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2011年2月13日 (日)

映画:『太平洋の奇跡,フォックスと呼ばれた男』を観た

原作本がこの本 だと聞き,居ても立っても居られなくなり,封切り初日に観に行った.天候がいきなり吹雪のようになっており,積雪が凄いことになっていたけど,万難を排して観に行った.

映画館はそこそこの人の入り.『ソーシャルネットワーク』の初日よりも結構入っていた.ただ,年齢層はかなり高め.もしかしたら私が一番若かったかも.50代,60代の夫婦が結構多め.

以下,少しネタバレに関する部分もあるので,映画を観る予定の方は,観た後で読んで下さい.

私はこの原作本にはとても思い入れがあります.

まだガキんちょの頃,平松君(元気にしている?)に『面白い本があるよ!絶対読んでみて!』と,勧められて読んだ本.もぉ何回読み直したか分からない程読み直しました.何度かの引っ越しの後に紛失してしまったのだど,買い直そうとしたら絶版になっていた(こんなに思い入れがある戦記物は,他にはこの本 くらい).そして今回映画化に際し,文庫本として復刻された.実にありがたいことである.映画を観て興味を持った人だけでは無く,映画を見に行く予定の無い人にも是非読んで欲しい.

日本の戦記物と言うと,大抵は派手で華々しい物か,陰鬱な反戦物か,後生の者が取材を元に構成した物の何れかだ.特にミッドウェー以降は筆舌に尽くしがたい程の負け戦の連続であるから仕方ないと思うけど,善戦や美談はある物の,最後は玉砕または無条件降伏でスパンと終わるという物ばかりだった.

そういう意味では,本作で採り上げられているサイパンのタッポーチョー山の戦いは,実に素晴らしい.

民間人を守りつつ,雲霞のごとく押し寄せる米軍の攻撃をヒラリヒラリと交わしつつも適所で痛打を与え,そして最後まで戦い抜き,終戦後まで生き抜くという実話だ.

補給が無く,援軍の望みも無く,遙かに強力な敵に包囲されている状況というのは,リーダーにとって絶望以外の何物でも無いと思う.しかし大場大尉は,このような困難な環境下,部下たちを統率し,最後まで指揮官として使命を全うしたのである.氏の人柄に関しては原作本を読むとよく分かるのだけど,実に誠実で控えめな感じ.このような人のどこに,不屈な闘志が秘められていたのだろうとか思ってしまう.

大場隊最後の日に関しては,こちらのページで公開されています.規律がよく守られ,また,士気が維持されていると共に,統率が行き届いていたことが分かります.

そして映画の方はと言うと,

  • 尺こそ短かったものの,戦闘シーンは実に迫力があった.邦画っぽい安っぽさがあまり感じられなかった
  • 竹野内豊が大場大尉を好演していた.キャラ的に私の持つイメージに近かった.普通に観たら,『線が細すぎ.貫禄やオーラが足りない』と思われるかもしれないけど.
  • 全体を通して展開が破綻せず,邦画にありがちな『突っ込み所満載のご都合主義』があまり無かった
  • 今回も唐沢寿明の演技が神懸かり的.ああいった役は彼にしか出来ないなぁ.
  • 『陸軍最悪 海軍万歳』的な偏見が無く,実にニュートラルに描かれていると思う

といった感じ.観て損は無いと思います.

ただ,尺の関係もあるし,映画の中では全てが伝えられていない所があるので,そこは原作本を読んで補完する必要があるかと.特に映画の最後の終わり方に関しては,私的には少し不満.直前にもっとギリギリとした緊張感が高まり,最後にドカーンとカタルシスが得られる感じだともっと良かったのだけど.

その一方で,ミリヲタとして気になったこともある(細かくてすまない(笑)).

帝国陸軍の歩兵と言えば,擲弾筒が切っても切り離せない兵器.擲弾筒で周辺を制圧/機銃座を破壊して突撃という話をよく読むのだけど,映画の中で擲弾筒がきちんと描かれていたのはウインドトーカーズくらい(この映画,ストーリーは薄いのだけど,小道具が異様に細かく描かれていてビビる.例えば初期はトンプソンがドラム型弾倉だったのが,後に箱形弾倉に切り替わっていたり等,知っている人が観るとニヤリとする部分がある).この映画でも全然出て来なかった.

それと突撃前の匍匐前進の姿勢.軍刀を抱えた下士官が,腰を上げた高い姿勢で匍匐前進していた.あれでは精神注力棒で指導されるんではあるまいか.でも,大勢の日本兵が突撃発起点まで粛々と匍匐前進するシーンには,観ていて鳥肌が立った.一般の人の場合,匍匐前進と言えば陸自で言う所の第四匍匐をイメージするだろうに,第三匍匐と第五匍匐のような姿勢で前進していた所には唸らされた.

