書斎がいらないマジック整理術
書斎本と言うと,「こんな道具が便利だ」とか「こういうルールで管理すると良い」,はたまた,「我が輩の素晴らしい書斎を見てくれたまゑ」のような話に終始する本が多いわけですが,大抵の場合,最初に書かれていることは,「まず何が何でも小さくても良いから書斎を持て」ということ(そしてその多くが「デカイ机を買え」と続く).知的ストレッチ入門もその例外ではありませんでした.
そして本書は,そういった多くの本で「重要」,はたまた「常識」と解説されてきた前提条件を,まずは破壊して見せてくれます.意外に思われる人も多いかもしれないけど,読んでみるとある意味斬新で,納得させられる部分を多く感じます.最近はフリーアドレスを導入する企業も多くなって来ていますが,そのメリットの部分を大きくし,家庭内でも…と,いう方向の話です.MTD(マジック・トランク・デスク)や屏風棚を作ってしまう辺りは「そこまでしますか?」と,新幹線の中で読みながら,思わず突っ込みの手を入れたい衝動を感じましたが,写真や詳しい説明を読むと,私も作ってみようかなぁという気に少しなりはじめたり.
MTDとは何かに関しては,本書を読んで納得してみてください.え?表紙に載っているのは何かって?そう,これがMTD.
書類等の整理は,山根 一眞氏の『スーパー書斎の仕事術』と林 晴比古氏の『はじめてのパソコン書斎整理術』をアレンジした方法をベースにしています.なお,本書には,「知的生産」や「整理術」をキーワードとする,定番と言われている書籍がかなり引用されています.この手の本を初めて読むという方は,リファレンスされている本を一通り読んでみると良いかもしれません.
また,本書の内容は,書斎の話や書類整理の話ばかりではなく,メモテクや記憶術(結構凄い)等もちりばめられており,予想外に充実した内容でした.基本路線は,「ストレスを減らす/無くす」という方向に物事をチューニング.LifeHackやGTDにも通じる所あり.
著者のボナ植木氏は,ご存知の通りマジシャン.流石にエンタのプロです.本書もグイグイ引きこまれ,スルスル読め,飽きが来ませんでした.たまに入っている逸話や挿話も秀逸.
「我輩の書斎術・整理術を開陳して進ぜよう」系の堅苦しい本に飽きた方は是非御一読あれ.残念なのは絶版になっていること.マーケットプレイスか古本屋でしか買えないのは残念無念.多くの人に読んでもらいたい本です.
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