き時代においての実用性としては,
- 差出人の紋章を印鑑のように示すことが出来,複製が難しい.紋章は指輪の場合あり.
- 開封されたら蝋が崩れるため,未開封か否かがすぐに分かる
といったものがありました.
しかし今は21世紀.実用性という面では,もっと簡便な方法によって取って代わられています.
では,今は何のために使われているかというと,やはりそのデザインの醸し出す,レトロ感や高級感を味わうためではないでしょうか.文明は効率を追求しますが,文化は無駄をそのまま残します.シーリングワックスを味わうのも一つの文化です.
まぁそんなわけで,昔から『ちょっと試してみたいな』なんて思いつつ,中々欲しいスタンプが補充されない行き付けのハンズの仕入れに業を煮やしつつも傍観していたのですが,近所の雑貨屋に一式置いてあるのを発見.早速購入してペタペタはじめてみました.灯台もと暗しですな.
シーリングワックスを使うために必要な物は,
- シーリングワックス
- シーリングスタンプ
- ハンドル(スタンプの軸)
の3つです.
値段はピンキリですが,3千~4千円程度あれば,一式揃います.『もっと手軽に』ということであれば,CIELO Sealing Wax Set
のようなセットもあります.このセットはカラバリもありますので,好きな構成のセットがある場合はお手軽で良いかもです.
で,スタンプは様々なマークの物の他,アルファベットの物が売られています.ある程度お金をかけて良いのであれば,特注することも可能です.家紋とか作ったら面白そうそうだなぁ…(うちは『丸に右三階松』.スタンプ向きであります).金額を考えると,少々勇気が必要です…いや,いつかは特注し,海外の友人にコレを使って手紙を出すんだっ.
そして注意点は,シーリングワックスの選択.初心者の場合,芯入りのワックスを購入すること.『芯入り』とは,ロウソクのように,芯材が入っていることを表しています.
芯入りの場合はこれに火を付け,溶けたらポタポタ垂らせばOK.芯入りでない場合,ワックスを削って金属製のスプーンに入れ,それを下から(アルコールランプ等で)炙って溶かし…のようなことをしなければなりません.慣れれば直接火に炙って…ということも出来るんでしょうけど(何かの映画で,このようなシーンがあった). ちなみに『ワックスメルティングスプーン』という,シーリングワックス専用のスプーンもあります.このようなページを見ていると,夢が広がりますなぁ.
と,いうことで,説明が長くなりましたが,上の写真が購入した物一式.ワックスの色は定番の赤.
ハンドルはこれまた定番のJ.HERBIN製.ヘルバンでなくてエルバン.ヘルメスではなくてエルメス(この言い回し,懐かしいなぁ).
こんな感じで入っています.
ハンドルのアップ.ハンドルの先端の突起には,ネジ山が切ってあります.
そしてこれが今回購入したシーリングスタンプ.選択したのは『A』です.スンマセン.無難に行ってみました.
裏側はこのようにねじ穴が空いています.
ハンドルにねじ込んで完成.
そしてシーリングワックスもエルバン製.
もちろん芯入りのタイプ.
使い方は冒頭に書いた通り.芯に火をつけ,ワックスを熱で溶かします.女王様になった気分でポタポタとワックスを垂らします.このとき出来るだけ平らになるよう,満遍なく垂らしていきます.
そしてシーリングスタンプよりも一回り大きくなったら火を消し,スタンプを軽く押します.このとき,ムニュッという感覚があります.そして一呼吸置いてスタンプを持ち上げると完成.
下の写真が,記念すべき初めてのスタンプ.失敗です….
反省点としては,
- ワックスをケチらない.スタンプよりも一回り大きく垂らす.
- 少々放置してもすぐに固まらないので,垂らした後に焦ってスタンプ押さなくても良い
- 押した後少し待つが,かと言って長時間押しっぱなしにしない(きれいに型が抜けなくなる)
- 子供の前でやらない
最後が一番重要です.
うちの場合,『貸して貸して触らせてやらせてお願いお願いだからー』と,大騒ぎ.焦ってやったのが一番大きな敗因でした.
その後何度かやったのですが,次第に上達.やはり経験は力なりですな.
***
最後にシーリングワックスに関しての注意点とFYIを少々.
まずは注意点ですが,郵便封筒に使用した場合,重さ等で定形外になって割高料金になる場合があるようですので,ご注意を.
そしてFYIですが,スタンプを見たい場合,東急ハンズに行けば大抵置いてあります.また,大阪のOBPの近くであれば,TWIN21に入っている文具屋さん(*)の品揃えが多くて結構おすすめです.オンラインで購入する場合,例えば楽天であれば,ココやココ辺りが良いかもしれません.
(*)ローカルかつピンポイントな情報ですが,他にも興味深い品揃えで,かなり楽しめます.
それと先程見つけて驚愕したのですが,シーリングワックスのみを採り上げたブログがありました.中の人のシーリングワックスに対する深い愛情や探究心に,頭が下がります.
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