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2013年12月 1日 (日)

SPEC劇場版の結 漸ノ篇,爻ノ篇を観てきた

漸ノ篇はジョブズの映画を観に行ったときに.そして爻ノ篇は金曜に観て来た.本当は爻ノ篇は新宿ピカデリーで28日の23:30からの回という,正に『封切り第一回目の上映』に行きたかったのだけど,仕事が押して行けなかったでござるの巻でした.仕方なく,出張の帰路の途中で立ち寄った劇場で観た次第.

元々ドラマの独特な雰囲気にハマっていて,その中途半端な終わり方にモヤモヤしていたこともあり,その結末を見届けたいって感じで前作の天の方も劇場に観に行きました.だけど,深夜ドラマの独特な雰囲気(←個人的には凄く好き)が劇場版になることにより,ちょっと悪い方向に作用した感じがした…ってのが率直な感想でした.

バーの薄明かりの元で見たら美人だったのに,日中に外で会ってみたら『あれっ?』みたいな.

でも,ダラダラと続編を作るつもりではなく,今回完結させるってことだったので,ケジメとして観てきた次第.

一部話が繋がらない部分があったけど,諸々の謎に対して一通りの説明がなされ,ナルホドと納得する展開.そしてドラマ放送時からSPECを追い続けてきたファンとしては,『これで本当に終わった…』と,いうような,寂寥感を感じる結末.

感想を率直に書くならば,万人受けする映画ではないし,ドラマの雰囲気に慣れない人にとっては,エヴァの旧劇場版のような何とも言えないネガティブな感情が残るかもしれません.

でも,SPECファンで,『きちんと結末を見届けたい』って人は,映画館で観るべきです.もしくは,BD化された際に,家で深夜に観るべきです.

ドラマの頃から大きな謎として残っていたのは,『SPECホルダーは人類の進化だったのか』,ということと,『シンプルプランって何なんだ?』ってニ点.

これらの話は劇場版の中で一通りの説明がなされ,それぞれ決着します.そして『ファティマ第三の予言』(正確には,『ファティマ第三の秘密』)が絡み,日本の…というレベルではなく,人類・地球規模の話に展開します.そしてとにかく完結します.今までのドラマのシーンが走馬灯のように駆け巡るシーンでは,当時のことを思い出して(もう三年前も前か…)懐かしさを感じ,最後に瀬文と当麻の心を通わすシーンでは,改めてグッと来るものがあった.

書きたいことは山程あり,そしてネタバレ抜きでは書けないことがあり過ぎて歯痒い思いだけど,まぁ仕方ないですな. まだ封切り直後だし,結末を語ってしまうのは無粋だし.

重要なことなので改めてもう一度書かせてもらうと,ドラマから追っかけてきた人は観るべきです.

ただし,爻ノ篇の方ではグロ表現が多いので,耐性のない人,中高生は要注意.

***

で,ここで終わると中途半端過ぎるので,SPECの独特の雰囲気に関して少し考えてみた.

元々ドラマの方は,視聴率が10%前後とあまり振るわず,私の記憶が確かであれば,プロデューサーがあまりの低視聴率に際し,関係者に対して謝罪のつぶやきをしていたように思う.が,私の周りにもコアなファンがおり,ツボる人にはストライクゾーンど真ん中な物だった.

最近流行ったドラマと言えば,様々な記録を塗り替えた『半沢直樹』を外すことは出来ないけど,大勢に受ける/視聴率を取るドラマって結構パターンがあって,極ありきたりなものを挙げると,

  • 勧善懲悪
  • 最初は主人公がコテンパンにやり込められ,困難を克服して最後に大逆転してカタルシス
  • 謎や伏線を沢山張り巡らし,最後にそれらを説明・回収してスッキリ
  • フィクションでも,『実際にありそう』って錯覚するくらいにリアリティを持たせる

という感じ.

水戸黄門が一番分かり易い展開だけど,凄くシンプルに書くと,『溜めて,溜めて,最後にドカーンとスッキリさせる』って展開.

