802.11nを導入- CG-WLBARAGNLを買う
Crystal HDを使う関係で,内蔵の無線LANカードを取り外したmini9.その際に『小型の無線LAN子機を…』ということでPLANEX GW-USMicroNを導入したのですが,これは150Mbpsの802.11n対応.
私は有線至上主義なので,家の中もCAT5e/CAT6のケーブルを這いまわしてあり,リビングのテレビ周辺を除いて,EtherSwitchもGbE化が完了しています.そんなわけで,『まぁ802.11gが使えたらいいよね.802.11nは150Mbpsとか300Mbps(*)とか言っても理論値だし,有線で繋いだ方がスループットは良好だし』なんて考えておりました.
(*)2007年に電波法の一部改正されたものが施行され,無線通信にて同時に使用できるバンド幅が20MHzから40MHzに引き上げられた.これに伴ってチャンネルボンディング(隣り合った2つのチャンネルを束ねて行う通信)が可能となった関係で,理論値で150Mbpsの倍の300Mbpsが可能となり,また,最大は4ストリームで600Mbpsにも達する.
でも,ジョーシンの初売りにふらっと入ったところ,CG-WLBARAGNLが限定5台で3000円という表示を見付け,ふらっと購入してしまったという次第.価格.COMを見ても底値で6000円弱.製品そのものの評判も良いし,割と良い買い物が出来たかも.
と,いうことで,慌しかった1日だったけど時間を作って実戦配備したのでその記録.
それではまず,無線LANの親機を購入する際に知っておいた方が良い基礎知識について.
IEEE 802.11について簡単に説明すると,現在一般に使用されているものは,2.4GHz帯の802.11b/g/nと,5GHz帯の802.11a/nがあります.802.11nは両方の周波数帯で使えるけど,一般に『802.11b/g/n』対応となっている製品は,2.4GHz専用です.802.11aに対応している物に関しては,802.11nを5GHz帯でも使えると見ても良いでしょう.
5GHz帯が利用出来ると嬉しいことがいくつかあって,一つは利用できる帯域幅が広いこと.もう一つは干渉を避け易いことです.
後者の話を少し掘り下げると,2.4GHz帯は非常に利用しやすいこともあり,様々な機器で利用されています.そのため,802.11b/g/nの利用者急増による干渉というだけでなく,例えば電子レンジも通信の妨害源になります.そのため,『理論値○Mbps』と謳われても,全然パフォーマンスが出ません.
そんなわけで,速度を出そうとするのであれば,5GHz帯に対応した製品を購入・使用した方が良いでしょう.実際に試された方の話としては,このようなレポートもあります.
しかし,前述した通り,やはり廉価で店頭に並んでいるのは2.4GHz帯の『802.11b/g/n対応』となっている製品が中心です.大体5000~8000円くらいの価格帯でしょうか.
その一方で,2.4GHz帯と5GHz帯の両方が利用できる製品もいくつかあります.例えば今回私が購入した親機と同じメーカー製であれば,コレとかがそうです.802.11a/b/g/n対応で,2.4GHz帯と5GHz帯の両方が同時に利用できます.ただし価格は少し高めで,1万円くらい.
そして中間的な商品として,2.4GHz帯と5GHz帯を切り替え,いずれか一方のみ使用できる商品が,少し安めで売られています.今回購入したCG-WLBARAGNLはこのタイプです.
家には5GHz帯の802.11nが利用できるMacBookProがあるし,早速5GHzに切り替えて使うことも出来るのですが,家にはiPhoneやWindowsMobile機,Myloや先日購入したGW-USMicroN,その他諸々の2.4GHz帯の802.11g/nしか使用できない機械があります.その一方で手持ちの2.4GHz帯対応の親機は802.11b/gのみの対応で,11nに対応しない製品ばかり(2台も転がってます…).
『安く売ってるし,2台買って1台を2.4GHz帯,1台を5GHz帯で運用するか?』なんて考えも頭を過ぎりましたが,最後の一線でぐっと堪え(笑),1台持ってレジに並び,阪神のカレンダーをもらってホクホクしながら家路に着きました.今年は赤星がいないから寂しい&辛いなぁ.
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箱はこんな感じ.300Mbpsの802.11nにも対応しています. あと,見落としている人が多いと思うけど,親機でLANポートがGbEの場合は大抵,『Gigabit』とデカデカとパッケージに書いてあります. つまり,本製品のように書いてない製品の場合,LANポートは100Mbpsなので,理論値の300Mbpsはおろか150Mbpsが出てしまっても,帯域不足ということになります. まぁ実際には電波暗室でもないと,そこまで出ることは少ないでしょうし,あまり問題ありませんが… |
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前述した通り,本製品は5GHz帯に対応していますが,2.4GHz帯との切り替え式になっています. 切り替えはwebインタフェイスの設定画面の中で行います. |
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内容物.必要最小限.立てるためのスタンド,壁掛け用のネジも同梱されています. この手の商品の設定はWebで行えるようになってから,付属CDがなくなりましたね. |
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ステータスランプ表示部. |
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左からルータ機能のON/OFFスイッチ,LANポート,WANポート,初期化スイッチ,電源コネクタ. ルータ機能を持つ親機の場合,LANポートが複数あり,Hub機能を有しているものが大半ですが,この親機は1ポートのみなので気を付けてください. ルータとして使用し,有線で複数台ぶら下げる場合は,別途Hubが必要になります. |
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WPS用のスイッチが正面にあります. 私は使ったこと/使う機会がが無いのですが,最近は必須のようで… |
設定は,LANポートに接続したマシンからwebブラウザを使用して行います.
