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2012年4月23日 (月)

「アゲイン!!」が面白い

以前,大東京トイボックス (祝!マンガ大賞二位!!)についてポストした際に,連載開始したばかりのモテキにもちらっと触れました.

マンガのモテキは,その後森山未來主演でドラマ映画になったりもして大ブレイク.特に映画は最高でした.私は劇場で観てBDも買った派ですが,あれほど観ると元気になれる邦画って最近無かったかも.特に音楽が最高にツボにはまりました.モテキ的音楽のススメは要チェックですぞ.

しかし原作漫画の方はと言うと,最後の方で腰砕けのグダグダ展開になっていて,惰性で続いて『あれっ?』という感じで終了.あ,あくまで私の主観というか感想ですですよ. そんな終わり方だったので,最初のグイグイ引き込まれる神展開に反して,今ひとつ私の中では評価が低いかも.

そして久保ミツロウ女史による最新作がこのアゲイン!!です.

モテキの終わり方の後味の悪さを引っ張っていたので,少々購入を躊躇したのですが…いや~面白いわ.モテキの最初の方のパワフルさがアゲイン!!という感じ.

何が『アゲイン!!』なのかと言うと,高校の卒業式の日に再び高校の3年間をやり直すことになる主人公の境遇に由来します.もう話が『え?』ですよね.そうです.『ラブコメ(?)+SF』です.

ストーリーをざっと要約すると,友人ゼロ,周りからも先生からも変な目で見られるダメダメ主人公が,卒業式の日に意図せぬ事故で女生徒と絡まりあいながら階段を転落.気が付くと2人とも3年前の入学式の日に戻っていたというシチュエーション.

そしてそこから主人公が何をしたかというと,自分が在学中に解散になった応援団を何とか復活させようと奔走.その応援団長は可愛らしいけど男勝りの女子高生.押忍!.初期のモテキのときのようなグイグイ引き込まれる展開で応援団復活.そして3巻で勢いが失速.あぁ,モテキの悪夢が再び…と,思いきや,4巻で予想の斜め上を行く急展開で大復活,いや,一回り強力になってリボーン.これは最後まで期待出来そうです.

『最近どこかで読んだような話か,萌え系のマンガばかりだなぁ』とか,『最近面白いマンガがないなぁ』とお嘆きの方は,騙されたと思って一度読んでみてください.きっと後悔しませんから.

なお,読む際の注意点としては,3巻で止まってはいけません.4巻まで読み進めて下さい.(3巻で見切りを付ける読者が結構居そう.もったいないなぁ)

* * *

と,いうことで,『アゲイン!!』をネタに少しのたくり.

階段を女性と絡まりあいながら転げ落ち…という話は,転校生.タイムリープ物であれば,時をかける少女がすぐに思い浮かぶと思います(リンクは共に新しい方に張りました :-)).

ある意味,学園物のSF的展開は既にやりつくされている感があり,少々捻ったくらいでは,『あ,この話どこかで…』と,ほぼ確実に思われるでしょう.多少足掻こうとも,先人達の作り上げたものをアレンジしたり組み合わせたり,細部をいじくる余地しか残っていないのかな…なんて気がしないでもありません.たまに現れる天才が,『あっ』と息を呑むようなオリジナルティ溢れる設定を作り出すこともあるけど.

このような設定の話で多くの人が予想する話の展開は,『失われた高校の3年間をやり直し,ハッピーになる』なんて展開.まぁ確かに『これから何が起こるか』を知っていれば,色々と神の視点で行動できるわけです.そしてそんな話を読めば,読者は自分を主人公に投影し,全能感に満たされた読了感に浸ることが出来るかもしれない.でもそれはかなり幼稚なことだし,こんな話は薄っぺらいよね.

このような展開で面白い話を作れる(読者受けする)のは,おそらくこの設定を考えた最初の1人目だけ.オリジナルにインスパイアされた2人目以降は,かなりのアレンジが求められることでしょう.

例えば同じ境遇のライバルを登場させたり,足枷的な行動制限を加える等のアレンジを加えるでしょう.しかし,これらも予想の範囲内.パターン化されています.所詮ストーリーと言う名のレールを少し蛇行させて走らせる程度のアレンジでしか無い感じです.

じゃあ『アゲイン!!』はどうよ という話を書くと,確かに設定は組み合わせに近い部分があります.しかし,展開の方向性がこれら作品と全く異なるし,各所に散りばめられている小ネタも『おお,さすが女性視点だわ』と唸らされることが多い.読者の予想をいかに痛快に裏切りつつ,破綻なくストーリーを紡いでいくかがメインテーマじゃな いかと錯覚するくらい.

そもそも『アゲイン!!』は勝った負けたのバトル物でないし,純粋なラブコメとも違います.単純なストーリーを小手先のテクで苦しい演出をし,無理やり話をゴージャスに見せる必要は無いんです.そもそも話がどこに向かっているかすら分からないし.

喩えるならば,夜中に乗る先の見えないジェットコースターのような感じで,現在進行形の一瞬一瞬を楽しむ感じ.いや,乗ったのがジェットコースターかすら分からないし,気が付くとコーヒーカップでヌルくグルグル廻っているようなヌルい感覚に陥るときもある.この緩急もなかなか.3巻は『緩』が長すぎたけど.

あと,モテキでもそうだったけど,この作者にヤラレル点はもう一つあります.『普通そのネタはもっと引っ張るだろ~』的な話を,実にあっさりと終わらせて肩透かしを食らわされること.罠の張り方と回収のスピーディーさが実に見事.

少しネタバレすると,主人公に片思いしている女子が居るんだけど,読んでいて実に『あーこれは完全に片思いフラグが立ってるし,主人公も含めて周りの無神経な連中はぜってー気付いて無い.これは相当引っ張るね~』とか思わせておいて,その数話後には,『片思いがバレバレな○○が~』と,しれっと全員の前で暴露されたりしてる.それも全然ストーリー展開に影響ない感じで.MOTTAINAI.

あだち充のマンガなら,ライバルが出現して三角関係になったりして,心情を吐露したくても出来ない状況で悶々とさせ,様々なすれ違いや切ない気持ちになるエピソードを積み上げて行き,読んでいて『もー我慢できん!!作者はどこまでSやねん!!』って所まで引っ張った後に一気に炸裂させ,最後の最後に読者をスッキリさせるのに.

こんな具合に,肩透かし食らわされたり伏線だと思ったのが実はトラップだったり,あんたは銀座のママ(私はよく知らんけど(笑))かと言わんばかりに男性読者が抱く期待を熟知した上で焦らしたりあっさり満たしたりetc,ちょっと先の展開が読めないのが逆に心地良いです.

そんなわけで,既に耕され尽くして枯れ果てた畑のように見えても,実はまだ芳醇な大地が存在するのだなぁ…というのを,このマンガを読んで感じました.設定の奇抜さではなく,そして展開という名の寝技でゴリゴリと楽しませてもらってます.

で,ふとこのマンガのように『アゲイン出来るとしたらしたい?』って聞かれたら,どうするかなぁなんて考えてみた.

私は…アゲインしたくないなぁ.

細かな話であれば,『アレをこうしていれば…』なんてことは沢山あるけれど,そのときそのときで最良と信じる道を選択し,辛いことや楽しいことを積み上げた結果,今の自分があるわけですよ.同じ道を戻ってもう一度歩き直すくらいであれば,完全に未踏の道を歩きたい.ターレンに『青年,昔と変わらないね.相変わらず貧乏性やね』って言われそうだけど.

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