苦しいときほどユーモアが必要
で,本エントリーの書影は,前巻から1年経ってようやく新刊が出た『大東京トイボックス 4』.ゲーム業界を舞台にしたマンガで,以前は『東京トイボックス』というタイトルでモーニングで連載していたけれど,打ち切り後に『大』がタイトルに付き,BIRZに掲載誌を変えて現在も連載が続いている.『東京』の頃から追いかけているファンも結構居るようで,当時のモーニングでの打ち切りに衝撃を覚えた人はかなり居るようだ(私もその一人).
ただ,『大東京』になってから作者が産休を取っていたり(出産おめでとう!),番外編があったり,BIRZが月刊誌なのでなかなか話が進まないということで,『早く続きが読みたい!もっと速いペースで読みたい!』というフラストレーションが常にたまる.BIRZを置いている本屋がなかなか無いため(amazonでは予約も出来るし購入も可能),コミックのみで読んでいる読者も多いみたいだけど,『次どうなるんだーっ』という所で『続く』になっている.
でも安心(?)して欲しい.連載の方も,12月号は番外編になっていた関係で,コミックと同じ所で止まっている.
話はようやくモーニングに連載していた『東京トイボックス』の(時系列的に見て)続きの話が進展して来ているのだけど,『大東京』の方では…いやぁ何かこう現場のエグい部分とか重い部分も描写されていて,現在は少し重い話に振れている.
納期と品質の狭間で揺れ動いたり,暴走する部下が勝手なことやった挙句に戦線離脱したり.私と同世代の人(年代的にプレイヤー兼管理者的に動くことを求められる立場)は他人事に思えない部分もあると思う.いや,読んでいて胃にキリキリ来るような話が多いかもしれない(苦笑)
でも,おそらく次から(連載1月号分から)話が少しずつ上向きになり,最終的にカタルシスを得られるような明るい展開になるであろう…いや,そうして欲しいなぁ.
この手の現場物の話を読んでいてよく思うのは,仕事の内容そのものを楽しめる場合もあるだろうけれど,それだけだと苦しさを乗り越えられない.最終的に人に喜ばれたり感謝されてたりするのが,物作りをする者にとっての一番の報酬だよね.以前,某ゲーム会社の(名前の知られた)プログラマの人と話してたときも同じような話になったことがある.
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まぁそんなこんなで重い展開の話になっているマンガを読む一方で,辛いことも明るく笑い飛ばそうぜ的なマンガも読んでいる.最近のツボは,『とろける鉄工所』.イブニングに連載中.つい先日,単行本も出た.
#単行本を買った人は,カバーを取って中のマンガを読むこと.最近こういう遊びもあるので,読むときに注意を怠れない(笑)
話の内容はというと,鉄工所での仕事や人間関係とかを題材にした何気ない日常的な話.業界の人にとっては当たり前のことかもしれないけれど,私らから見ると『へー』とか『ほほーっ』とかいう話も多い.そして笑いの質も,大笑いするという感じではなくて,微笑ましいなという感じの笑い.その塩梅が丁度良い感じ.
その一方で,サンダーの針金で片目失明したり(!),指を落とした人の話(!!)とかも実に淡々と描写されていたりするので侮れない.きっとこのマンガが劇画タッチでシリアスに描かれていたとしたら,凄まじいものになったであろう…
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マンガではないけど,『リーダーになる人の たった1つの習慣』という本の評判が良かったので,買って読んでみた.
起業を考えていた武田、五十嵐、間宮の3人は、それぞれ赤字のカラオケ店を1年間だけ任されることになる。一流大学を出た高圧的な武田は、スタッフから辞表を突きつけられる。アイデア豊富な五十嵐は、スタッフと仲良くなるが、企画の限界という壁につきあたる。人を大切にする間宮は、どんなに働きかけてもやる気を見せないスタッフに気力を奪われていく......。
(中略)
赤字のカラオケ店を受け持った3人。一番早く業績を上げたのは、誰だったのか? 実話をもとにしたストーリーで、部下が最大限に力を発揮したくなる方法を伝授。(内容紹介より引用)
と,いう内容なんだけど,レビューにもある通り,30分もあれば読める程度の内容であった.展開と結果は実際に読んでいただくとして,まぁ想像通りの結末という点だけは書いておこうかな.
でもやっぱ最終的には方法論云々というよりも,その人のパーソナリティが重要で,色々な状況を楽しめるかどうかということなんじゃないかと思う.そしてさらに周りをどう楽しませられるかというか.
『苦しいときほどユーモアが必要』ってのはよく言われることだけど,まぁ究極はそいうことなんだろうね.アメリカ人とか見ていると『こういう所はかなわねぇなぁ』と,国民性の違いを実感する部分もある.もちろん個人差とかも大きいけどね.
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再びマンガの話に戻すけど,イブニングで『モテキ』という久保ミツロウ女史の新連載が始まったのだけど,これも凄まじく面白くなりそうである.これも掲載誌が週刊誌なら,もっとガンガン次の話を読めて良かったのだけどなぁと身悶えしている今日この頃である.少々イブニングらしからぬカラーなので,打ち切りにならないことを祈りつつ…
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