HITACHI HDS722020ALA330 を購入&e-SATAでlinuxBoxに繋ぐ
24時間稼動のファイルサーバを立ち上げていると,何かと便利です.
そして便利な物は使用頻度が高くなるのは当然の摂理.複数のマシンで使用する『利用頻度の高い』ファイルだけではなく,『たまに使う』とか,『いつか使うかもしれない』なんてファイルまでも結構置いてしまいます.ファイルサーバのディスク容量が大きいと,特にその傾向が加速します.
さらにRAIDアレイになっていたりなんかすると,各PCのローカルディスク上に置くよりも安全なため,本来はサーバに置く必要の無いファイルまで置いたりしてしまいます.
そんなわけで,うちの1TB*5で構築したRAID5アレイ(実用量3.5TB)は常に空き容量が逼迫.PT2の録画データもガンガン溜まっていくため,埋まって行くのと容量を開ける作業のイタチごっこです.
そんなわけで,勢いで『全部2TBにして実容量7TBのアレイにしたる!!さらに外付けで6TBのアレイも付けたる!!』とかしようとしたのですが,少し頭を冷やし,今回は外付けで単発HDDを繋げて少し様子を見ることにしました.
今回購入したのは,HITACHIの HDS722020ALA330 ,外付けケースはOWL-ECS35/EU(B) です.
最近のSATAディスクの動向や話題を簡単にまとめると,
- 2TB HDDが1万を切りそうな状況で,容量単価的にもお買い得になってきている
- WDが4KB sectorの製品を出し,各社も今後移行する見込み(でも今は他社は様子見中?)
- 様々な問題が各社の製品で発生中
辺りでしょうか.
まず1つ目.ここ数ヶ月,2TBディスクは各社共に急激な値下がり傾向にあり,ネット通販でも11千円台くらいからあります.メジャーな通販で見ると,例えばAmazonでもこんな感じだし, 楽天でもこんな感じ.店頭ではさらに安いことが多いのですが,まぁこのくらいの価格差なら,忙しい人は通販で買っても良いでしょう.
今後はさらに値段が下がると思いますが,まぁ下がっても数ヶ月で半額になることはないと思いますので,必要であればすぐに購入する方が良いでしょう.時間を数千円で購入したと思えば安いものです.
次に4KBセクタの話.簡単に解説すると,従来は512Byteだった物理セクタ長を4KBに変更するというもの.容量効率の向上(記録密度が高まるわけではない)等が見込めますが,その反面,下位互換性が犠牲になります.技術的な解説は,ココやココ辺りを読んでみてください.
今の所,これはWesternDisigalの*EARSという型番のシリーズでしか使用されていません(WDは,4KB物理セクタを使用する技術のことを,『AFT(Advanced Format Technology)』と,呼んでいます).低消費電力かつコストパフォーマンスに優れたWDのGreenシリーズは大変な人気モデルですが,AFTを使用していないEADSシリーズは国内代理店で扱いが無くなったようで,EARSしか選べなくなりつつあります.
そして『下位互換性が犠牲』という部分が肝なのですが,セクタ長を512Byteと見せかけて利用できる仕組みも用意されているものの,Windowsで言うとVista以降のOSでパーティション分け&使用しない限り,かなりパフォーマンスが落ちます.幸いなことに,Linuxでは対応がかなり進んでいるので,新しめの環境であれば問題なく利用できるでしょう.ただし,組み込み系では問題を抱えている場合もあり,NASの有名所であるQNAPですら,つい先日対応ファームが公開されたばかりです.
そして3番目の問題はかなり気になるところではないでしょうか.
トラブルの原因は,環境依存,固体差,ファームのバグ等様々ですが,メジャー所3社の話をざっと調べてみますと,
- WD:『低速病』,Intelliparkの問題
- HITACHI:同一ドライブ内ファイルコピーでの(?)『低速病』
- Seagate:昨年発生した深刻な問題と対応の悪さ
等が挙げられます.詳しくはGoogle先生に聞いてみてください.
なお,ココでも触れましたWDのIntelliparkの問題に関して少し補足しますと,メーカーとしては『仕様』という扱いのようです.最近某所のLinuxBOX(NAS)に導入したWD15EADSのsmart値を見ていると,1時間あたり11ずつload/unloadカウントが増えているようです.一般のHDDは20万~30万カウントで寿命と言われていますが,「『WDの物は100万までは大丈夫だから』という説明がされている」という記事を読んだことがあります.
これが真実であれば,ディスクの製品寿命よりも充分長い設計になっていますから,まぁあまり気にする必要は無いかもしれません…でも気になるよなぁ….
* * *
話はそれましたが,今回導入した物について.
