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2013年12月22日 (日)

映画『永遠の0』を観てきた.これは観ておくべき映画(断言)

映画『永遠の0』を初回上映で観てきた.素晴らしかった.

原作をまだ読んでいない人は幸いである.

劇場で映像と音声という名の奔流の中に身を置き,先の読めない展開の中で手に汗握り,そして人の縁に咽び泣き,最後に大きなカタルシスを得られるのだから.

原作を既に読んでいる人は幸いである.

活字を追い,頭の中で飛ばしていた零戦が眼前でスクリーン狭しと大空を飛び回り,そして魅力的な俳優達によって,ストーリーに命を吹きこまれているのだから.

これは絶対に観ておくべき映画.

あらすじを当たり障りの無いように書くと,祖母の亡くなった後,司法浪人をしていた主人公が,現在の祖父は祖母の再婚相手であり,特攻で無くなった血の繋がった本当の祖父が居たことを知ります.そしてその人がどんな人だったかを知りたくなり,戦友会などのつてを辿って宮部久蔵について調べ始めます.

すると当初は『あいつは臆病者だった』『逃げてばかりいた』『命を惜しんでばかりいた』等,酷い話しばかり聞かされます.しかし,末期癌で余命幾ばくも無い元戦友から,宮部の本当の姿を聞きます.その姿は,すこぶる腕が立ち,ストイックで,部下思いで,とにかく生還に対する執着が激しい.その理由は,妻と娘を遺して逝くわけにはいかないから.何としても生きて帰らなければならないから.

しかし真珠湾,ミッドウェー,ラバウル,内地と転戦するに従って,戦局は悪化.やがて特攻が始まります.内地で教官を務めた際の教え子達が次々と出撃して散っていくのに際し,自分は援護・戦果確認機としての辛い役割を担わされ,次第に精神を病んでいきます.

と,こんな流れなのですが,ここまで書いても映画の面白さが損なわれないのは,戦闘シーンや展開がこの原作や映画の主題では無く,主人公は『人』だからです.この映画は,目を見張るVFXでドンパチしするのがメインではありません.実力派俳優を配し,深みのある演義でストーリーを紡いでいくのが主体で,これが実に素晴らしいんです.元々ストーリー展開が素晴らしかった原作の映像化という意味では,実に良い方向性です.

映画を観て,慟哭して下さい.

***

次に原作を読んでいる人向けに書くと,やはり2時間程度の時間にあの壮大なスケールの原作を詰め込むのは無理があります.そのため,原作であった,ためて,ためて,ためて,そして最後に繋がり,大きく心を揺さぶられ,涙腺が崩壊し,読み終えた後でしばらく放心状態になる…というのが少しコンパクトになっています.

しかし,144分という限られた大きさの器の中に,原作のエッセンスを溢れる寸前の最後の一滴まで絞り切り,それを観せ,そして感じさせてくれます.

この手の映画では,『原作レイプ』と言われるように,監督や脚本家によって好き勝手に改変(演出?)された挙句,原作の良い点が全て無くなり,駄作になってしまうことがよくあります.そんな危機感を少し抱きつつ観に行ったのですが,杞憂だったようです.場内は嗚咽の渦でした.

そしてストーリーそのものには関係ありませんが,目を見張るVFXも白眉.冒頭の特攻シーンから鳥肌が立ちまくります.そして戦時中に撮影され,現存している有名な写真を連想させるシーンや,教え子たちがバタバタと敵艦目前で撃墜されて行くシーン,そして赤城.予算の潤沢なハリウッド映画と比べるとスケール感や完成度は至らない部分を感じますが,邦画でもここまでやれるんだという底力を見せてくれた気がします.

とにかく劇場に足を運んでみてください.後悔しませんから.

***

で,ここから先は少しネタバレを含む話とか余談なのですが,ちょっと気になったのは,『生きろ』ってことを必要以上に繰り返し連呼し過ぎなかと.そして現代の空を宮部がフライパスする心象表現にも少々違和感があった.

多くを語らずとも,色々と理解してもらえることはあると思うんです.だって同じ日本人なんですから.

