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2017年3月31日 (金)

待望の旅人のための万年筆:TRC ブラス 万年筆 無垢

『万年筆』と言うと,ご年配な方がゆったりとハードカバーのノートの上に文字を書き連ねるための高級筆記用具である…とか,レトロ筆記用具の代表選手というイメージがありました.しかしここ数年でガラリと変わりましたね.

やはり一番大きな影響を与えたのは,一部の雑誌付録に鉄ペンの万年筆が付いてきたことでしょう.この辺りに関しては,もう5年も前になりますが,こちらにも少し書きました.

この他,コチラで紹介したPILOTのkakuno等のカジュアル万年筆のヒットも大きく影響していることでしょう.

これらの結果,多くの人にとって『万年筆』が特別なものでは無くなり,触れる機会も多くなって来たと思います.そして実際に使ってみて万年筆で書く楽しさの虜になったり,他の人が使っているのを見ても違和感を感じなくなって来ているように思います.

かく言う私はというと,こちらで紹介したように,プラチナ万年筆の超極細を常用しています.以前別のモデルを使っていた際には,『万年筆を使うなんて珍しいね』なんて言われることがありましたが,最近は言われることが無くなりました.万年筆が再び実用的な筆記用具としての市民権を得たようで嬉しいですな.

閑話休題.

さて,『万年筆』と言うと,最近は使い捨て感覚のカジュアルなタイプと,大事に大事に使う高級タイプに二分されて来ているように思います.つまり何が言いたいかというと,『ガシガシと使ってナンボ』で,『傷は勲章』と言えるような万年筆はあまり見当たらないということです.

今回紹介する万年筆は,『トラベラーズノート』と合わせて使いたい『TRC ブラス 万年筆 無垢』です.箱入り娘のように大事に室内で育てるのではなく,積極的に旅行に連れ出して,ガシガシと外で使う感じの雰囲気の万年筆です.

待望論は前々からあったような気がしますが,ようやく先日発売になりましたのでレビューしてみます.

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モノは『TRC ブラス 万年筆 無垢』です.これまで同シリーズには鉛筆タイプとボールペンタイプがありましたが,ようやく万年筆がラインナップされました.素晴らしい.

この真鍮の輝き,質感を見て下さい.この中に万年筆が収められているんですよ.ワクワクしますよね.

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MADE IN JAPANです.

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まずは箱の中に入れたままじっくり眺めてみましょうか.

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横にはこの万年筆の構造が描かれています.

OHTOのタッシュと同様,二つに分割してひっくり返してペン先の方を軸に挿してコンパクトにするというアプローチです.

既に廃番になってしまったようですが,無印良品のアルミポケット万年筆(多分OEM)も同じ仕組みですが,万年筆らしからぬコンパクトさで持ち運べ,筆記時には使い易いサイズになります.そのため,単なるコンパクト万年筆と異なり,使い勝手が犠牲になりません.

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裏側.クリップで固定されています.

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箱をパカッと開くと,中にも説明書きが.

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真鍮の錆びに関する注意書きが書かれています.

そう言えば昔は『緑青』って猛毒だと聞いていたのですが,実は毒性は強くないんです.Wikipediaを読むと,毒性が強くないのが明らかになったのは昭和初期とのことだけど,猛毒だとまことしやかに私が聞いていた時期は昭和後期なんですが…(^^;

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インクカートリッジの付け方,替え方はこちら.

インクは『専用品』となっており,ブラックとブルーブラックが案内されています.でも,後述の通り,規格が同じであれば別メーカーのインクでも使えます.

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ようやく本体.

真鍮色のシブイ金色の輝きが素晴らしい.

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このリングの部分はねじ込み式になっています.クリップが不要な場合は,リング部のパーツを一度外してクリップを取り外しましょう.

また,このリングの金具ですが,昨日アップした『ボールペンのオリーブエディション』よりかなり小型です.金具で引っ掛けるのでは無く,紐を直接通した方が良さそうです.

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真鍮の輝きってホント,綺麗ですね.下品な派手さが無く,それでいて存在感がある.

