レディイーグル(5)
先日コメントで教えて頂いた後,早速予約.ドキドキしながら待ってた最終巻となる5巻が届いたので一気に読んだ.
流石に鳴海章氏が原作なだけあって終始硬派な展開.そして千葉 きよかず氏の絵がそれをガッチリ受け止め,さらに迫力を増幅して魅せてくれる.
尖閣諸島を巡って中国との小規模があった後,日本海で日本のヘリ護衛艦が潜水艦に撃沈される.そしてついに本格的な衝突が発生.別の戦線を抱えている米国は積極的な介入を行わず,日本が前面に立たざるを得ない状況.そしてこの機を利用するためにロシアや北朝鮮までもが動き始めて… という展開.
1巻から話の展開にワクワクしながら読んできた読者としては,連載誌休刊に合わせて話を切り詰めて無理やりまとめるのではなく,連載終了後に原稿を描いて最終巻として刊行したという点は非常に嬉しかった.そして内容も,待った甲斐があった.
ただ…やはり本当は他誌に移籍する等し,もっとゆっくりじっくりのペースで連載を続けて欲しかったなぁと思うところもある.これだけ広げた話を一気にまとめるるのはやはり厳しい部分がある.伏線として張られていたものが結構削られている感じがしないでもない.その点は残念.
しかし,それを補っても余りある満足度であった.
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それにしても,こういう良質なコンテンツが日の目を見ない可能性があったという状況は,非常に残念なことだ.昔聞いた話では,マンガの出版で儲けた分を,儲かりにくいけど文化的に絶やしてはいけない方面の出版の支えに回している出版社もあるのだそうだ.出版不況も相当厳しく,マンガも売れないという話をよく聞くけれど,構造的な物を見直さないと相当マズイんじゃないかなぁと感じる.
あと,一般向けの本と技術系の本は出版部数の桁が違うので,売れる部数そのものが大幅に減少すると,技術系の出版社は特に深刻なんじゃないかなと思ったりもする.学術系の出版社もそうかも.
私は(科学系の)一般向けの書籍と技術系(プログラミング言語)の本を,共著も含めて数冊書く機会を与えていただいたことがある.発行部数でいうと,科学系の本はシリーズで13万部弱まで行ったけど,技術系の本はよく出た物で2万部弱という感じで,初版の2千部で終わりというものもあった.そういえば印税率も結構違ったなぁ.出版社によって規定が異なるからかもしれないけど.
内容が異なるので単純比較は出来ないけど,技術系の場合は1冊にかける労力が1/10になるという訳ではないので,これだけ開きがあると正直キツイと思う.
よい本なんだけど部数が出ない→高くなる→よけい売れない→労力に見合わない儲け→安いけどあまり面白くない本が増える とか,儲けが出ない→かけられる予算が少なくなる→記事が面白くなくなる なんてマイナスのスパイラルもありがちだし….
ちょっと脱線気味の話になったけど,本の虫としては悲しい時代だなぁ.
あと,こういう話を書くと,『ネットが…』という話を安直に切り出される方もおられるけど,それは本質的な問題ではないと思う.ネットは媒体だ.
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