HYBRID W-ZERO3をPC,Macにつなぐ&充電の話
前回の続き.とりあえず今回のエントリーでHYBRID W-ZERO3の話題は一段落.
今回はHYBRID W-ZERO3のウリの一つである,PC/Macに繋いでのWILLCOM CORE 3Gの利用についてと,各所で話題になり始めた充電の話です.
本題に入る前に,まずは基礎知識.
HYBRID W-ZERO3専用の料金プランでは,パケット通信は1パケット0.105円.これは3GでもPHSでも同じ.当然使わなければ0円で,上限は3Gが5,250円,PHSが2,800円.両方使えばパケット通信料の天井は8,050円になる.しかし,普通の人は3Gで使う設定のままにすると思われるので,5,250円が実質的な天井.詳しくはwillcomのページを見て確認して欲しい.
#そう言えばMyWillcomでプランを確認したところ,『新ウイルコム定額プランG』ではなく,『定額プランS』と表示されてたので焦った.調べてみたところ,これは表示の問題なだけで,契約内容的にはこれで良いみたいだ.
パケット通信の天井というのは,端末本体のみで使用した場合と,PCに接続して通信した場合とで異なり,二段階の天井があるのが一般的.しかし,willcomのこのコースでは,天井は同じである.そのため,ある程度使う人にとっては,PCでも使わな損という感じである.
なお,HYBRID W-ZERO3(長いので,以下HYBと略)経由で,PCからインターネットを使用するための方法としては,以下の3種類が用意されている.
- USBで接続する
- Bluetooth(以下,BTと略)で接続する
- 無線LANで接続する
何れも一長一短であるが,それぞれの繋ぎ方に関しての簡単な説明と,速度に関しての簡単な調査を行ったので,その結果に関してまとめてみたい.
○Windowsマシンに繋ぐ
■USB接続
HYBで『スタート>インターネット共有』を立ち上げ,『PCとの接続』は『USB』とする.WindowsマシンにUSBで接続すると,新しいハードウエアが認識され,自動的にドライバのインストールが始まる.そして『Windows Mobile-based Internet Sharing Device』デバイスが追加され,インターネット接続が可能になる.
■BT接続
HYBでBTをオンにし,USB接続のときと同じように『インターネット共有』を立ち上げる.そして『PCとの接続』を『Bluetooth PAN』として接続し,ペアリングを確立すると,インターネット接続が可能になる.Windows上には,『マイBluetooth』の中に『WS027SH Network Access Point』というのが出来る.
■無線LANで接続する
『スタート>無線LANツール>ルーター化』と辿り,WiFiSnapを立ち上げる.なお,これは試用版(30日間の試用可能)であるため,その後も使い続ける場合は,ライセンスを購入する必要がある.ライセンスは,オンラインでwillcom経由で購入できる.2400円也.私は試用する前にいきなり購入した(笑)
WiFiSnapの詳細に関しては,このページを参照.機能的には,3G/PHS回線と無線LAN間(*2)のルータ役をHYBがこなすというイメージだ.SSIDや暗号化設定,DHCP機能やPort forwarding,接続MACアドレス制限等,基本的な機能は押さえている.
ただ,Ad Hocモードが使用できない機器は接続できないのと,暗号化は『無し』と『WEP』しか選べないという問題がある.WEPはご存知の通り,容易に破られる暗号(*3)であるため,通信内容を見られてる(*4)と思って使用した方が良いだろう.
まぁ秘匿したい通信に関しては,普通はVPNを張ったり,SSLを使用して暗号化していると思うので,WEPだからと言ってあまり神経質にならなくても良いだろう.むしろ知らないうちに繋がれてタダ乗りされ,パケット代が…の危険性の方が大きいかもしれない.
(*2)Bluetooth PANも可能
(*3)詳しくは,神戸大学大学院教授の森井先生の過去の発表とかを参照.
(*4)ネットワーク管理の経験がある人にとっては,普通の人(と言ったら語弊があるかもしれないが)のセキュリティ意識の希薄さや,誤った知識の蔓延には苦笑いしてしまうことが多いかもしれない.
■通信速度
今回はBNRスピードテストを利用して測定した.通信速度は使う場所や時間帯,通信先によって大きく異なる.あくまでも参考値として見て欲しい.
