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2010年2月22日 (月)

Lenovo S9eと液晶モニタの話

今回は,昨日のエントリーで少し触れた液晶の話についてまとめました.なお,S9eでの調整の話だけだとつまらないので,もう少し一般的な話も含めて書くことにします.


○液晶表示の調整法

ではまずはS9eでの液晶表示の調整について.

同じ機種であっても,採用されている液晶パネルは,時期やロットによって変更になっている場合があります.液晶パネルによって表示の癖がかなり異なるのですが,その差を吸収する設定が行われて出荷されているわけではありません.そのため,『同じ機種の筈なのに画面の見栄えが全然違う』ということもあり得ます.

このようなときには,表示調整用のパラメータを変更しましょう.S9eの場合,以下のように調整することにより,ある程度好みの表示に調整が可能です.なお,使用しているチップやドライバによって設定画面が異なる場合もありますが,設定項目は大抵同じものが用意されています.

Scr1

まずは画面の『設定』タブで,『詳細設定』をクリックします.

Scr2

『プラグアンドプレイモニタと…』というダイアログが表示されるので,『グラフィック プロパティ』をクリックします.

Scr3

色補正をクリックし,このような画面にします.
ガンマ補正,明るさ,コントラストのパラメータを補正することが出来ます.

このLGのパネルでは,初期状態ではやや白っぽい表示になっているので,明るさをマイナス方向に調整しました.『全体的に青味』のような場合は,『色』を調整したい色に設定し,右側のサンプル表示を見ながらガンマ補正値等を調整してみてください.

なお,外部モニタ液晶での表示を設定する場合,モニタ側の色温度やモード等の設定も見直した方が良いでしょう.

Scr4

オーバーレイでの表示を変更する場合は,『ビデオ オーバーレイ』ボタンをクリックし,左の画面で調整を行います.

液晶パネルが同じであれば,他の人が行った設定値(補正値)が参考になります.しかし,表示色の好みは様々です.ビビットな表示が好みの人と,落ち着いた色合いが好きな人,はたまた色温度が高い方が好きな人etc,各人がベストと思う設定値が一致することはまず無いでしょう.逆に言うと,設定をある程度詰め,自分で『これがベストかな』と思った値が自分にとってのベストです.

(カチッと合わせたいという話であれば,このようなベタな方法を採らず,カラーマネージメントをきちんと行うようにしてください.また,モニタに関しても,このようなモニタを使わないと….某スタジオで, 画像データの確認作業の際に,FlexScanの上位機種を使わせて頂いたことがあるのですが,マジでいいですよ.ピボットさせて3台マルチモニタという豪華な構成でした.ただ,動画等を扱うと少々持て余すかもしれないのと,コストを考えるとパーソナルユースでは厳しいなぁということで,我が家では導入には至っていません)


○液晶パネルを調べる

同じ機種でも,使用されている液晶パネルが異なる場合があるということは前述しましたが,どのようなパネルが使用されているかを調べる方法について解説することにします.

まずWindowsXPでの一番簡単な方法ですが,デバイスマネージャから確認する方法があります.デバイスマネージャを開き,モニタの下のプラグアンドプレイモニタを開いてください.ここで詳細タブを開くと,下図のようにデバイスインスタンスIDを確認出来ます.

Scr5

『DISPLAY\LGD017F\4&28B....』のように文字列が並んでいますが,ここで重要なのは,『LGD017』の部分です.これはLG製のパネルを表す文字列になります.

さらに詳細な情報を調べる際には,Monitor Asset Managerを使うと便利です.下図のように,詳細な情報や設定値等を得ることが出来ます.

Scr6

このソフトを用いることにより,S9eで確認出来たデータは以下の通り.

Monitor
  Manufacturer............. LGD
  Plug and Play ID......... LGD017F
  Data string.............. LG Display LP089WS1-TLA2
  Serial number............ n/a
  Manufacture date......... 2008, ISO week 0
  -------------------------
  EDID revision............ 1.3
  Input signal type........ Digital
  Color bit depth.......... Undefined
  Display type............. RGB color
  Screen size.............. 190 x 110 mm (8.6 in)
  Power management......... Not supported
  Extension blocs.......... None
  -------------------------
  DDC/CI................... Not supported

Color characteristics
  Default color space...... Non-sRGB
  Display gamma............ 2.20
  Red chromaticity......... Rx 0.581 - Ry 0.345
  Green chromaticity....... Gx 0.342 - Gy 0.567
  Blue chromaticity........ Bx 0.162 - By 0.126
  White point (default).... Wx 0.313 - Wy 0.329
  Additional descriptors... None