先に例に挙げた『半沢直樹』に関して書くと,私は出向後の証券会社での活躍を描く『ロスジェネの逆襲』まで読んでいました.なので,ドラマの方は,俳優の怪演や原作をどうアレンジしているかの方に注目して観ていました.一方, 嫁さんや子供達は初めて触れるストーリーなので,先を知らないフレッシュな状態.

そして放送時に家族を端から観察していると,第一話の最後の方の『さっきから都合のいいことばかり書いてんじゃねぇぞ記録!』のシーンで『ドカーン』と来てました.

このシーンを引っ張り過ぎ,これが二話目の後半であったりしたならば,多分うちの家族は見続けてなかったんじゃないかなぁと思います.つまり,ドカーンと来るにしても,引っ張りすぎたらダメ.『家政婦のミタ』は大きな謎を中々回収しなかったけど,カタルシスが得られてスッキリするような物を各話完結するように小まめにドカドカと爆発させていたので,『笑顔を見せない理由』というのを最後まで引っ張れ,最終話で大団円させるんじゃないかって期待で,視聴率を右肩上がりに伸ばせたんじゃないかなと思います.

そういう目で見ると,『SPEC』はかなり特殊.

『SPECホルダー』という,訳の分からない能力を持った者が唐突に現れて事件を起こす.各話完結しない場合もあるし,『何それ?』って感じでスッキリしない回もある.そしてそもそも『SPECとは何か』という説明が全く無いし,それを追求する方向性もなく,掴みどころもない.まるで『とにかくあるんだから説明抜きで存在を許容しろ.問題を解決したらいいんだよ』と言わんばかり(*).どこに向かっているのかの説明も無いし,餃子ロボのような『何それ?』的な悪ノリの冗談のような物まで出てくる.そして正義か否かって問われると,主人公達にとって都合の良い,超法規的なやり方に思えてならない.

(*)昔,風邪が中々治らなかったときに,医師に『原因菌を特定してそれに対して効果的な薬の投与とかは検討しないんですか?』って率直に意見をぶつけてみたことがあります.そのときの返事は,『研究ではそうだろうけど,臨床では症状を対処療法で抑えるって方針だから,原因菌を調べるとかはしない』って内容でした.かなり乱暴な内容に聞こえるかもしれないけど,風邪とかの場合はある意味『真』かなぁと納得した覚えがあります.

と,いうことで,実に不親切でメチャクチャなドラマです.一般受けするわけがない.だが,そこが良い(笑)

ある意味,世の中の事象なんて誰もが納得の行く説明が付くことなんてごく一部だし,大抵は背景情報不足でよく分からないまま展開するし,知れば知るほど理不尽であったりするものもある.正しい者が必ず勝つなんて道徳の世界の中だけの話だし(*2),やはり声がデカイ者や力のある者が勝つ.いや,そもそも『正しい』なんて概念は相対的なものだし,利害関係が対立すれば,私の正義は貴方の悪でもあるわけで.

(*2)『正しい者が必ず勝つ』は否だけど,『正しいやり方をした者が必ず勝つ』は真かも.

なので,よく分からない状態で話が展開して,根本的な問題が何も解決せず,とりあえず目先の一大事が解決しつつも何となくモヤモヤした状態で(ドラマが)終わったというのは,何気にリアルな感じがしないでもありません.実際,人生の意味なんて誰にも分からず,時には暗中模索しつつ藻掻きながらも,誰もが目先の問題をコツコツと解決し続けて,人は終焉の時を迎えるわけじゃないですか.

しかし,エンターテイメントとしてみると,広げた風呂敷は畳まねばならない.始まりを作った人には終わりの幕引きをする責任と義務もある.そんなわけで出来たのが,今回の劇場版なのかなぁという気がしないでもないですな.

と,いうことで,独断と偏見,そして極めて主観的なドラマ・映画批評でした.

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