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2009年12月30日 (水)

DELL mini9その3 -Atomマシンで h.264 1080p 動画を再生

と,いうことで,このエントリーの続き.Atomを搭載したDELL mini9でFull Spec HD(1080p)のH.264な動画を快適に再生する方法について.

H.264形式の動画は,エンコードするのもデコードするのも計算量が大きいため,DVDや地上ディジタル等で使用されているMPEG2と異なり,普通に再生するのだけでも一苦労です.相当スペックの高いマシンでなければ,FullHDである1080pの再生は無理です.

計算パフォーマンスよりも低消費電力を優先して設計されているAtomの場合は特に厳しい状態で,普通に再生しようとすると,パラパラマンガどころか静止画フリーズ状態です.

今は昔と違って『テキストだけ読み書きできれば良いよ』とか,『静的な情報をブラウズできたら良いよ』という時代ではありません.手持ちでそういったソースが無くても,YouTubeが1080pに対応する時代ですし,ネットブックとは言え,高解像度の動画再生は避けて通れない機能になりつつあります.

この手の解決方法はいくつかあるのですが,大きく分けて,

  • 高性能なcodecを使用する
  • 再生支援機能を持ったビデオチップを使用する
  • 拡張カードを使用する

といった3つの方法があります.

一つ目のcodecとしては,有償になりますが,CoreAVCが有名です.そこそこ良い環境のPCであれば,これを使うだけで『ぬるぬる』視聴することが出来るようになります.ただ,Atomではこのcodecを持ってしてもまず無理.論外のレベル.

再生支援機能に関しては,例えばAtomをCPUに使用したシステムで言うと,GPUを統合したチップセットのプラットフォームである,nVidiaのIONが有名です.チップセット名はGeForce 9400M G.3D性能も Atom と組み合わされることの多い945GSEと比較するとべらぼうに高く,また,元々1080pも再生可能を売りにしているシステムだけあって,確実に再生できます.しかし,これは元々IONプラットフォームのマシンである必要があります.mini9はIntel 945GSEを採用していますので,門前払いといった感じ.

[2010/3 追記] Atom Zxxxとの組み合わせで使用されるUS15Wチップセットには,GPUとしてGMA500が搭載されています.この場合はMPEG2やAVCのフルHDに対応した再生支援機能が搭載されていますので,追加ハード無しで『ぬるぬる再生』が可能です.詳しくはこちらのエントリーを参考にして下さい.

ちなみにIONの第二世代の製品であるION2は,shader数が16から32になり,性能が倍になります.2009Q4の予定.IONは,後述するGPGPUも使えるので,かなり魅力的な環境.

そして今回採り上げるのが,拡張カードを使用した1080p H.264動画の再生.デコード処理を拡張カード上のチップに肩代わりさせるという方法です.

使用したのはBroadcom Crystal HD(BCM970012)です.今年の夏には既にこのカードを内蔵(オプション)したネットブックも販売されていましたので,そんなに目新しい物ではなく,実績も十分にあります.

Ch1 今回購入したのは,Broadcom Crystal HD(BCM970012).Mini PCI-Expressカードであり,3,000円前後で購入可能です. メーカーのページはココ

こういう季節ですので,静電破壊しないよう,静電気を逃がしてから作業しましょう.
Ch2 基板表面.
Ch3 基板裏面.
Ch4 mini9のバッテリとACを外し,裏蓋の2つのネジを外す.
Ch5 この裏蓋は沢山の小さな爪で外れないようにされているので,丁寧にこじ開けます.

メモリ増設のときもそうだけど,『ほんまにこんな開け方で良いのか?』とかドキドキしました…
Ch6 Mini PCI-Expressのソケットに刺さっているWLANの基板を外します.

アンテナ線をランドから外し,二箇所のネジを外した後にスロットからカードを外します.
Ch7 Crystal HDを挿して完成.

無線LANのアンテナ線は,端子が基板にショートしないよう処置しましょう.私は近くに転がっていた(笑)熱収縮チューブで絶縁を図りました.
Ch8 内蔵の無線LANカードを外した関係で,本体から無線LAN機能が無くなります.これは流石に困るので,PLANEX GW-USMicroNを使用することにしました.1500円くらいで売られています.安い.

元々内蔵されていたカードは802.11b/g対応でしたが,このアダプタは超小型で11nにも対応.スペック上は150Mbpsに対応しているけど,この大きさからも分かる通り,アンテナの感度は弱めです.流石に外部アンテナを使用する物と比較すると弱いですが,この大きさから考えられないほど,アンテナの感度は良いです.

常時挿していても気にならないサイズだけど,出っ張りが無いとは言えないので,いずれMiniPCI-EのソケットからUSBを引っ張り出し,このアダプタを内蔵させる改造をするかも.

最近はさらに小型の PLANEX GW-USMicroN2Wが出たので,新規に購入するとしたらこちらかな.

