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2016年12月 4日 (日)

映画「この世界の片隅に」を観て

映画『この世界の片隅に』(公式).

マンガ好き,もしくは映画好きの人であればこの作品のことは知っていると思います.本作は,クラウドファンディングを利用して制作費の一部を集めたこと,そして主役の声優を能年玲奈(本名)がキャスティングされたことでも一部で話題になりました.でも,大手のメディアでは殆ど採り上げられていませんよね.これについては,実に苦々しい理由であると言われており,このツイートを読むと,芸能界ってなかなかエグイ世界だなと思ったりもするわけです.

しかし63館(現在は82館)での上映にも関わらず,11月29日の時点で動員22万人突破して興行収入も3億円.動員数は今も上位を維持しています.そして観た人は大絶賛.更にその情報はネットを駆け巡り,新たな人を劇場に呼び寄せ,また感想が拡散していく…というループを経て,未だに劇場では満席が続いているとのこと.

『名作』『傑作』等,ネットを駆け巡る大絶賛のオンパレードに焦れつつも,上映している映画館が少いため,都合が付かずになかなか行けていませんでした.が,急な出張&ポコッと夜に時間が出来たので観てきました.

いやぁ,凄い映画でした.

前述の諸般の事情のため,おそらく地上波では放送されないと思うし,前述のようにマスメディアに採り上げられることも少ないと思う.そのため,この作品の存在を知らずに終わる人も多いと思う.もったいないです.実にもったいない.

このエントリーを読んで『え?そんな作品あったの?』と,少しでも興味を持った人は,映画館に行くべきです.一度観ただけで心に刻み込まれる映画です.

ダブルヘッダーの打ち合わせの後,急いで錦糸町の映画館へ.エレベーターから降りたら目の前に長蛇の列.『何の行列?イベント?』とか思っていたら,『「この世界の片隅に」の方は列にお並びくださーい』の指示.

その末尾はシアターから溢れてエレベーターホールも超え,階段に吸い込まれており,最終的に2階分ほど上の方まで伸びていました.そしてその人数がそのまま流れ込むので,満席&自由席ということもあって良い席の取り合いはかなり熾烈な状況.

私は前から二番目の列の端の方に,辛うじて座ることが出来ました.ヘロヘロだったので,立ち見にならなくて良かった….

Movie

正直,この『日本昔話』風の絵柄は苦手な人が居るかもしれない.しかし,映画を見始めたら5分でその感覚は吹っ飛びます.そして心配していた能年玲奈の声ですが,実にこの主人公にマッチしていました.むしろ,能年玲奈の声というピースがはまってようやくこの映画が完璧な物になったような印象.

ストーリーはというと,呉に嫁入りした『天然』な子の毎日を描いたものなのですが,戦争の暗い影が彼女たちの生活の上にも降りかかりますので,胸が締め付けられるようなエグイ展開もあります.最初は劇場内が度々爆笑の渦に包まれたりしたのですが,途中からは重力が数倍になったかのような重苦しい状態に.しかし最後はささやかな救いの光が.

『戦争反対,平和万歳』とかいう安っぽい言葉はこの映画には合いません.そしてこの映画は『エンターテイメント』という俗な言葉が近付けないような崇高なオーラを纏っています.

明確なメッセージ性があるわけではなく,そして芸術性を追い求めたものでも無いように思います.あくまでも,天然な女の人の数年間を傍らでずっと見続けている感覚の作品です.話は淡々と進みます.それなのに何故,これ程までも楽しくなって腹の底から笑い,そして胸が潰れて心に激しい痛みを感じるのでしょうか.ラストのスタッフロール,そしてクラウドファンディングでの賛同者の長い長い名前の一覧が終わって劇場の電気が点いた後も,1/3くらいの観客は嗚咽していたり目頭を手で被っていて席を立てませんでした.

一応書いておくと,かなり刺激が強い部分がありますので,感受性の高すぎる方や小学生くらいのお子様は鑑賞を避けた方が良さそうです.

と,これを書いていたら,横浜映画祭の2016年日本映画ベストテンで一位を獲得したとのこと.素晴らしい!.そして納得の結果です.

繰り返します.この映画は一度観ただけで心に刻み込まれる程の素晴らしい作品です.観るべきです.

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