Timing characteristics
  Range limits............. Not available
  GTF standard............. Not supported
  Additional descriptors... None
  Preferred timing......... Yes
  Native/preferred timing.. 1024x600p at 60Hz
    Modeline............... "1024x600" 50.400 1024 1048 1184 1344 600 600 619 625 -hsync -vsync

Standard timings supported

Report information
  Date generated........... 2010/02/21
  Software revision........ 2.44.0.825
  Operating system......... 5.1.2600.2.Service Pack 3

Raw data
  00,FF,FF,FF,FF,FF,FF,00,30,E4,7F,01,00,00,00,00,00,12,01,03,80,13,0B,78,0A,D9,95,94,58,57,91,29,
  20,50,54,00,00,00,01,01,01,01,01,01,01,01,01,01,01,01,01,01,01,01,B0,13,00,40,41,58,19,20,18,88,
  03,01,C3,71,10,00,00,18,00,00,00,00,00,00,00,00,00,00,00,00,00,00,00,00,00,00,00,00,00,FE,00,4C,
  47,20,44,69,73,70,6C,61,79,0A,20,20,00,00,00,FE,00,4C,50,30,38,39,57,53,31,2D,54,4C,41,32,00,01

細かな説明は割愛しますが,とりあえず必要な情報はこれで一通り得ることが出来ます.


○性能/表示品質を確認する

次に実際の性能/表示品質のチェックですが,『液晶応答速度&低解像度チェック』が便利でしょう.以下,実際の画面(クリックで拡大表示)と共に,チェックポイントを簡単に説明して行きます.

ただし,往々にして,『真実は知らない方が幸せである』こともあります.実行する際には心して行うようにして下さい.

Ck1_2

メイン画面からテスト項目を選択し,実行します.テスト時の解像度等や色数によっても結果は変わります.常用する設定を選択すると良いでしょう.

Ck2_2

上図は『動きのなめらかさ』を実行した画面.島津の家紋が左右に動き,その際の色の濃さから応答速度を判断・計測します.液晶は応答速度が遅いため,このような動く物を表示するのが苦手です.残像感が出る場合があります.構造が異なるので比較するのは酷ですが,この点はブラウン管を使用したモニタには敵いません.

応答速度を向上させるための技術としてオーバードライブ(定格以上の電圧をかけ,目的の状態に素早く遷移させる)があり,また,残像感を低減する技術として,倍速液晶技術があります.なお,パネルのメーカーや製品によって大きな違いがあるものの,一般に応答速度はTN方式が最も速く,例えば先に挙げたiiyamaのE2209HDSでは,白→黒→白が5mなのに対し,IPS方式のFlexScan SX2462Wは13msといった感じにになっています.

あと,液晶テレビの機種によっては,遅延がかなり発生する場合もあるようです.ゲームをする場合はかなり厳しいかも.

Ck3_2

上図は『低解像度の拡大品質とコントラスト能力』を実行した画面です.スケーリング時の品質や変なフィルタが入っていないか,階調表現やコントラスト,アスペクト比に問題がないかを確認出来ます.詳しくは後述しますが,液晶テレビに出力した場合,文字が滲んで表示される製品があるので注意が必要です.

個人的な意見を書かせて頂くと,液晶は DbD(Dot by Dot:1pixcelをモニタの1画素に対応させる)で表示させるのが基本です.液晶の持つ解像度と異なる解像度で表示させる場合,モード設定でDbD表示出来ないかを確認してみましょう.最低限,アスペクト比固定だけは忘れずに…

Ck4_2


最後は『明るさ表現』を実行した画面です.円が見えるか見えないかをチェックし,『色の差』がどの程度まで変化したら異なる色であると判断できるかをテストします.S9eのパネルでは37くらいまで上げないと一部見えにくい感じでしたが,E2209HDSは10もあれば充分でした.

上記の画像をはS9eで試していたときの物なのですが,クリックして拡大表示しても4つの円が見えない場合,あなたの液晶モニタはかなり調整が必要かもしれません…

* * *

この他にも,カタログに液晶の性能についての数値が並んでいると思うので,それを調べてみても良いでしょう.『色』に関してはかなり説明が難しいのですが,コントラスト比や視野角の数値はかなり参考になると思います.

この他,カタログに明記されていることは少ないのですが,どのような方式の液晶かも調べた方が良いかもしれません.ノートPCのパネルや廉価な液晶モニタの場合,消費電力やコストの関係で,殆どTN方式です.一昔前はTN形式は安っぽい感じでしたが,その後の技術の進歩もあり,普通に使う分には問題ない品質になっています.まぁ一部大ハズレのパネルも無いことはないですが….あと,色をきちんと表示させる必要がある場合,VAかIPS方式のモニタにするべきだという話は前述の通りです.

