SA1F00Dキーボード改造
工人舎のSA1Fですが,最近は「ハケンの品格」に登場したことで少し人気が出たような話を聞いたり,日経トレンディーの2007年4月号で表紙を飾るわ記事が載るわ(それもかなり好意的な記事)しており,発売からかなり経ったこの時期になっても露出が増えています.ドラマの中で初登場した際には,会議室の全社員が使いまくってる(10台くらい並んでた)シーンがあって壮観でした.登場した直後,お茶をぶっかけられるわ,ブンブン振ってお茶を落としてるわで笑ったけど…せめてシャットダウンしてから拭けよ…と.
で,ドラマでは,監査に粉飾決算の疑いをかけられ,社員が超焦りながらキーボードを叩きまくっているシーンもあったのですが,「ノーマル状態のキーボードでは,これはキツイものがありますヨ」と,冷ややかに見てしまった.
そんなわけで,今回は,おそらく新規購入した人がまずハマるであろうSA1Fのキーボードに関して書いてみようと思う.
SA1Fのキーボードは,この手の小型PCに似合わず,形状的には,非常にマトモなキーボードを搭載しています.そのサイズ,ストローク感共に合格点.個人的な不満点問題といえば,サイズが小さいために変則的な位置なっているキーがあったり,右側にシフトキーが無かったりするくらい.この程度の問題であれば,慣れで何とでもなります.
※なお,店頭展示品で見てみると,初期のロットと思われる個体と最近のロットと思われる個体では,若干最近の物方がキータッチが良い感じがします.古くから展示されている物は,押し込む際に,少々引っかかる感アリ.気のせいかも…という程度ですが
やや変則的なキーレイアウト
しかし,SA1Fのキーボードの深刻な問題は,店頭ではじっくり使ってみない限り気が付きません.おそらく多くの人は,実際に購入して使ってみて初めて気が付くことでしょう.そしてWindowsのログイン時に,何度も「パスワードが違うよ」と弾かれて暴れたくなる衝動に駆られる人も多いでしょう.
このキーボード,カチッとした打鍵感があるにも関わらず,実際には取りこぼしをしていることが非常に多いのです.実際には,キーボードのみに起因した問題ではないのですが,タッチタイプをある程度以上の速度で出来る人にとっては,非常に深刻な問題です.昔,VAIO N505でも体験したことですが(こちらは修理により解決),キーの中心を上からしっかりと押し込まなければ,取りこぼす頻度が非常に多いように思います.
キーの中央から押せばOK | |
キーの左端にテンションをかけて押し込むとNG | |
キーの右端にテンションをかけて押し込んでもNG |
このように,SA1Fのノーマル状態のキーボードは,デスクトップPC用のキーで同じことが発生していたらキレまくる人が続出しそうな状態です.コレをそのまま使う場合は,タイピング速度を落とし,指を立て気味にし,キーの中央を上から真っ直ぐに押し込むという「体を機械に合わせる」ことをしなければならないでしょう.割り切れる場合は,タイピングスタイルの「慣れ」の一言で済ませられるかもしれませんが…私としては耐え難い苦痛です.
結論を先に書きますと,既に先人達の創意工夫と努力により,改善/解消の方法が編み出されています(SA1F00A/B/Dのキーボード改善・改良参照).
一番手軽なのは,レジストリを変更し,キーボードのレスポンスを変更すること.これで大分良くなる感じがします(ただし,最近のロットでは初期状態で既に対策済みの場合アリ).また,工人舎のサポートページから,「KOHJINSHA SAシリーズ」の「チップセットドライバ」をダウンロードし,インストールすることによっても,かなり改善します.
しかし,この方法は改善こそしますが,解決はしません.
SA1Fのキーボードは,下に示す写真のように,殆どのキーではキートップがパンタグラフで支えられています.そしてキーを押し込むことにより,キートップ裏の突起でラバーカップを押し込み,最終的に当該キーの基盤上のパターンを導通させるという構造になっています.つまり,取りこぼしする際には,ラバーカップが斜めに押し込まれることにより,最終到達点まできちんと押し込まれておらず,結果的に導通出来なくなっている(であろう)ということになります.
