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2018年5月 1日 (火)

心の奥の方がほんのりと暖かくなる映画:リズと青い鳥

京都アニメーション,略して『京アニ』の製作する映画って安定感ありますよね.

最近は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』がつい先日までオンエアされていましたが,劇場版アニメの製作も盛んです.以前『境界の彼方』のエントリー『聲の形』のエントリーなどを書きましたが,『響け!ユーフォニアム』も傑作でした.

この作品,テレビ放送の際には,『え?これって劇場版クオリティでは?』という感じでしたが,実際に前後編の2部作で劇場公開されました.内容は高校の吹奏楽部を舞台にした学園ドラマなのですが,例えば吹部の演奏もこのクオリティ(youtube)ですよ.プロも大絶賛です.テレビ放送の際には鳥肌立ちました.

地上波放送された第一期第二期の円盤を揃えるのはちょっとコスト的にアレなんで,円盤に関しては,劇場版の『響け!ユーフォニアム~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~』と『響け! ユーフォニアム ~届けたいメロディ~』を購入しました.内容的には,この2作品を観るだけでも満足出来ると思うので,まだ観ていない人はこれを観て下さい.観ないと人生損します(断言).

それにしても,アニメって円盤って高いですよね….冴えカノの三期が制作されるかは♭の円盤の売上げ次第らしいので何とか応援したいけど,揃えると高いよなぁ…とか思っていたら,劇場版ですかそうですか.

閑話休題.

『響け!ユーフォニアム』は,主人公の黄前久美子と高坂麗奈のライトな百合の世界を醸し出しつつ友情を深めつつ&奏者としての能力をお互いに磨き合いつつ,主人公と同じくユーフォを演奏する副部長の田中あすか先輩との絡みで人間的な深みを得つつ素晴らしい奏者に…というストーリーでした.少しネタバレすると,『その後(第二期の後)が見たい!』という所で終わってしまっているので,若干の不完全燃焼&喪失感だったわけです.そして『響け!』の映画が制作される…ということで期待していたら,鎧塚みぞれと傘木希美の二人の話が中心のスピンオフ作品とのこと.

えーっ.黄前ちゃんのその後は!?(*)とか,金賞取れるの?とか,絵が『響け!ユーフォ』と全然違う!とか色々と思う所があったのですが,京アニのアニメだし,とりあえず評判が良いようなので,出張帰りにヒィヒィ劇場までダッシュして(頭数分切れちゃったけど)観に行きました.そして…凄く良かったです.心理描写が凄い.

(*)こちらは別の劇場版として制作されているとのこと.

『リズと青い鳥』の公式はこちらです.

一応ストーリーをおさらいしておくと,『響け!ユーフォニアム』の中であった,鎧塚みぞれと傘木希美の二人の間にあった一見歪んだ依存関係について掘り下げられ,そしてそれが軸となって話が展開して行きます.『ユーフォ』の2期を観た人であれば覚えていると思うけど,コンクール直前に周りを巻き込んで吹部が空中分解しかかった事件があったじゃないですか.

尺の関係か,『ユーフォ』ではあまり掘り下げられず,結果的に単純な話として描かれてしまいました.でも,高校生の当事者にしてみれば凄く根の深い話だし,その後の二人の関係性にも普通は暗い影を落とすわけです.内気で純粋真っ直ぐな子と,少し擦れた性格の陽気な子の組み合わせ(百合描写濃度少し高し)で依存関係にあり,そして奏者としての能力に差がああればどうなるか…これ以上書いてしまうとネタバレになってしまう…書きたいけど書けないもどかしさよ….

アニメーションって表現方法の一つじゃないですか.何か表現したい物があるときに,どんな方法を使って表現するかの選択肢の一つ.この映画は起承転結なストーリーそのものではなく,『ワクワクドキドキ』的なエンターテイメント的なものでもなく,高校生の心情やちょっとした出来事によるその変化,そして意思を持った選択 といった『状況』そのものの連続を表現しようとしています.私の解釈ですけどね.

小説やマンガであれば行間を読ませるだろうし,全てをまな板の上で見せざるを得ない映像化であれば,演技派の俳優・女優が迫真の演技で以て表現するような心理描写を,この作品ではアニメでやってしまっているんです.凄いですわ.

アニメでここまで心理描写を繊細に表現出来るのか!!と,驚きと共に大いなる可能性を感じました.『聲の形』でも思ったけど,山田監督,凄いな….

そしてこの作品の登場人物と性別の違い・考え方の違いこそあれ,高校生の時分に思い悩んで葛藤し,色々と考えて決断したり挫折したり…といった感じで過ごしていた日々を,この作品を観ることにより思い出しました.今から思えば『あんなちっぽけなことで…』とか思うことも,当時の自分にとってはとてつもなく大きな問題に感じたことも多かったわけです.色々な思いが蘇ります.他の作品の話になるけど,映像化も素晴らしかった『恋は雨上がりのように』の中で,高校生と交流することによって若かりし頃の様々な感情を呼び覚ます店長のような感じかな.

最後に一つ挙げると,今作品も吹奏楽部の演奏は素晴らしいの一言.音楽を聞くためにだけでも映画館で観る価値はあります.特に最後の鎧塚のオーボエの演奏は鳥肌が立ちます.オススメです.是非劇場で観て下さい.

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