ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 を今更ながら観に行った
今更ながら観に行ったと言うよりも,ようやく都合が付いて何とか観に行けたという感じ.くたびれまくっててヘロヘロになっているときに「なんばパークスシネマ」に観に行ったんだけど,行けてよかった.
封切りから一ヶ月程たった頃は『もぉ仕方ないので,BDが出たときに家で観たら良いか』などと思い始めていた.が,劇場で観た感想は,これは映画館でみなきゃだめだ,みなきゃだめだ.複数回映画館に足を運ぶ人の気持ちもよく分かる.
一連のエヴァ作品の中で,私が感情移入出来たのはこれが初めてだ.最高の出来.最後のクライマックスは迫力に圧倒されて&一体感でマジで涙が出そうだ.
もうしばらくは上映しているようなので,まだの人は是非映画館に足をお運びください.まだ結構混んでいるかもしれないけど.
以下,ネタバレはあまり無しでエヴァを肴に少しのたくり.
この手のアニメは細かい所が妙に緻密に描かれていたり,知っている人(だけ)がニヤリとするような演出がちりばめられていることが多い.『破』もそんな感じだった.
細かい所で言えば,リツコが使っているデスクトップがNEXTSTEPだったりする.画面の緑が少し強い感じがするし,よりマニア受けを狙うのであれば画面はグレースケールにし,筐体は黒いcubeにするような捻りがあればさらに素晴らしかったかも.
あと,何気にリツコが詰めていたマシンルームには,赤いLEDがチラチラと稼働状況を表示し,幻想的な雰囲気にしているマシンがあった.これって…コネクションマシンのCM-5(ココの写真もいい感じ)ではなかろうか.実に懐かしい.
コネクションマシンというのは,プロセッサをハイパーキューブ型に相互接続した超並列コンピュータ.少々怪しげな記憶だが,Danny Hillisの著書には,『神経細胞のスイッチング速度は○○であるが,それを超並列で動作させることにより,脳は超高速で高度な処理を行うことが可能となっている.半導体のスイッチング速度は神経細胞よりも遥かに高速であるので,現実的な素子数で,人間の脳と同等以上の処理能力が実現可能である…』のような話が書いてあった.
まぁそこまで楽に実現出来るのであれば,現在の脳研究の最前線は遥か彼方に到達していてもおかしくはないのだけど…夢のあるお話でした.
エヴァがTV放送されていた年('95年)よりも少し前になるのだけど,私はNeXTをメインで使っており,そしてCM2やCM5をはじめとする様々なマシンがマシンルームに転がっているという恵まれた環境に居た.で,『コネクションマシンを使ってみたいんだけど〜』と,ユーザの一人に話しに行った所,『おっけ〜』と,いう感じで快くマニュアルを貸してくれた.しかし,(少なくとも当時の私のスキルでは)かなりプログラムが作りにくく,結局きちんと使うことは無かった.
少し詳しい人であれば,並列計算機のその後はご存知の通り.しかし,最近の状況を見ると,コンシューマ向けのCPUも,速度の限界を打開するためにマルチコア化という方向に向かったし,GPUはモロに並列演算装置.並列処理環境をサポートする技術やソフトは昔より充実して来ているので,超並列計算機が一般用途でも再び日の目を見る日が来たりするかも…なんてことを思ったりもする.スーパーコンピュータが使われるような特殊な用途だけではなしに,一般用途で.
当時の思い出としては,昼にやってたピザパーティーに参加したら,ミンスキー先生が来られてて,思わずサインを頂いたりしたなんてこともあった.
毎日が刺激的でした.ホントに懐かしいなぁ.
話は少し脱線気味になったけど,30代のその筋の人に対しては(40代前半は含まれると思うけど,20代や40代後半以上はちょっと違うかも),何かを切っ掛けとしてこういう『懐かしさ』的な感情をも引き出すような映画で,気が付くとスクリーンの中に引きずり込まれてしまうような映画でありました.
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