キーの構造
で,この問題を解決する方法が,突起の部分を少し延長し,キーを多少斜めに押したとしても,最後まで押し込めるようにするという方法です.詳しくは前述の「まとめサイト」参照のこと.具体的な方法としては,接着剤を少し盛る方法や,ヘアブラシの先端を加工して使用する方法,精密ネジを使用する方法等が編み出されています.おそらく現在主流なのは,簡単・確実なネジによる加工でしょう.
ネジ加工の最も厄介な部分は,推奨されている M1.6*2[mm]のネジが入手しにくいことでしょう.私も難波のネジ専門店で探したのですが,見付けられませんでした(詳しくは後述).しかし,通販でバラ売りもしている業者を発見. ネジの高山です.
トップページから,「精密ネジ」→「0番1種皿小ネジ」→「黒色クロメート」→表からM1.6 2mm を選択すればOK.バラ単価は1本3円.1000本の場合は1本2.5円です(2007/3/2現在).改造に必要なネジはそれほどいらないのですが,余裕を見て100本発注しました.
代引きで購入すると,これに送料+代引き手数料が加算され,合計1,455円になります.この内のネジ代が300円であることを考えるとちょっとアレですが,探し回ることを考えればリーズナブルな価格と言えましょう.私の場合,日本橋に往復すると電車賃だけで1000円かかりますし….もしも気になるのであれば,SA1Fユーザを何人か募ってまとめ買いしても良いかもしれません.
平日の朝2時頃にに発注したところ,その日の内に発送して頂いたようで,翌日には届きました.
では,早速改造です.まずは先人の作成したマニュアルを有り難く拝見してから作業を行いましょう.
と,こんな感じで改造したキーは,取りこぼしが嘘のように無くなります.完全解決.作業時間も1時間かかりませんでした.
作業に際し,特に気を付けることは,
- 作業は慎重に.ネジは真っ直ぐねじ込み,途中で破損していないか確認しながらやる方が良い
- パンタグラフの方向はキーによって異なる場合があるので,こじって外すときも慎重に確認
- ネジはM1.6*2[mm]にすべし
辺りでしょうか.
特に最後のは重要です.M1.7*2[mm]が難波の店の店頭で入手できたので,「0.1[mm]くらの差は大したこと無いだろう」と,軽く見て試してみたのですが,下の写真のような状態になってしまいました…
M1.7*2[mm]でやらかしてしまったの図
左がM1.7*2[mm],右がM1.6*2[mm].こうして見ると,結構違います
ピンバイスで穴を拡張してから行えば,M1.7*2[mm]でもうまく行くとのことでありますが,くれぐれもご注意あれ.私の場合,完全に欠損しなかったために何とか助かりました.現在はM1.6*2[mm]に変更し,問題なく使えています.
[2008/01追記] ---ここから---
昨年末,KJSテクノスという所から SAシリーズのキーボード交換サービスが開始されました.KJSもキーボードの取りこぼし問題は認識していたようで,その問題を解決した改良版を出したということのようです.左の画像をクリックすれば,楽天のページに飛べます.
料金は 7500円也.本体をピックアップ&交換した後に返送してくれるというサービスなので,『キー入力問題を何とかしたいけどネジ改造はちょっと…壊すと怖い…』と,いう方は,利用してみては如何でしょうか.値段の問題や,「普段使いしているので1日でも離れると困る.自分で交換するからパーツだけ売って!」ということに対応して頂けないなど,諸々不満はありますが,『あの』キーボードをそのまま放置しするのではなく,救済策を講じたという点は評価出来るかなと個人的には思っています.
---追記ここまで---
番外編
私の場合,CTRLキーを酷使するため,これが「A」キーの左にないと指が非常に辛い状態になります.普段はソフト的に入れ替えるだけなのですが,今回はCapsLockとCTRLのキートップを物理的に交換し,Windowsの方もレジストリをいじってキーをSWAPしました.快適です.
CTRLとCapsLockのキートップは同じ大きさなので… | |
そのまま入れ替えられる |
レジストリの変更は,"HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Keyboard Layout"の"Scancode Map"を編集して行います.レジストリエディタを使わなくとも,手軽に変更が行えるregファイルを公開されている方もおられるので,ありがたく利用させて頂くのが良いでしょう.
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