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『TRAVELER'S COMPANY MADE IN JAPAN』の刻印.

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軸からこんな感じに抜けます.

軸同士は純粋に弾性で固定されているだけです.しかし適度なテンションがかからないと抜けないようになっており,その固さも絶妙.また,万年筆としては(インクの乾燥やインク漏れ時の対応のため)気になる気密性ですが,形状に工夫がされていており,それなりに確保されているように感じます.

構造について追記すると,Oリングのような物が無く,パーツの抜き差しの際には金属パーツが直接擦れる構造になっています.私は金属同士が擦れるキキキーとかゴリゴリーとかいう音や感触が大の苦手なのですが,このペンでは諸々工夫されており,そういった深いな音や振動が一切出ないのもグッドです.

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ペン先はF.鉄ペンで,ペン先にも『TRAVELER'S COMPANY』の刻印.

下の写真をパッと見ただけでも違和感があると思います.初めて見たときにビックリしたのは,切割りの溝が殆ど見えないくらいにピッタリ閉じていることと,ハート穴が無いこと.これは珍しい.

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ペンポイントはこんな感じ.

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ペン軸のフィンの部分はきっちりと付いています.この角度から見たら,紛れもなく万年筆.

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先端から1/3くらいの所で首がネジ止めされていますので,これを外します.すると中からブラックのインクカートリッジが出てきます.

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下の写真の上側が入っていたインクカートリッジ.形状的にOHTOのカートリッジだと思います.なので,おそらくコレが使えるはず.たしかストックがあった筈なので,試してみようかな.

規格としては,所謂『ヨーロッパ統一規格』のショートサイズ.ヨーロッパのメーカー全てがこの規格のカートリッジでない点がヤヤコシイけど,メジャー所ではペリカンやモンブランもこの規格です.ただし,この万年筆で使えるのは『ショートサイズ』である点に注意.

ペリカンのインクカートリッジで見ると分かりやすいけど,ショートがコレロングがコレです.普通の…というと語弊がありますが,一般の万年筆は軸内にそれなりの空間があるため,ロングのインクを1本挿すか,ショートを1本挿す&軸の空いた空間に未使用ショートを予備で1本入れておく の何れかを選べます.

どちらもトータルでのインク容量はあまり変わらないのですが,後者のようにしておくと,インクが切れたときにその場で交換出来る有り難みがあります.前者だと,『あっ,切れた!』となったときに交換用のカートリッジを別途持ち運んでいないと手詰まりです.後者だと交換して使い続け,補充できるときに予備の1本を補充するという使い方が出来るわけです.

ただしこの万年筆では,狭小な軸内スペースの関係で予備のカートリッジを仕込んでおくことが出来ません.なので,元々容量が小さいカートリッジしか使えない上に予備インクを軸内に持てないというハンデを負います.

下はプラチナ万年筆のインクカートリッジ(独自規格).一般的なインクカートリッジと言えばこの同じ大きさなのですが,ショートは容量的に約半分であることが分かると思います.

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カートリッジをセットしましょう.

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ペン芯にこのように突き刺します.するとインクが毛細現象で吸われ,筆記できるようになります.

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首を軸1にネジ込み….

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軸2に取り付けて筆記スタイルです.

この状態にすると,普通の万年筆の長さになるために書き易くなります.逆に上の写真のような状態では,まぁ書けないことはありませんが,短すぎて書きにくいです.

なお,真鍮製の軸が結構ズシッと来る重量のため,質圧をかけなくてもペンの自重でスルスル書けます.そして重心も変なところにないため,書きやすさという面ではとても良い塩梅です.

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この状態で見たら,少しレトロな雰囲気を醸し出すフォルムの万年筆といった感じでしょうか.変型してコンパクトになる万年筆には見えません.

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今回は(笑)実際に書いてみました.当然と言えば当然ですが,普通に書けます.変なクセはありません.ただし万年筆っぽいヌラヌラ感は無く,スルスルという感じ.書き味的には水性ボールペンに近いかも.