カード装着後,ドライバをインストールし,対応ソフト(ArcSoft TotalMedia Theatre)をインストールすることにより,あっさりと再生環境が整います.フルスペックHDなH.264動画を再生し,コマ落ち無しでぬるぬる動く様を見て感動してください.ちなみにこのソリューションのメーカーの説明動画はこちら

mini9で再生した場合,ビットレートにもよりますが,CPU負荷は大体30~50%くらい.通常,動画を鑑賞しながら別の作業をすることは無いと思いますが,軽い作業であれば平行して出来るくらいの余裕があります.ちなみにこのカードはH.264(AVC)だけでなく,WMV9 (VC-1),MPEG2等にも対応していますので,H.264以外の動画の再生時にも使用できます.

また,CPU単独でデコードするよりも発熱が少なくなるようですので(1080pで1.5[w](?) BCM70015の場合は1[w]),ファンレスのmini9にとっては有難い存在.熱くならないということは,それだけ消費電力が低いということになりますので,放熱の問題だけでなく,バッテリ駆動時間にも利いて来ます.

ちなみにこのカードを利用可能なソフトとしては,ドライバ ページにもあるように,公式にサポートはArcSoft TotalMedia TheatreとCyberLink PowerDVDだけ.しかし,非公式にはGOMplayer,Kmplayer,MediaPlayerClassicがサポートしているとのこと.興味のある人は試してみてください.

[2010/1/1追記]GOMplayer,MediaPlayerClassicでの設定方法を,このエントリーにまとめました.

と,いうことで,動画ファイルを直接再生することが可能になりましたが,YouTube等に上がっている1080p動画の再生はどうでしょうか.

従来,ビデオチップに再生支援機能が付いていても,サポートソフトでの利用に限られ,Flashで再生する場合は利用できませんでした.しかし,AdobeはnVidiaやATI等の再生支援機能をサポートするFlash10.1をアナウンスしています.さらに本エントリで採り上げたCrystalHDも利用可能とのこと.

現在Flash10.1のベータ版が利用可能提供されていますが,流石にベータ版だけあって色々と問題があります.私はβ2を入れてみたのですが,まだ完全に動く所までは辿り着いていません.ただ,動いている人もいるので,何かの設定がまずいと思う….まぁβが取れた正式版が来年リリースされる予定なので,それ待ちでも良いかなと思っています.

FullHDの液晶パネルでない限り,dot by dotで表示出来ませんので,表示という面ではあまり意味がありません.だけど,トランスコードや再エンコードしたファイルを作っててから再生というのは手間も時間もかかりますので,オリジナルファイルを再生できるのが一番楽です. 私はivisで撮影したAVCHD動画をffmpegを使ってmp4に再エンコということをよくしていますが,このmp4に落としたファイルをそのまま再生&確認できるというのは非常に助かっています.

個人的には,Atomを採用したネットブックのこういったソリューションの提供は大歓迎.来月登場する新Atom搭載のDELL mini 10にも,BCM70015がオプションで搭載される予定とのこと.

ただ,少しアンテナの高い人であればよく知っているこの手の話でも,街の電器屋でPCを買ってそのまま使うような普通のユーザ層は,この手の商品を知らないし,入手する術も無いでしょう.多分,『高解像度動画を再生→コマ落ちで使い物にならない→ネットブックの限界だと考え,諦めて買い換える』という流れになると思う.実に勿体ないことです…

mini9の手軽なパワーアップとしては,WLANカードをIntel Wifi Link 51005300に載せ替えて802.11a/b/g/n対応にするというのもあります.後者であれば Amazonで購入可なので,手軽かも.無線LANの通信速度を,802.11gの54Mbpsから,最大300/450Mpbsにまで(スペック上は)上げることが出来ます.最近混信の激しい2.4GHz帯ではなく,5GHz帯が使えるってのが嬉しいポイントだと思う.

* * *

最近はグラフィックカードに搭載されたGPUに汎用計算を行わせるという流れが普及して来ています.ATIのATI Stream,nVidiaのCUDAありますが,総称としてGPGPUと呼ばれるこのソリューションも,個人的には大歓迎.対応ソフトはまだそれ程多くないものの,画像フィルタや動画再生,動画エンコードに利用すると,ビデオカードを良い物に交換した方が,最速CPUに交換するよりも,遥かに高速な環境が手に入ります.ちょうど昔で言うコプロセッサのような感じ.

IntelはSSE系の機能を上げてCPU内蔵の機能を上げていく方向jを向いていると思いますが,個人的には,共存の形で共に進化して欲しい.そしてAtomでも,Intelの囲い込みに負けず,次世代のION系を使ったネットブックが出ないかなぁと楽しみにしています.

[2011/01/28追記]後継種のBCM70015がYahooオークション等で格安で出回り始めています.こちらの場合,ドライバ一式に同梱されているsetup.exeを実行してフィルタをインストールする必要があるようです.参考ページ

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