この他,視野角がかなり重要なファクターである液晶テレビの場合,VA方式やIPS方式が使用されています.


○外付けモニタの話とまとめ

大半のネットブックでは,外部モニタをD-SUB端子で接続する必要があります.ご存知の通り,D-SUBはアナログでの接続になります.つまり,表示データはD/A変換し,ケーブル上をアナログ信号として伝送し,モニタ側でA/Dして内部回路に取り込んで…ということになります.

アナログで信号を伝送した場合,どうしても信号波形が鈍ってしまう他,ノイズによる干渉が発生しやすくなります.また,DACやADCの性能も影響してきます.そのため,デジタル伝送と比較し,マイナス要因をいくつも抱え込むことになります.

解像度があまり高くなければそれ程気にならないのですが,例えばD-SUBでFullHD(1920x1080)モニタを接続した場合など,エッジや発色が滑らか(悪く言うとボヤッとした感じ)になっているのが分かると思います.もちろんスケーリングが入り込む余地がないように,DbD条件行った場合でもです.周波数が上がるほど,このような影響を強く受けます.

D-SUB接続の状態でしか見たことが無い場合,『精細で綺麗だな』と思うかもしれません.もし試したことが無い場合,同じ設定のままでHDMI/DVI-D接続に切り替えて比較してみて下さい.驚くことになると思います.一般家電でのD端子接続でも同様のことは発生していますので,心当たりのある方は,HDMI端子の利用を検討すると良いでしょう.

と,いうわけで,S9eにSXGA(1280x1024)以上の外部モニタを接続し,日常的に利用するのはあまりお勧めではありません.しかし,動画を再生するような,あまり細かな情報が求められないような用途の場合は,全然問題になりませんので逆にバンバンやってみて下さい.大画面での動画再生は迫力がありますし.

最後に,液晶テレビをPC用モニタとして常用する場合の問題点について.

殆どの話は,昨日もリンクしたこちらで出尽くしている感があります.リンク先の,『■液晶TVは基本的にPCモニタの完全な置き換わりとなるものではありません。』という話に集約されているように思います.

テレビとモニタでは画質のチューニング方向が異なりますし,回路の設計も違います.テレビはテレビ放送を如何に綺麗に観ることが出来るかが求められているのに対し,PC用モニタは,如何に忠実にデータを表示するかが求められています.PCでも映像を観る機会が増加してきたため,境界があやふやになってきた感じがしないでも無いですが.

一番分かりやすい例は,彩度やコントラストの問題でしょう.テレビ(/動画)を観る場合,一般に色鮮やかでハイコントラストの映像が綺麗に感じられ易いのですが,PCでのテキスト打ち込み等をする際には,同じ設定では目が疲れてしまいます.もちろんこれは液晶テレビ側で設定することにより,改善することが可能です(調整しきれない機種もあるかも).しかし,滲み問題が発生する機種を使っている場合,設定では如何ともし難い.動画を再生しているときは良いけれど,テキストや画像データの編集作業で発生すると辛いものがあるでしょう.発生する機種として,VIERA, AQUOS, REGZA, Woooの具体的な機種名が挙がっていますので,気になる方は調べてみて下さい.テストパターンを表示し,自分で確認することも出来ます.なお,この『滲み』はアナログ入力やスケーリングのために発生する問題ではなく,HDMI接続で発生しています.

でも一番の問題は,液晶そのものの問題ではなく,作業時の姿勢かもしれません.

Microsoft様のありがたいページ(こんなページ,あったんですね)に,PCを使用した作業の理想的な姿勢が図入りで説明されています.大画面液晶テレビを,このような理想的な姿勢で使うのはかなり困難です.目や首,肩等にかなり負担がかかることになりそうです.

私も,業務で使用していた大画面モニタ(テレビではなく,PC用です :-) )の高さが少し低かっただけで,1ヶ月くらいで慢性的な眼精疲労と肩こり,首の痛みに悩まされました.モニタスタンドを購入し,数cm底上げするだけでスッキリ解決したのは驚きでした….

* * *

最後は少々脱線気味になりましたが,液晶モニタ表示の調整や,ノートPCに液晶モニタを接続し,デスクトップPC的に使う際の勘所に関してはこんな感じです.

液晶モニタに関する,より深い知識を得たいと思われる方のために,とても勉強になるページへのリンクを示して終わりにします.なお,技術の進歩は速いので,これらを熟読した後に,最新の情報をチェック/ウォッチした方が良いでしょう.

参考リンク:

本当は,人間の知覚の話も絡めてのたくりたかったのだけど,それはまた今度の機会に…

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