それと『永遠の0』を読み,個人的に感じた内容としては,

  • 特別攻撃隊等に関し,真実が大きく歪められて伝えられたり教えられたりしていることがある.極めて残念なことである
  • 今の自分が存在するのは,自分に至るまでの大勢の人達が生き抜いて来たからである
  • 大東亜戦争で自分達の祖父の世代が戦い,大勢が亡くなっている.これはそれほど昔の出来事ではなく,また,リアルな出来事だ.そこに生きていた人達も,今の自分達と同じように考え,感じ,そして生きていたのだ

というものがあるのですが,映画からもビシビシ伝わって来ました.それも『きけ、わだつみの声』のような,戦争の悲惨さを説く説教臭い感じではなく,見ている側が等身大の自分として登場人物に感情移入しつつ自分で考え,感じられるような流れで.

また,必要以上に陰鬱な雰囲気になっておらず,恐怖心を煽っていない部分も良いと思いました.

映画『君を忘れない』ほど特攻を軽く描いてはないけれど(*),あまり余計な解説を加えず,淡々と米国の記録映像を流すような感じの描写も続きます.間近な視点で映像化されているので,記録映像とは受ける印象が全く違いますけど.

(*)個人的には,『君を忘れない』も映画としては好きです.未見の人がおられたら,一度観てみて欲しい.日本の戦争映画に対する見方が変わるかもしれません.

***

映画の内容には直接関係ないのだけど,題材が大東亜戦争ということもあってか,混み合っていた劇場内のかなりの割合がご高齢な方々でした.むしろ私が観たシネコンでは,『岡田く~ん(はーと)』って層はほぼおらず,普通の人,もしくは戦友会という雰囲気でした.

中には一歩一歩休みながら介助されながら階段を登り,上の方の席へ向かわれる方もおられました.『もしかしたら劇場で観る映画はこれが最後になるかもしれない.体力的に厳しいが,絶対に観たい』という気持ちで来られたのではなかろうか…と,思いつつその様子を見ていました.

そんな体力的に厳しい高齢者の方々も観る映画で,本編上映前に長々とCMを流すのは頂けませんな.ご高齢の方はトイレが近い方もおられるわけで,そんな下らない興味の無いCMを20~30分近く見せらるのは苦痛でしょう.案の定,映画の最中に,杖を付きながらトイレに行かれる方が出るわけですよ.こんな状況には,怒りを感じる程でした.

話しを戻しますが,戦争経験者の祖父や親戚がまだご存命な方は幸いです.『永遠の0』のストーリー展開と同じような話ではありますが,是非この機会に,話を聞いてみてください.

私の母方の祖父はあまり多く語らず鬼籍に入ってしまったのだけど,戦友会の編纂した書籍を読む機会がありました.そして普段の温厚な祖父からは想像できないような過酷な状況をくぐり抜け,銃創を受けつつも無事に生還し,最後に祖母の元へ帰ってきたのだと知りました.

多分,戦争中の記憶は勇ましかったりするものばかりでは無く,むしろ口にするのが憚られることが多いと思うけど,そういった物も含めて全てを受け継ぐのも,私達今を生きる者の努めだと思うんですよ.機会を逸してからでは後悔しか残りません.『あのとき聞いておけば…』と,思わないように,今聞ける方は当時のことを聞いてみてください.

***

最後に映画の原作等について.

ご存知の通り,原作は文庫本 も出ていますので,まだ読んでいないという人は,今年の年末年始に読んでみてください.かなりのボリュームではありますが,引き込まれて一気に読んでしまうことでしょう.幸いにして今年の年末年始は,暦通りでもかなり長い休みになります.まさに小説を読むのには打って付けなタイミングです.

また,コミック も出ています.小説と比べて読みやすいので,『本をじっくり読む時間が無くって…』という人にはこちらをお勧めしたい.

映画を観終わった方には,サントラも紹介したい

今,サントラをヘッドホンで聴きながら書いているのですが,映画を観た後で聴くと,映画のシーンがフラッシュバックして鳥肌が立ったりします.iTunes storeでも売られているので,映画のファンはBDが出るまでは音楽だけで乗り切りましょう.

ミリヲタの私がそっち方面の突っ込みを入れたくなくなるほど,良い映画でした.そして零戦は日本人の心に訴えかけるものがある,『特別』なものであるなぁと実感.

で,そろそろ予め購入してあった,1/72の二一型五二型 を作りはじめようかなぁと.

Img_4302

男たちの大和』が上映された時は,大和のプラモが品薄になったり,『軍艦色』の塗料が市場から姿を消す事態に至りました.この休み中にプラモを作ってみようかなぁと考えている方は,塗料も含めて急いで確保した方が良いかもしれません.

流通状況は普通は時間が解決する筈ですが,年末年始は会社も休みになりますので,一旦在庫切れになってしまった場合,在庫状況が劇的に改善することは無いと思われますので.

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