あと,切割りがしっかり広がっておらずにハート穴も無いためか,ペン先がしなるような弾力&感触がありません.万年筆でこの書き味は新鮮.

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まとめ

と,いうことで,待望の旅人のための万年筆の登場です.

真鍮製の素晴らしい質感と輝き.更にはこの携帯性.そしてスポッと抜くだけで筆記出来,軸に挿せばフルサイズの万年筆に早変わり.書き味もとても良く,万年筆らしいかと言われると少し独特な感じがしないでもありませんが,ガリガリやカリカリではなく,スルスルと書けます.

欠点的な部分はと言うと,インクカートリッジ周りでしょうか.バリバリと筆記すると,ショートサイズのインクカートリッジはかなり早いペースで無くなります.そんなとき,このペンは予備のカートリッジを本体に収納しておくことが出来ませんので,厳しい状態になります.筆箱をガサガサやるのも少々格好悪いです.ミドリさんには,デザイン的に統一感が取れるような真鍮製の予備のインクカートリッジケースを製品化して欲しいところです.それとEFなペン先のラインナップも欲しい….

その他気になる点はと言うと,耐久性ですかね.でもこれは未知数.OHTOはタッシエでノウハウを蓄積している筈なので,杞憂かもですが.まぁ,ガシガシ使ってナンボな感じのペンなので,壊れたらそれはそれで勲章かなという気もしています.首から紐で提げて旅行に出て,所構わず万年筆を使うとかしたいなぁ…うっとり(笑)

万年筆は構造的に弱い(例えばペン先にゴミが引っ掛かったりすると変なことになりやすく,ペン先から床に落とすとほぼ100%アウト)部分が有り,そしてそれなりに高価な物が多いため,箱入り娘的に使ってしまうケースが多いでしょう.例えば擦り傷が付いただけで愕然&落胆するような感じに.でもこの万年筆であれば外に一緒に連れ出したくなるし,屋外であろうと使いたい気分にさせてくれます.感覚的には,鉛筆に近いかも.そして傷が付いたら付いたで『味』だし『勲章』になる.

と,いうことで,所有欲を満たし,そして実用的でもある筆記用具です.『TRCブラス 万年筆 無垢』オススメです.


[2017/04/03追記]インクをブルーブラックに換える

万年筆使いの人は大抵,好みの『インク色』があります.私の基本色は『ブルーブラック』です.

ここでトラディショナルなブルーブラックでは…と,書き出すと筆が止まらないので止めますが,要は黒っぽい青のこと.しかし同じように『ブルーブラック』として売られていても,メーカーによって色味が全然異なるのが常でして,例えばペリカンだと暗く深い青だけど,プラチナ万年筆は明るい青に近い色だったりします.

吸入式の場合はコチラで紹介した色雫の朝顔も好きですが…とかやり始めるとまた脱線しそうなので,本題に戻ります.あぁ,恐ろしきかな,万年筆インク沼.

今回交換用に用意したのは,OHTOのブルーブラック.です.

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『他社の万年筆(ヨーロッパスタイル)の一部に適合しますが-』と,書かれている通り,ヨーロッパ統一規格に準拠したインクカートリッジです.

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箱から出すこの瞬間,ないしは,箱に詰まったリフィル達をこのアングルで眺めるとワクワクしますな.

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早速セット.スムーズにパチッと挿せなかったような気がしないでもありませんが,まぁ普通にセット完了.

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ブルーブラック色ですが,OHTO製は濃い藍色といった感じ.ブラックのときよりも,万年筆らしい濃淡がうまく出ているような気がします.気のせいかもしれないけど(^^;

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手間暇を惜しまない文具マニアな場合,空になったインクカートリッジに注射器(ダイソーなどで『ピストン型スポイト』として売られているような物)で好みのインクを補充してセットしたりしています.

私はそこまで凝ったことはあまりしませんが,好きな色で書くと気分が上がるのは事実.私の場合,日常使い用のペンには,大抵は青系かブルーブラックを入れています.

『万年筆では黒しか使ったことが無い』という人は,是非違う色のインクも試してみて下さい.世界が変わると思いますよ~

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