ルータモードをONにしたときとOFFにしたときとで,親機の初期設定されているIPアドレスが変わるので注意.ルータモードで立ち上げるとDHCPも上がって来るので,そこで諸々設定を行い,確認などをしてからルータモードをOFFにすると良いかも.
* * *
さて,私はこれまで802.11gを使用していたのですが,802.11nに変更した結果,快適さは増したでしょうか?
私はそもそも無線で使用する際にはあまりヘビーに使用していないため,実感として『快適になった』という感覚はそれほど沸きませんでした.ただ,Planexのユーティリティでリンク速度やスループットを確認できるのですが,『速いかな』とか,『前より電波の掴みが良いかも』という感じがしないこともなかった.厳密かつ定量的には計測出来ていないので数値は載せませんが,802.11gのときより,スループットが約2倍程出ていました.
※私の家の周りは無線LANユーザ(企業・個人)が多いので,干渉がかなり酷い.干渉が無ければもっと速度が出て,差がさらに広がったかも
参考までに,Express5800/S70FL(CentOS5.3)上に構築したRAID5アレイをsamba経由で使用した場合のベンチ結果は次のような感じでした.
○mini9を802.11nで接続(2.4GHz帯)
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CrystalDiskMark 2.2 (C) 2007-2008 hiyohiyo
Crystal Dew World : http://crystalmark.info/
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Sequential Read : 4.128 MB/s
Sequential Write : 7.379 MB/s
Random Read 512KB : 4.122 MB/s
Random Write 512KB : 6.474 MB/s
Random Read 4KB : 1.520 MB/s
Random Write 4KB : 1.635 MB/s
Test Size : 100 MB
○mini9を有線で接続(サーバは1Gbps,mini9は100Mbps)
--------------------------------------------------
CrystalDiskMark 2.2 (C) 2007-2008 hiyohiyo
Crystal Dew World : http://crystalmark.info/
--------------------------------------------------
Sequential Read : 9.893 MB/s
Sequential Write : 11.629 MB/s
Random Read 512KB : 10.490 MB/s
Random Write 512KB : 11.152 MB/s
Random Read 4KB : 3.712 MB/s
Random Write 4KB : 2.900 MB/s
Test Size : 100 MB
このページの結果と比較すると,mini9を有線で接続した場合でも,デスクトップPCをGbEで接続した場合と比べて遥かに低い数値になってます.色々な要因があるので深く掘り下げるのは避けますが,上記の802.11nと有線との間で比較した場合,無線でも半分程度のレートが出ることが確認できます.
無線の Sequential Read/Write を見ると,32/56Mbps も出ています.ネットワークは速度だけで品質評価をしてはいけません.しかし, FastEther ユーザが802.11nをたまに使う感じであれば,問題を感じることは殆ど無いかなと思います.むしろ無線の利便性の方が勝るでしょう.値段がきっかけですが,正月早々,実に良い買い物が出来ました.
今後の話としては,やはり5GHz帯で802.11nを使うことも考えてみようかなと思っています.
そのためには,(MacBookProはそのまま移行できますが)mini9で使用している子機を5GHzに対応した物に買い直す必要があます.5GHz帯対応のUSB接続の子機ってデカイんですよね….後は,親機を買い直さないとしたら,家にある802.11b/gのクライアントのために,2.4GHz帯専用の親機を復活させて共存させないといけないなぁ…悩ましい.
ボチボチ考えることにします.
* * *
最近の無線LAN製品を見ていると,廉価なタイプと高機能なタイプに二極化しているように思います.上を目指した製品の話をすると,前述のコレガの製品にあるように,
- 無線LAN,ルータ機能のスループット向上
- ギガビットのLANポートを4ポート程持つ
- USBポートを持ち,USBストレージを接続することにより,NASとして利用可能
- NAS機能と共に,DLNAやiTunesサーバ等のサービスも利用可能
- 2.4GHz帯,5GHz帯の同時利用
辺りが実現されてきています.
自分でサーバを立てたり,ネットワーク機器をカリカリチューニングするようなユーザでなければ,非常に嬉しい方向かもしれません.そしてネットワーク系で必要な機能やサービスを集中的に実現・管理出来る機器に成長するかもしれません.
購入時期を見極めるのはかなり難しい所ですが,1万の壁,あわよくば7千円の壁を早く切って欲しいところです.
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コメント
通信が切断されたり、
通信スピードが安定しなくなったりしますか?
ユーチューブの視聴は快適ですか?
電子レンジの使用中は通信ずっと切断されますか?
何か不満な点ありますか?
いっぱい質問あってすいません。
よろしくお願いします。
投稿: oota | 2010年3月28日 (日) 16時46分
私の所では,スピードも接続状態も良好です.YouTubeに関しても,当然ながら上流が詰っているときは遅いですが,まぁこんなもんかなという感じで使えています.
電子レンジの影響は,2.4GHz帯を使う場合は仕方ないですね.もし気になるようでしたら,5GHz帯を使用することをお勧めします.
本文にも書きましたが,値段を見て割り切って購入しましたので,不満はありません.そのこと抜きで不満…と,言いますか,欲を書きますと,マルチSSIDに対応し,2.4GHz帯と5GHz帯が同時利用できたらなぁというのはあります.
通信の状態は,親機だけではなく,子機の機種や通信時の電波状態にも大きく左右されます.上記の感想は,あくまでも私の環境でのお話ということをご理解くださいませ.
投稿: tadachi | 2010年3月28日 (日) 20時09分
ありがとうございます。
参考になりました。
投稿: oota | 2010年3月28日 (日) 22時12分