LinuxBoxにmediatombをインストール.PS3で再生する
DLNA(Digital Living Network Alliance)が広く普及して来た関係で,テレビやレコーダをネットワークで繋ぎ,録画データの再生やデータ転送を容易に行えるようになりました.無論,メーカーや機種間で接続時の相性的な問題も一部発生しているようですが,一昔前から考えると夢のような環境.
動画・音声・画像の再生・表示はリビングの大画面液晶テレビで行われることが多いと思いますが,そのテレビに接続するDLNA機器としてよく利用されているのは,おそらくハードディスクレコーダ.しかし,あまり一般には認知されていないかもしれないけれど,PlayStation3も実に優秀なDLNAクライアントです.
PS3はただのゲーム機でも安いBDプレイヤーでも無いんです.私も使いこなしているとまでは言えませんが,PS3で利用可能なオンラインサービスやソフト等を考えると,殆どの人はPS3の持つ機能のごく一部しか利用しておらず,実に勿体無い状態です.
そして悩まずに使えるUser InterfaceのXMB(Xross Media Bar),無線で繋がったリモコンとして使えるコントローラ,対応する多彩なデータフォーマット等を考えると,神レベルまで極まったDLNAクライアントと言えましょう.
思えば同様のことを考え,AVeL LinkPlayerとwizdを使った環境を構築したのは7年前でした.細かな不満は多々ありましたが,wizdという素晴らしいソフトを改造することにより,様々なことが行えるようになりました.動画ファイル等を単に再生するだけに留まらず,例えばdvdisoファイルをlinuxサーバ側でマウントして透過的に再生することも可能でした.
当初構想(妄想?)していた,コンテンツは物理的メディアで管理するのではなく,NASにデータとして保存しておき,ネットワーク経由でどこからでも再生できる環境が実現できた瞬間でした.
しかし時は流れて今はH.264が主流の時代.画面表示SDではなくHDで,1080iや1080pの時代です.
そんなわけで,約1年前に前述の環境のリプレイスを考えて導入したのは,BUFFALO LT-H91LANでした.プロトコルとしてDLNA対応のほか,SMBにも対応.つまり,特別なサーバ(ソフト)は不要で,windowsでディスク共有/samba exportしたディスクを直接マウントし,ファイルを直接再生可能ということ.そしてDVDISOも直接再生できる機能も付いています(後継機種は地デジが録画出来るようになっていたり等,さらに進化しています).この手の商品としては,最近家庭/SOHO向けNASで有名になって来たQNAPのNMP-1000JP
もいいなぁと思っているのですが,NAS機能も持たせるのが流行りになりつつあるようです.
と,いった具合にクライアント機器をアップグレードし,実に極楽な生活を送っています.
と,いうことで,敢えてDLNAサーバを立ててPS3をクライアントにする新しい環境を構築する必要も無いのですが,そこはやはり興味の赴くままに色々とやってみたいのが人情.必要なハードは一通り揃っていますので,あとは時間と手間と知恵だけが必要.そして今回ターゲットにしているサーバソフトも,リリース初期にはありがちな人柱的なステージは既に抜けており,基本機能は安定しているようです.
前振りが長くなりましたが,今回LinuxBoxに導入したソフトはMediaTombです.オープンソースでフリーなUPnPのサーバソフトです.実は以前も(Express5800上の)CentOS5にrpmで導入していたのですが,0.12からDVDISOが直接ハンドリングできるようになったとの話を聞いたので,そのテストも兼ねてsvnの最新版を導入してみます.
rpmが完備されている状態ではなかったため,『ちょっと試そうか』のつもりが結構ハマるポイントもあり,思いの他時間を食いました.以下の手順は(読んでもあまり面白くないと思うので)寄り道した部分を全て端折ってまとめています.パッケージ管理されているファイルを上書きする所もあり,お行儀はよろしくありません.以下の手順に沿った導入は自己責任でお願いします.
○環境変数設定
export PKG_CONFIG_PATH=/usr/lib/pkgconfig/:/usr/local/lib/pkgconfig/
を実行して環境変数を設定しておきます(bashの場合).『.bashrc』に入れておくとより良いでしょう.
○autofonc, automakeをインストール
このページの一番下に書かれているように,最新のMediaTombをインストールするためには,autoconfが2.61以上,automakeが1.10以上である必要があります.
autoconf --version
automake --version
のように実行し,バージョンを確認してください.
手元のCentOS5の環境は,共に要求されているバーじょにょりも古かったので,ソースを落としてビルド&インストールしました.
まずはautoconf
wget http://ftp.gnu.org/gnu/autoconf/autoconf-2.65.tar.gz
tar xvzf autoconf-2.65.tar.gz
cd autoconf-2.65
./configure --prefix=/usr
make
make install
次にautomake
wget http://ftp.gnu.org/gnu/automake/automake-1.11.tar.gz
tar xvzf automake-1.11.tar.gz
cd automake-1.11./configure --prefix=/usr
make
make install
○libtoolをインストール
同様にlibtoolも上げておくことにします.
wget http://ftp.gnu.org/gnu/libtool/libtool-2.2.tar.bz2
tar xvf libtool-2.2.tar.bz2
cd libtool-2.2
./configure --prefix=/usr
make
make install
○libdvdread,libdvdnavをインストール
ソースから入れることにします.
