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2013年5月19日 (日)

まつもとゆきひろ氏の「世界に通用する技術者になるためには」を聴講してきた

立命館大学の教授に,『(Rubyの)まつもと ゆきひろ氏が今度来られるけど』ってメールをもらい,速攻で参加申込みをし,先週の金曜日(5/17)に行ってきた.ちなみにメールをもらった際に,一瞬『(2chの)ひろゆき』に空目したのは秘密だ(笑)

この講演は,立命館で立ち上げる『みらい塾』の記念講演という位置付け.

塾のコンセプトが『グローバルに活躍できる人材の養成』とのことなので,『世界に通用する技術者になるためには』という講演タイトルにしたのかな.生Matzは初めてなので,ワクワクしながら行った(*).

(*)道中,『「放出」(地名)って何て読むんだろう?』と会話されていた老夫婦を見かけ,『「はなてん」って読むんですよ』と教えたりしながら(^^;

Rits1

現地では,ノーパソを開いてtwitterで実況したり,facebookに何やら書いていたりする人がメチャクチャ多く,普通の堅苦しいエライ先生の講演とは雰囲気が全く違った.最近技術系のMTGに参加していないので,このような雰囲気は非常に懐かしい.

プレゼンはWin上のPowerPointではなくて,Ubuntu上のRabbitを使用して行われ,1時間程でウサギとカメが追いかけっこしながら150枚弱のスライドがテンポ良く投影された.

Rits2

講演の内容はと言うと,まとめが出来てるので,そちらを参照してみてください.

対象は主に学生なので,『若者に分かりやすく…』という配慮と,『主催者側から求められているテーマ』ということで,かなり話す内容に苦心されたのではないかなぁと想像.この手の話は,一歩間違うと説教臭くなってしまったりするのだけど,寓話を交えつつ飽きさせないように最後まで話を引っ張ったのは流石だなぁと思った.

講演内容を私の主観で簡単にまとめると,

  • 思い込みで殻を作るな.既成概念や『昔の』常識も疑え
  • 観察力/危機感が足りないと『ゆで蛙』になるよ
  • 自分のことは自分で考えて決断すべし
  • 一人で出来ることには限界がある.周りを巻き込め
  • 自分はセンターに居ろ.集団の中に埋没するな
  • 組織の中の個人では無く,個人を前面に出せる強み/武器を持て
  • オープンソースやネットワークをその手段として使え
  • テクノロジーはもっと重視されるべき
  • 日本の中でやるには限界がある.ギーク国家な米国に出るのもいいぞ

かなり一般化して書いたけれど,このような内容を,まつもと氏の経験や成功体験話で味付けをして語られたという感じかな.

個人的には,質疑応答の時の空気感が実にツボったのだけど,会場の雰囲気を文章で伝えにくくて残念.この辺りは,その場に居た者の特権ですな.

質問者:『こうしなきゃ』ってのも思い込みの場合があるんじゃないですか?

まつもと氏:別にどっちでもいいんですよ.ポジティブになれれば

みたいなやり取りとか,

質問者:僕は浮いてるってよく周りに言われるんだけど-

まつもと氏:素晴らしいですね (会場爆笑)

等のテンポの良いやり取りが特にツボったかな.

あと,このような講演は,映画と違って『リアルタイムで楽しんで終わり』にしてはいけません.講演内容を咀嚼して理解し,後から自分なりに考えてみることも重要です.そうするとスルメのように何度も味わえ,一度食べて何度も美味しいし,考えたことは自分の身になって次に繋がるしね.

そんな意味で,私なりに思ったことを数点書くとこんな感じ.

○ルールを作成する側に回るのが最強かも

『学校の勉強では100点が満点なので,いくら優秀でも100点以上は取れない.そのため,苦手科目を克服するというのが有効な戦術.例えば5科目合計500点の試験があった場合,得意科目の90点を95点に上げるより,苦手科目の45点を60点に上げる方が楽だし,トータルの点数も多くなる.しかし社会に出た後は得意な部分を伸ばすということが有効で,100点が1000点になったりということもある』という例を挙げていました.

実に含蓄のある話で納得します.その一方で,実はルールを作成する側が最強なんじゃないかなぁと個人的には思いました.

自分の今の『持ち点』を,他と差別化しつつ満点になるようにルール作りが出来たら最強ですよね.