と,いった感じで,私の場合は原作に対する思い入れ&ミリヲタ視点のために,少し辛口の目線で観てしまいます.しかし,前知識無しで観に行く方にとっては,とても楽しめる映画であると思います.

映画に興味をもたれた方は,公式ページでトレーラーを観てください.雰囲気は伝わると思います.そして『良さそうかな』と思った方は,是非映画館に足をお運び下さい.

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コメント

ミリヲタかいっ。
わたしは、戦争物はほとんど見ないー。
竹野内豊さんも、好きぢゃないのー。
なんだか、生気のない映画になりそうだねぇとCM見ていて思ったけれど、唐沢さんがでているんだったら...いい脚本なのかも、と、ちょっと気になったり。
わたしのハードディスクには、10時間以上も戦争ドラマ「バンドオブブラザーズ}が...。
戦争物は、よっぽど元気がないと見れずに。残ってるの。
なんで見る前に、こんなに気が重くなるんでしょうねえ。
「ザ・パシフィック」も、きつかった...。

投稿: ヒメタロー | 2011年2月14日 (月) 18時10分

ハンドブオブブラザーズは良いドラマでしたねー.見ていてワクワク感があり,楽しかった.それに引き替えザ・パシフィックは…ただ,ただ,陰鬱な気分になるだけでしたね…

邦画では,一部を除いて「『テーマ』を持たないといけない」のような変な拘りが感じます.戦争物の場合は「反戦」とか「命の尊さ」とか「戦争の悲惨さ」をメインに据えることが多いので,これがエンターテイメントとしてのつまらなさに拍車をかけるんでしょうね…

戦争物で個人的にお勧めなのは,『空軍大戦略』とか『君を忘れない』でしょうか.後者は邦画なのですが,明るくて好きです.何となくキムタクカラーが出てるのが気になると言えば気になりますが…

投稿: tadachi | 2011年2月15日 (火) 20時48分

あ、戦争物で好きな映画...あ、最近ではニノがでてた『硫黄島からの手紙』」 ですかね。
戦争中でも、もしかしたらこんな男の子がいたのかもしれないなぁと思うと、ほっとしました。
戦争は、みんな宗教にでもそまったみたいに、不満も不平も言わないで、つらい事をぐっと我慢しているイメージだったのに、こんな事おかしいとか、こそこそにげる事を考えたり、なまけようとしたり、できるかどうかは別にして、まかり通らなくても、自分の気持ちを中心に置いて生きている少年や青年がいたのかもと思えた映画でした。
「ザ・パシフィック」は、最後の方で、赤ちゃんやお母さんが殺されてしまったシーンだけが目に焼きついて離れなくて、トラウマになりそうでした。
じゃ、なぜ見るのかというと、戦争を知らないから、映画だけでも知っておかねばという責任感からなのかも。
まともな戦争物ではないけど、戦争が絡んでいる映画では、「パンズ・ラビリンス」がものすごくよかったー。
わたしの今まで見た映画の中で、1.2を争うくらいの映画だったー。
青年Aは、みたみた?

投稿: ヒメタロー | 2011年2月17日 (木) 00時07分

ふむふむ.本当は,実体験者に色々とお話を聞く機会があれば良いのでしょうけどね….坂井三郎の話とかを読んでいると,結構やんちゃなことをしている人も多いのだなぁ&当時の人達も,自分達とあまり変わらないのだなぁとホッとします.

「パンズ・ラビリンス」いいですねー.あらすじを聞き,「これは観なければ!」と,ワクワクした覚えがあるのですが,DVDが積読ならぬ積観の山の中 orz

捜索隊を出すようにします…

投稿: tadachi | 2011年2月18日 (金) 10時09分

「パンズ・ラビリンス」は、今まで見た映画の中で一番怖い物でした。
この映画は、残酷で、美しくて、子供の頃の「恐怖」と戦っている自分と向き合うような体験ができました。
それから、自分が守っている大切な部分も改めて確認できました。
人間は、年を取ると「本当」の事を上手に隠してしまうから、なんとなく自分の中の閉じてしまった箱をほんのちょっと開けて「きゅぅ」と心がなくのを確認してから、また隠してしまったような気分というか。
「不思議の国のアリス」を見た後の、居心地の悪さにも似てたかな。
ただ、感想はその人の体験や経験にもよるかもしれませんが、見終わった後、しばらく心が「きゅぅきゅぅ」となくので、おさめるのに苦労しましたよ。
男性がこれを作った事で、ファンタジーになったのかもしれません。
つくづく、女性が作らなくてよかったと思う映画でした。
絶対、みてみて。

投稿: ヒメタロー | 2011年2月18日 (金) 11時20分

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