まずはlibdvdread
wget http://www.mplayerhq.hu/MPlayer/releases/dvdnav/libdvdread-4.1.3.tar.bz2
tar xvf libdvdread-4.1.3.tar.bz2
cd libdvdread-4.1.3
autoreconf -i./configure --prefix=/usr
make
make install
次にlibdvdnav
wget http://www.mplayerhq.hu/MPlayer/releases/dvdnav/libdvdnav-4.1.3.tar.bz2
tar xvf libdvdnav-4.1.3.tar.bz2
cd libdvdread-4.1.3
autoreconf -i
./configure --prefix=/usr
make
make install
○ffmpegthumbnailerインストール
動画ファイル等のサムネイルを高速に作成するために,ffmpegthumbnailerをインストールします.なお,ffmpegがインストールされている必要がありますので,インストールしていない場合はこのページを参照してインストールしておいてください.
wget http://ffmpegthumbnailer.googlecode.com/files/ffmpegthumbnailer-2.0.0.tar.gz
tar xvzf ffmpegthumbnailer-2.0.0.tar.gz
cd ffmpegthumbnailer-2.0.0
./configure
make
make install
一応一通りのものがインストールされたら,hash -r を実行してハッシュの再構築をすると共に,ldconfを実行して共有ライブラリの設定を反映させて起きます.なおこの他に,/etc/ld.so.conf等が適切に記述されており,共有ライブラリの検索パスが適切に設定されている必要がありますので,一度確認してみてください.
○MediaTombのインストール
0.11はDL用のパッケージとして固められていないので,SVNから最新版を落とします.
svn co https://svn.mediatomb.cc/svnroot/mediatomb/trunk/mediatomb mediatomb
ホスト証明書の警告が出ますが,とりあえず無視でOKです.なお,私がビルドに使用したのは,リビジョン番号2055でした.
次にconfigure.acの
#MT_CHECK_OPTIONAL_PACKAGE_CFG([libdvdnav], [enable],
# [compile with libdvdnav support for extended DVD image parsing],
# [dvdnav-config],
# [dvdnav/dvdnav.h], [dvdnav], [dvdnav_get_audio_attr], [])
のコメントを外し,そして
#echo "libdvdnav : $LIBDVDNAV_STATUS"
のコメントも外しておきます.そしてビルドの前準備.
autoreconf -i
./configure --enable-libdvdnav
を実行した際のCONFIGURATION SUMMARYを確認します.
sqlite3 : yes
mysql : yes
libjs : yes
libmagic : yes
inotify : yes
libexif : yes
id3lib : disabled
taglib : yes
libmp4v2 : yes
libdvdnav : yes
ffmpeg : yes
ffmpegthumbnailer : yes
lastfmlib : yes
external transcoding : yes
curl : yes
YouTube : yes
Weborama : yes
Apple Trailers : yes
SopCast : disabled
libextractor : disabled
db-autocreate : yes
私の環境では上記のような感じ.「disabled」ではなくて「missing」が出ている場合は,対応するパッケージを入れてからもう一度configureをしてみてください.例えば「mysql」がmissingになっていた場合,「yum install mysql-devel」のように実行し,*-develパッケージをインストールします.
configureが終わったら,makeしてmake installします.
次に自動起動用のスクリプトの設定.
cp ./scripts/mediatomb-service-fedora /etc/rc.d/init.d/mediatomb
した後,MediaTomb用にmediatombユーザを作っていない場合は,/etc/rc.d/init.d/mediatombの『chown mediatomb...』となっているところを2カ所,『chown nobody ....』に書き換えます.
そして上記のようにインストールした場合は,インストールパスが/usr/local/binになりますので,『[ -f /usr/bin/mediatomb ] || exit 0』のところを『[ -f /usr/local/bin/mediatomb ] || exit 0』に変更します.
最後に/etc/mediatomb以下の設定です.
下記を実行し,
mkdir /etc/mediatomb
cp config/mediatomb-conf-fedora /etc/mediatomb.conf
/etc/mediatomb.conf内の対応する3行を以下のように書き換え.
MT_INTERFACE="eth0"
MT_USER="nobody"
MT_GROUP="nobody"
そして/etc/mediatomb/config..xmlを作成.私はくまさんのページを参考に,サムネイル作成やDVD関連の記述を少し追加する感じで作成しました.私の使用しているconfig.xmlは次のような感じです.
一通り設定が終わったら,次のように実行してオーナー等を変更.
chown -R nobody.nobody /etc/mediatomb
そしてmediatombを起動.以下の二行目のように表示されたらOKです.
/etc/rc.d/init.d/mediatomb start
Applying multicast settings to eth0... Starting mediatomb: [ OK ]
PS3のVideoの所にメディアサーバが表示されるようになっている筈です.
MediaTombへのファイルの登録方法などは,ぐぐってみて下さい.
と,いうことで,yumでコマンド一発インストールと比較したら,ひじょーに苦労してソースから入れ直したわけですが,通常の動画ファイル等がサムネイルで一覧表示され,(PS3が対応しているものに関しては)選択すればサクサク再生されるようになりました.私は使用していませんが,mp3ファイル等を登録すれば,タグ情報を読んでDB化して,アーティスト別とかでも表示できる感じ.賢く管理できてる感じでいいですなぁ.
さて,そして当初目標だったDVDISOを直接…というのは,実はうまく動いていません.設定がコメントアウトされていたのが伏線だったのか,安定して動いていません.と,申しますか,字幕も音声も選べないんじゃ,私の用途には向かないじゃん…普通はインスコ前に気付くもんですよね…
と,いうことで,次に続きます.殆どの人は,次のエントリーのみ読めば事足りるかも.
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