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2014年12月 1日 (月)

淡々と進むのにグイグイと引き込まれ,そして締め上げられていく感覚:紙の月

正直に言います.furyの封切りを1週間勘違いしていました.そして丁度『どうしても観たい!』という映画をやっていなかったため,『タイミングが合ったら観よう』と思っていた『紙の月』を観ることにしました.

この映画に関しては,あちこちの書店で予告編が流れているので,ご存じの方も多いでしょう.そして原田知世主演でドラマがNHKで放送されていたので,そちらをご覧になったことがある方も多いでしょう.更に言うと,原作本を….

かくいう私は,『原作>ドラマ≒映画』と考えいたため,原作は入手済みだけど封印中.そしてドラマもレンタルリストに登録中という状態でした.つまり,極めて大まかな粗筋は知っているけど詳しくは知らないという状態.ある意味,先入観の無い真っ新な状態で観たことになります.

冒頭,『宮沢りえ,綺麗だけど痩せ過ぎで色気無いよなぁ.大学生がのめり込むとは思えないなぁ』(失礼!)とか,『ちょっと演技が淡々とし過ぎじゃないか?』とか思っていました.が…しかし…

いや~心臓に悪い映画ですわ.ホラーに近いくらいに.刺激が欲しい方には打って付けの映画です.

前述した通り,冒頭は『あれっ?観る映画のチョイスを失敗した?』と思う程,微妙な展開です.

この感覚は,『八日目の蝉』を観たときと似ているかもしれない.しかし,八日目の蝉の時もそうだったけど,気が付くと沼にはまって首だけ出ている状態であり,知らないうちに静かに深く引きずり込まれて息苦しくなってる.

若干のネタバレ含めて書くと,関係が冷め気味の旦那が,単身赴任決まって長期間家に居ない状況とか,大学生と親密な仲になって深みにはまり,舞い上がっちゃって贅沢三昧をしてしまう展開とか,『本来であれば』ストーリー展開にリアリティを持たせる筈の重要な部分の描写が,実に薄っぺらいんです.

これは映画の尺を考えると如何ともしがたい部分があると思いますが,劇中の描写に共感しないし薄っぺらいんですね.

じゃぁこの映画の何処が凄いのかというと,『焦り』や『恐怖』という感覚です.

サスペンス物やホラー物だと,『犯人が来る』とか『何か出る』的な即物的な焦りや恐怖があるわけですが,この映画は違います.精神的に来ます.

『幹』の部分はと言うと,文字化するととても軽くなってしまいますが,『ちょっとした出来心で客の金を「一時拝借」し,そしてその後巨額の横領を行ってしまった』という状況.

おそらくこれをお読みの大多数の方と同じように,私は不正とか横領に手を染めた経験はありません.しかし,何故かその状況がとても身近に感じられ,そしてストレスフルで息苦しくなる.何とかしなきゃ,何とか隠さなきゃって感覚が湧き上がり,もはやどうしようも無い状況や,そのうち露見するという絶望的な状況に追い詰められつつ締め上げられる.

俳優や女優は,自分が経験したことが無いような役柄であっても なり切って演じるわけです.しかしこの映画では,演技を見せることにより,観客までも(心理的な部分で)一体化させてしまっているわけです.凄い映画です.そして宮沢りえの演技も凄まじい.主演女優賞を受賞されたのも納得です.

あと,何気に大島優子の演技も良かったですね.

良質な刺激が欲しい方は,是非,劇場に足を運んでみて下さい.

映画の楽しみ方の新しい地平が見えた気がします.

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» 第27回東京国際映画祭「紙の月」 [ここなつ映画レビュー]
コンペティション作品。観客の投票によって決定する観客賞を受賞。主演の宮沢りえは最優秀女優賞を受賞。舞台挨拶の宮沢りえは綺麗だった! コンペ作品の中では、最も商業ベースに乗った作品だと思う。かといって、招待作品のようなお祭り騒ぎな気分ではない。何といっても、監督は「桐島、部活やめるってよ」「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の吉田大八なので、映画祭の“出品作品”として適切なのだと思う(「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」はカンヌの批評家週間に招待されているし、「桐島、部活やめるってよ」は日本アカデミー賞監... [続きを読む]

受信: 2014年12月19日 (金) 13時00分

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