測定場所は京都の某所.時間帯は23時~24時.テストは,最近ようやく戻って来たLenovo S9eで行った.やっぱS9eは良いマシンだ.キーも打ちやすいし液晶も見やすい.使いやすいわ.
内容 | 上り[Mbps] | 下り[Mbps] |
USB直結 | 0.506 | 0.243 |
BT | 0.544 | 0.263 |
WiFiSnap | 0.575 | 0.157 |
参考: USB直結 PHS | 0.057 | 0.057 |
参考: 家でWLAN(11g) | 5.148 | 3.39 |
参考: 家で有線 | 20.768 | 3.82 |
総統がお怒りになるまでは行かないが,この場所,この時間帯は結構厳しい物があるかもしれない.都心の方が,遥かに高速であったというレポートが多数上がってる.
上記の結果からは,WiFiSnapの『下り』が少し気になるものの,接続形式による極端な速度差は無く,誤差と考えても差し支えない程度の差に収まっていることが分かる.
○Macintoshに繋ぐ(13inch MacBookProで実験)
Macの場合はBTで接続するか,WiFiSnap経由での接続になる.WiFiの方は簡単であるので省略し,少し設定が必要となるBTに関して解説することにする.
Windowsのときと同様に,HYBでBTをオンにし,『インターネット共有』を起動して『接続』.次にMacのBTを入れ,BT設定アシスタントを立ち上げる.『WS0275H』が見えるので,選択する.するとパスコードを要求されるので…といった流れでペアリングを確立.
ネットワークの各設定項目は,『電話製造元』は『一般』,『機種』は『GPRS(GSM/3G』,『ユーザ名』と『パスワード』は『wcm』,『APN』は『a.willcomcore.jp』に設定する.
一通りの設定が終了したら,メニューバーから辿って『接続 Bluetooth DUN』するだけでインターネットに接続されるようになる.
と,いうことで,当初の目論見通り,MacでもWindowsマシンでも利用可能な,音声端末と共有可能なインターネットへの緊急接続手段が確保出来た.ちょっと前までは,脱獄しなくてもiPhoneでテザリング出来たのにな…今もファームを…ゴホン,ゴホン.
○充電
HYBの結構厄介な問題は,その消費電力.通信をバリバリ使っていると,当然ながらバッテリが見る見るうちに干上がって行く.willcomの黒歴史になるのではなかろうかと思われるD4のような酷いことにはなっていなが,それでも出先での充電方法を確立しておいた方が安全である.
通常はUSBケーブル1本でPCに接続して充電する方法を採るのだが,HYBでは不可能.理由は,USBの供給電流の定格である500mA以上を充電時に必要とするため.ちなみに同梱のACアダプタは5V1Aの仕様である.
そのような訳で,よく店頭に並んでいるUSBポートを持ったACアダプタ/充電用機器の利用時でも,同様の理由で充電できない可能性があるので注意が必要である.
意外と知らない人が多いが,iPodやiPhoneの純正パーツである Apple USB 電源アダプタ
も,出力は500mAではなく,1Aである.実際に試したところ,HYBに同梱されているUSBケーブルとの組み合わせで,HYBの充電が可能であった.この製品はデザインが良く超小型であるため,センスの良い小型のアダプタを探している人には良いかもしれない.
私の場合,PHS端末はiPhoneと同時に充電することがあるため,
FILCO PLS52USBW
を使用している.これは2ポートのUSB端子を持ち,定格は5V2Aである.また,HYBユーザの間では,
ポケットアダプター「デュアル」EX(5V、2A)
も実績があるようである.
私はこのアダプタに,iPhoneに対しては
iPod専用USBケーブル PP-IWH
,HYBに対しては miniUSB・MicroUSB変換アダプタ
と
リトラクタブル USBケーブル(Micro-USB Bタイプ)
の組み合わせで使用している.共に充電だけでなく,Syncにも使える巻き取り式なので,持ち歩く荷物を減らす/スペースを減らすのに極めて有効である.
また,PCに接続したUSB二股ケーブルと miniUSB・MicroUSB変換アダプタ
の組み合わせで,(HYBが電源ONの状態であっても)充電できることが確認できた.PCのみで充電するソリューションが欲しい人には朗報かもしれない.ただしUSBポートは2ポート塞いでしまうが.
