2024年8月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

AdSense


AdSense


SNS

  • SNS

« LAMY scribbleが修理から帰って来た | トップページ | 今更ですが,iPhoneを買いまして »

2009年1月 1日 (木)

スカイ・クロラ

2008年夏に上映された押井守監督の映画.原作は森博嗣氏による同名の小説.映画の方は今年2月にDVD・Blu-rayが発売予定.原作の方は文庫本化もされている.

毎回悩んでしまうのだけど,映画を先に観るか,それとも原作を先に読むかというのは問題だ.どうすれば『楽しめる』量を最大とすることが出来るのだろうか…ということを考えてしまう.

福井晴敏原作の『終戦のローレライ』を観に行ったときは,原作を途中まで読んでいた.そしてストーリー上非常に重要な転換点を映画で知ってしまったので,その部分に関しては原作の方を十分に楽しむことが出来なかった.とは言え,原作は壮大かつ緻密な内容だったので,楽しみの一部を削られた程度で済んだのだけど(原作マジお勧め.読了感が実に清々しくて心地良い).

そして原作者が同じ『亡国のイージス』のときは,原作を既に読んでいたので,これだけの内容をどう映画の尺に…と,期待しつつ見に行った.結果,映画ではとんでもなくスケールダウンしていて幻滅してしまった.映画を先に観ていたら,ここまでガックリは来ていなかったと思うのだけど….(一応フォローしておくと,あれだけのボリュームの内容を映画1本の尺に収めるのは無理な話だと思う)


で,『スカイ・クロラ』に関しては,原作は積読にストックされていたのだけど,映画を先に観てから原作を読むという感じにした.結論を先に書くと,この選択は成功だった.

原作のスカイ・クロラはシリーズ物になっており,現在 スカイ・クロラナ・バ・テアダウン・ツ・ヘヴンフラッタ・リンツ・ライフクレィドゥ・ザ・スカイスカイ・イクリプス と,6冊小説化されている.そして番外編的な感じの, スカイ・イクリプス のみ文庫本化されておらず,ハードカバーで出ている.つまり,かなりのボリューム.

映画では,この中の『スカイ・クロラ』を中心に映像化している(他の巻のエピソードも若干盛り込んでいるけど).変に欲張ったりしていないので,非常に収まりも良いし,テンポも良い.そして原作を忠実に映像化しているという感じではなく,映画向けにかなり良い方向にアレンジされている.やっぱ押井監督は天才だなぁ.

ストーリーに関しては映画の公式ページの予告編を観てもらうとして,映画は本当に観ていて楽しい物だった.二重反転プロペラを搭載した震電のような『散華』という戦闘機がスクリーン狭しと飛び回って空中戦をする.これを観るためだけに映画館に行ったとしても元は取れた感じ.空軍大戦略を観て楽しめる人であれば,きっと楽しめるだろう.そして音楽は川井憲次氏.サントラの出来もとても良かった.

何度も観ると思うので,現在DVD版を予約中.そしてファンから非難囂々のコレクターズエディションを買う予定はない.

話を原作に戻すと,ストーリー展開の時系列は『スカイ・クロラ』が最後なのだけど,原作を読むとしたら,上記の出版順で読むのが良いと思う.森博嗣氏はミステリー物を書かれる作家(*)ということもあって,緻密にトリックの糸が張り巡らされている.読んでいてよく引っかかり,そして「ええーっ.そう来るか!」と,いう展開もよくある.ほんと,推理小説を読んでいるようでグイグイ引き込まれます.映画だけしか観ていないとしたら,原作も是非読んで欲しい.

(*)著者略歴を読むと,工学博士で国立大の助教授をしていたとのこと.こういう本も読んだのだけど,才能溢れる人というのは本当に何でも出来るんだなぁと しみじみ思った.似たような人を数人知っているような気がする.

« LAMY scribbleが修理から帰って来た | トップページ | 今更ですが,iPhoneを買いまして »

映画・テレビ」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

原作と映画、どちらを先に見るべきか。
難しい問題ですね。
楽しめる量を最大に、ということであれば、映画を先に見たほうがいいのかな、と思います。
筋を知っていても優れた小説ならば十分楽しめますからね。
原作を先にしてしまうと、映画で九割方がっかりしてしまいますし。
私も『終戦のローレライ』でがっかりを味わってしまいました。
原作の出来が良すぎただけにそのギャップに愕然としました。
フリッツが出ないなんて……。
個人的には原作を最大限に楽しみたいので、先に読むことが多いです。
というか原作を読んだらあまり映画を見ません。がっかりするから。

> フリッツが出ないなんて……。

そうそう.そうなんですよね.チラッと人体実験のシーンで出て来たと思ったら速攻で死んだという設定でしたもんね….

ストーリーに深みを与える登場人物だっただけに,削られたのは非常に残念でした.その割に,佐藤隆太演じる特攻隊員が出てきたと思ったら,結末は変なことになってましたし…


映画では無いですが,「皇国の守護者」とか「攻殻機動隊」とか,原作と漫画/アニメがそれぞれ生きている物も全く無いわけではないと思うのですが,かなり少ないですよね.

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: スカイ・クロラ:

» 真夏のオリオン [tadachi-net 出張所]
映画『真夏のオリオン』を観てきた. 右の書影&リンク先は原作本.映画に関してとかは別の所で書くことが多いんだけど,今回はこちらで. 感想を一言で書くと,なかなか清々しい映画だった.そして終戦のローレライの戦闘シーンの山場が終始続くような感じで退屈しなかった.そういう意味ではゴチャゴチャとしたストーリーがあったり,(大抵はコケル)変な伏線があって考えさせるような感じではなく,身構えずに観れる戦争映画という感じ. だけど…戦争映画をよく観る&実戦経験者の回顧録とかよく読んでいる人だと,『ん?』って所が多... [続きを読む]

« LAMY scribbleが修理から帰って来た | トップページ | 今更ですが,iPhoneを買いまして »