ビジネスの話でよく言われるのは,『日本人は決められたルールの中で最良の方法を採ろうとするけれど,米国人はルールそのものを変えちゃう(から負けない)』という話.

スポーツのルールやモータースポーツのレギュレーション変更では,露骨な形でこれを見ることが出来ますよね.

冒頭の『思い込み』という部分にもかかるのですが,『このルールの中で最善の方策は…』って考えている時点で既に思い込みに支配されている可能性があるって事です.

○センターよりマネージャー/プロデューサーの方が美味しいかも

『鶏口牛後』の話も絡め,『やるならセンターになれ』って話が盛んに出ていました.私もこの話に凄く納得.

様々なプロジェクトにおいて,プロジェクトリーダーの名前は広く知れ渡っていたりするけれど,ナンバー2の名前は中の一部の人にしか知られていないということはよくあります.

もう少し一般的な話にすると,日本の会社では『□□を作った○○氏』という知られ方をすることは殆ど無く,『□□を作った○社』という形になり,個人の顔や名前が広く知られることはまずありません(大問題を起こした場合はアッサリと個人名が出てくるけど :-P).

でもその一方で,センターよりも黒幕マネージャー/プロデューサーなポジションの方が,名を捨てて実を取ることも可能なかぁなんて思う部分もあります.

『センター』という話が出ていたのでAKBに例えると,(『元』センターだけど)前田敦子より秋元康の方が全体をコントロール出来るし,実入りも大きい.センターは変わるけど,別の人が秋元康に取って代わることは無い.

ただし成功している技術系のプロジェクトって,エンジニアとしてもマネージャーとしても優秀な人がプロデューサー兼マネージャー兼センターをやっており,歌って踊って管理もし,結果も出せるから名前も売れて良いことずくめってことが多いんですけどね.

○質問のスキルって大事

最後に少しネガティブな話を書かせて頂くと,何か質問をする場合は,自分なりに考えた結果を持って質問をぶつけないとイカンのじゃないか…と,思うことが度々ありました.講演の中で まつもと氏も牽制球を放ってましたが,『どうしたら良いでしょう?』とか『どうするべきでしょう?』的な質問は,時間を無駄にしがちです.

立場が違えば答えも違うし,氏も言われていましたが,他人は無責任です.共に同じ立場にあり,問題を共有している場合は別です.しかしそうで無い場合,返って来るのは適当な回答であったり,(その場を簡単に収めるための)耳障りの良い言葉であったりすることが多く,問題解決に結び付かないことが多いです.

せめて『私はこう考えるけど,どうお考えでしょうか』のような質問が欲しかったかな.

でも,『中学生に数学を教えているのですが,「社会に出て役に立たない物を勉強する意味があるのか?」という質問にどう答えたら良いか?』という質問とその回答は面白かったし(**),思ったことを言わせるために(もしくは自分の意見を代弁させるために),敢えて『どうお考えですか?』と水を向ける場合もあるので,全てを否定するわけでは無いけど.

(**)この質問は,質問内容に関心を持たせ,ありきたりな回答だと場が納得しない&面白い回答を期待するという雰囲気作りのための前振りが素晴らしかったと思う.それも質問者の立場を長々と説明せず,サラッと必要最小限の情報を提供していたし.流石だ.

似たような話で,『反対意見を出す場合は,対案も出せ』というものもあります(ブレインストーミング時を除く).別の言い方では,『評論家になるな』ってのもあるかな.

それと忙しい人に/時間制限がある場合に,議論のための議論をふっかけちゃダメ.余裕があるときは禅問答的な物も面白いと思うけど,質問のために大勢列に並んでいたのに,時間が無いからと帰された(質問出来なかった)人が沢山出ていた状況は残念でした.

***

と,いうことで,久しぶりに楽しい一時でした.

東京と比べ,関西ではこの手のイベントの規模が小さく,数も少ないのですが,その少ない機会を活かしてもっと積極的に参加したい所です.OSSの技術系のイベントや,ライフハック/文具系のイベント(特に倉下氏関係のイベントに興味アリ (^^ )には行きたいなぁ.

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コメント

ネガティブになるなってことだね

投稿: | 2013年5月21日 (火) 12時18分

ポジティブでも,思い込みや勘違いによる「大丈夫,大丈夫」というのはマズイので(ex. ゆでガエル),とにかく正確に状況を把握するのが重要というメッセージもあったかなと.

投稿: tadachi | 2013年5月21日 (火) 18時36分

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