私が試した二股ケーブルは,
玄人志向 GW2.5AI-SU2
に同梱されていたケーブルである.おそらく
エレコム ダブルパワーUSB2.0ケーブル USB-M5DPBK
でも充電できるのではないかと思われる.
USBケーブル一本でPCに接続した場合,syncは可能であるが,充電は出来ない.このときに液晶の輝度を観察していると,微妙に明るさがふらついているように見える.
おそらくUSBの定格近辺の電流を流し,そのときの電圧の変化を計測して『充電に充分な電流が出力可能か』をチェックしているのだろう.出力可能であれば,出力させて充電し,駄目なようであれば電流を絞って充電に回さないという感じの動作をしているのではないかと想像する.
[2010/02/12追記] ---
ACアダプタ利用時は,USBのD+,D-端子をショートしないと充電出来ないといとのことである.定格が充分なのに充電出来ない場合は,この点をチェックするのが良さそうである.
なお私の環境では,二股USBケーブルで接続した際に,ActiveSyncに接続している最中(つまり,データ通信をしている)も,充電中の赤LEDも点灯している.あと,私は「電圧を見ているのでは?」という仮説を立てたが,これは電力供給側から見ると結構危険な部分があるので,外れている可能性もかなりある.充電トリガの真実は何処であろうか….ID端子をGNDに落とすかオープンにするかが関係してる?
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なお,本エントリーの情報を元に何かをされるときは,自己責任でお願いしたい.同じ環境の筈なのに,Aさんは充電可能であるのに,Bさんは充電できないということも発生しているようである.
なお,willcom 03でも採用されていたように記憶しているが,充電用にUSBを拡張した規格も策定されている.500mA以上の電流を供給したり,ホストの電源が落ちている状態でも100mA供給する等の仕様が含まれている.詳しくはこのページの,「Battery Charging v1.1 Spec and Adopters Agreement」というリンクから落とせる仕様書を参照のこと.
それにしても,こんなに小さい機器で充電のために5V1Aってのは凄いですなぁ.まぁ昨今のCPUとかGPUとか考えたら,さらに凄まじいことになっているのですが.
最後に口調も変わりつつ少々ノスタルジックな話になるのですが,先日押入れの中を片付けていた際に出てきた,(個人的には)懐かしいものを紹介.電子回路やワンボードマイコンを設計&作成して遊んでいた頃に作成した,安定化電源です.下がその写真です.
入力はAC100V(所謂普通のコンセントに挿す).そして出力はDC5V.最大1Aです.アマが作った割には加工が結構綺麗に見えるでしょ?
電子回路とかやっている/いた人は知っていると思うのですが,TTLの電圧は5Vが一般的.そのため,回路を組んで遊ぶためには,5V出力の電源が必要になる.しかし,当時の私には,店頭に並んでいたスイッチング電源は高価で,とても手が出ませんでした.
同様に,UV-EPROMをイレースするための紫外線灯とかも既製品を改造して自作してました…
今では千円にも満たない額のアダプタを改造…という大げさなこともせずに,作成出来るんですけどね…
で,下の写真はこの中身.
下に転がしてあるのは,大きさ比較用のLAMYサファリのBP.筐体のデカさが分かると思います.大きなトランス,ラグ版上にコンデンサや整流用ブリッジダイオード等が見えます.
何度かの引越しの際にぶつけたりしたせいか,3端子レギュレータ(7805)が放熱板ごと外れて転がっていたり,一部配線が取れてるし,絶縁テープもベタベタ貼ってあるし,実にみっともないですなぁ(笑)おまけに半田付けもイマイチ….作成したのは中学くらいの頃だったと思うのだけど,当時の私の技術はこんなもんでした.使用した部品は,小遣いとかお年玉で買い集めた物.
少々強引な展開ですが,ハードも(労力,コスト共に)入門のための敷居が低くなって来ているので,是非この機会に電子回路で遊ぶ人が増えてほしいなぁと思う今日この頃です.どうやったら動くかの小手先のノウハウだけでなく,どうしてそう動くかの基礎から学ぶと,ハマッたときに強いエンジニアになれますよ(^^)
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