今回購入したのは,HITACHI HDS722020ALA330(メーカーページ).2TBのSATAディスクです. 特徴は7200rpmでアクセスが速いこと,400GBプラッタ5枚を使用していること,そして消費電力がやや大きめで発熱もそこそこあることです. 本当はWDのWD20EARSに行こうかとも思ったのですが,AFTの関係で今回は見送り.家にはまだXP以前のマシンが稼動中で,今後の使い回しのことも考えての見送りです.LinuxBOX専用であるとか,Vista/7専用とかいう話であれば,EARSでも良いでしょう. |
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ディスクの裏面 | |
そして今回使用したHDD外付けケースのOwltechのOWL-ECS35/EU. 内蔵可能なディスクは2.5inchまたは3.5inchのSATA.PCとの接続インターフェイスはe-SATAとUSBの両対応です. これにした理由は,設置時に収まりが良いこと,そしてファン内蔵で冷却性能も必要充分確保されていることです.Express5800 S70FLのケース(普通のミドルタワー)上に置くのに丁度良いサイズです. |
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ファンは8cm. ガチャポンパッツも使っているのですが,それよりもファンの音が大きく感じられます. S70FLの稼動音がとても静かなため,こちらのファンの音が気になってしまうかも. |
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付属品一式.必要な物は全て入っています. | |
正面. | |
側面.メッシュ加工された吸気口があります. | |
緑の部分をスライドし,リムーバブルトレーのレバーを引き… | |
トレーを引き出します. なお,本製品には,トレーが2セット同梱されています.ディスクを入れ替える頻度が高い人にとっては,有難い構成です. トレー自体の作りは良いのですが,緑色のロックの部分の作りが少々チープです.エンタープライズ向けのラックマウントPCと比べるのは可愛そうだとは思いますが,もう少しカチッとした方が好みです… |
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トレーを抜いた奥はこんな感じ.普通にコネクタを挿す設計になっています. | |
ディスクを裏面からトレーにネジ止めし… | |
挿入してロックすると利用可能になります. |
ホットスワップ対応のe-SATAポートに接続した所,次のように認識されました.
ata7: exception Emask 0x10 SAct 0x0 SErr 0x50000 action 0xe frozen
ata7: SError: { PHYRdyChg CommWake }
ata7: hard resetting link
ata7: link is slow to respond, please be patient (ready=-19)
ata7: COMRESET failed (errno=-16)
ata7: hard resetting link
ata7: link is slow to respond, please be patient (ready=-19)
ata7: SATA link up 1.5 Gbps (SStatus 113 SControl 310)
ata7.00: ATA-8: Hitachi HDS722020ALA330, JKAOA28A, max UDMA/133
ata7.00: 3907029168 sectors, multi 0: LBA48 NCQ (depth 0/32)
ata7.00: configured for UDMA/100
ata7: EH complete
Vendor: ATA Model: Hitachi HDS72202 Rev: JKAO
Type: Direct-Access ANSI SCSI revision: 05
SCSI device sdg: 3907029168 512-byte hdwr sectors (2000399 MB)
sdg: Write Protect is off
sdg: Mode Sense: 00 3a 00 00
SCSI device sdg: drive cache: write back
SCSI device sdg: 3907029168 512-byte hdwr sectors (2000399 MB)
sdg: Write Protect is off
sdg: Mode Sense: 00 3a 00 00
SCSI device sdg: drive cache: write back
sdg: unknown partition table
sd 6:0:0:0: Attached scsi disk sdg
sd 6:0:0:0: Attached scsi generic sg7 type 0
後はフォーマットした後にマウントし,fstabにエントリーを書き,sambaでexportして等々設定を行いました.
ちなみに簡単ではありますが,hdparmで速度チェックをすると次のようになりました.
# hdparm -tT /dev/sdg1
/dev/sdg1:
Timing cached reads: 27904 MB in 2.00 seconds = 13983.21 MB/sec
Timing buffered disk reads: 280 MB in 3.01 seconds = 92.96 MB/sec
参考までに,ICH10R経由で接続されているWD10EADSの値を挙げておきますと,それぞれ13355.64 MB/sec,82.89 MB/secでした.イイ感じです.
そのようなわけで,とりあえずは(バックアップ済みで,ディスククラッシュがあってもそれ程困らない)ファイルを,RAIDアレイからこの2TBディスクに移動しました.結果,RAIDアレイに1TB強の空き容量が確保できたのですが,そのうちに『空き容量一定の法則』がまた発動しそうではあります.
※この箱はPCIのカード経由でe-SATA接続していますので,パフォーマンスについては,その点割り引いて読んでください.
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