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2011年6月13日 (月)

ウメサオタダオ展に行ってきた(2/2)

と,いうことで,『ウメサオタダオ展に行ってきた(1/2)』の続きです.

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今回は,『知的生産の技術』を読んだことがある方がビビッと来る展示物を中心にまとめてみます.

フィールド調査のコーナーの続き.

東南アジアの調査の所に書かれていた言葉.実に含蓄があるように思うのは私だけでしょうか.

先生の仰っていること,まるでノマドそのものです.都会であれば移動手段もありますし,クラウドサービスとネットワークがあれば,ノートPCを持ち歩くだけで,移動式研究室の出来上がり.しかし,インフラすら整っていない所では,ノマドのためには自動車を環境にする必要があったということでしょう.『ここでは調査のみ.研究は研究室に帰ってからでないと出来ない』と考えていない点,流石ですね.

ちょっと余談ですが,キャンピングカーを購入し,生活から仕事まで全て完結できる環境を作りたいと言っている同僚がおります.その気持,分かるな~.

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そしてこれは『ローマ字タイプライター』.先生はローマ字使用の推進者でありまして,漢字かな混じり文ではなく,ローマ字で全て筆記すするスタイルの導入を訴えておリました.個人的には,この点に関しては賛同できませんです(ローマ字入力という意味であれば賛同).

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そしてこれが『ローマ字日本語タイピング原稿』(1955).パット見,英語の論文に見えますね.

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「ローマ字研究読本」1948年,京都大学ローマ字会のポスター作成資料1946年.凄い物が展示されているなぁ.

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学位論文(「動物の社会干渉についての実験的ならびに理論的研究」1961年」)と,手回し計算機も展示されていました.先生は理学博士なのだけど,退官の際に,『文学博士も取りたい』と語っていました.その後実際に審査を依頼しようとされたかは知らないのですが,もし,どこかの教授が(事前の根回し無く)論文の審査を依頼されたとしたら,オーサーを見て,腰を抜かしただろうなぁ.

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先生の言葉は,実に深い所に語りかけて来ます.そして更に深い所にまで響きます.

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実に先見の明のある先生でした.

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『コンニャク情報論』は初めて知ったのですが,一瞥して次のコーナーに行くつもりが,釘付けになってしまいました.深い.実に深いですよ.

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先生の机上に置かれていた愛用品の数々.以下の写真は,対面側から見た物たち.ここにも当然のように,京大カードがストックされています.

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説明.『原稿は自宅で執筆し,失明後は職場で口述筆記を行った.この机では,もっぱら書類や書籍に署名した.』とのこと.そう言えば,失明後の方が,著作物の刊行ペースが強烈に上がったなんて話が退官記念講演のときに出ていましたが,『飲酒の量が減ったからですか?』って突っ込まれていましたね(笑)

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『Saiensu』(ローマ字がき科学雑誌1974年)とカタかなタイプライター1973年.ブラザー製.これは世界に1台だけ存在する電動縦書きのカナタイプライター.これが商品化されることは遂になく,その後ワープロの時代が幕を開けることになった.

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左が『知的生産の技術』の原稿.右は京大カードが入ったカードラック.

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話が前後しますが,このような情報カードを電子的に扱うシステムが2Fで動いていました.

プロジェクタで投影されている物は,スキャンされた情報カードなのですが…

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カードを置いてスキャンし…

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タッチパネルで操作して,カードを並べたり移動したり出来るようになっています.アナログとデジタルの良い所取りを志向しています.OCRをかけて電子化され,内容が検索可能になっていたら最強かも.

[2011/06/14追記]このシステムは,『はっけんデジキャビ』(リンク先はyoutube)という物だそうです.iPhone用アプリ(『デジキャビ』)も出ていました…って言いますか,知ってる方々が開発されていました…(汗)

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そして1Fには売店があります.記念のクリアファイルの他,主に梅棹先生の関連書籍が売られています.そして目玉は何と言ってもこの書籍.詳しくは後述します.

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そしてレジの横には….ここには測量野帳の方が合うと思うんだけどな….

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あと,垂れ幕等のメッセージには,感銘を受けたり,『ほぉ』と思わされる物が多いです.もし会場に行ったら,上にも目を向けてみてください.

以下,垂れ幕等の写真を並べようとも思いましたが,結構な量になるので文字化しておきますと,例えば次のような感じ.

  • カード法は,歴史を現在化する技術であり,時間を物質化する方法である.
  • 資料全部を項目別にばらして,カードにしてしまうという方法.
  • 「発見」というものは,たいていまったく突然にやってくるものである.
  • 日々成長し,新陳代謝する住所録.
  • スケッチはその場で修正もできるし,細部の構造の拡大図をつくることもできる.いっそう便利なのは,画面の余白に書き込みをすることができる点である.
  • カードの余白は,そのひとについてのおぼえがきに利用する.どのカードでも,かいたらかならず日づけをいれる.
  • 自分自身の経験の記録を,着実につくってゆこうというのは,資料の蓄積ということのもつ効果を信じているからにほかならない.
  • 論理的にすじがとおりとおもわれる順序に,その一群の紙切れをならべてみる.そして,その端をかさねて,それをホッチキスでとめる.これで,ひとつの思想が定着したのである.
  • 操作できるというところが,カードの特徴なのである・・・カードの操作のなかで,いちばん重要なことは,組みかえ操作である.
  • なるたけ耳できいてわかることばをつかうようになる.その結果,わたしの文章は,文体からして,すっかりかわってしまうことになった.
  • かれ(ダ=ヴィンチ)の精神の偉大さと,かれがその手帳になんでもかきこむことのあいだには,たしかに関係があると,わたしは理解したのである.

2Fの奥の部屋で,国立民族学博物館館長退官記念講演のときに撮影されたビデオが,定期的に上映されています.約1時間と長いのですが,先生のウイットに富んだ性格や,実行力や行動力,そしてバランス感覚や豪快な所等,様々な魅力を凝縮した物になっています.もしも時間が合えば,観ることをお勧めします.

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それと売店で販売されていた『梅棹忠夫 知的先覚者の軌跡』(国立民族学博物館)という書籍ですが,帰宅後にパラパラと読み始めたところ,実に素晴らしい本でした.

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民俗学研究の軌跡に関する部分だけでなく,所謂『知的生産の技術』に関する部分にも,大きく頁が割かれています.数頁写真をアップすると,次のような感じ.

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ワクワクするでしょ?

この本は,ISBNが振られており(ISBN978-4-915606-62-5),1800円で売られていました.しかし,今のところAmazon等では扱っていないみたいです.民博ミュージアムショップでは通販の扱いもあるようなので,現地を訪れることが出来ない方は利用してみてください(現在リンク先のページでは,品切れと書かれています.しかし,リアル店舗には大量に在庫がありましたので,現地に行けば,確実に入手出来ると思います).

 

それと書籍の方でちらっと触れられていた,『カスタムオーダーの原稿用紙』.リアル店舗で書籍を購入したところ,1枚頂けました.

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『UMESAO.T』の印刷入り.勿体無くて使えません(笑)

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と,言う事で,開催日は6/14日までのため,残るは月曜と火曜の2日間です.

時間がある方は今日にでも.学生さんはもちろんのこと,社会人は有給取ってでも行った方が良いです.話だけ聞くのと直接本物を見るのはやっぱ違います.

ほら,梅棹先生もよく言ってたでしょ.『その目で見たんか?』って.

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