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2009年6月22日 (月)

真夏のオリオン

映画『真夏のオリオン』を観てきた. 右の書影&リンク先は原作本.映画に関してとかは別の所で書くことが多いんだけど,今回はこちらで.

感想を一言で書くと,なかなか清々しい映画だった.そして終戦のローレライの戦闘シーンの山場が終始続くような感じで退屈しなかった.そういう意味ではゴチャゴチャとしたストーリーがあったり,(大抵はコケル)変な伏線があって考えさせるような感じではなく,身構えずに観れる戦争映画という感じ.

だけど…戦争映画をよく観る&実戦経験者の回顧録とかよく読んでいる人だと,『ん?』って所が多いかもしれない.以下,ネタバレもあるのでこれから観に行こうとしている人は注意して下さい.

ストーリーに関してはオフィシャルサイトを参照してもらうとして,あらすじを簡単に説明すると,米軍の駆逐艦と日本海軍の潜水艦『伊77』の戦いを描いた映画.どちらの艦長もキレモノなんだけど,玉木演じる伊77の艦長は,一見『デキル』人には見えないが実はすごい.そしてお互いの実力を分かり合い,好敵手として数日間死力を尽くして渡り合う…

ん?このシチュエーション,どっかで観たような覚えが.艦長のパーソナリティは駆逐艦と潜水艦と逆ですが…

『聴音で海底から音楽が…』のくだりでは,『伴奏を付けてやれ!』と,爆雷を投下されたらどうしようかと思った.一応書いておくと,このエピソードは眼下の敵(The Enemy Below)ね.1957年の作品で,実話を元にした非常に有名な,かつ,面白い作品.30代の人なら,多分1回は地上波で流れたのを観たことがあると思う.

戦死者を発射管から放出して欺瞞を計る?U-571で観たような…

とか書き続けるとパクリ映画のように思われてしまうかもしれませんが,全然そんな感じではありません.似たようなエピソードを入れてあるけど,ネタ元を知っている人にきちんと肩透かしを喰らわせたりしているし.

あと,福井晴敏脚色・監修ということで,細かな所が妙にマニアックだったりする.例えば酸素魚雷がベースになっている回天から第二空気(酸素)を放出し,長時間潜行に伴う酸素不足を切り抜けたり.

でも,微妙に『ちょっと~,ちょっと~』という所があるのもいつもの感じ…

上記の酸素の放出に関して書くと,既に日本の潜水艦には酸素ボンベが積まれており,潜航が長時間になった際には酸素を放出することになっていた.とは言え,これを行ってもそれ程持たないみたいだし,艦内の気圧が高くなる関係で苦痛を伴うらしい.そして酸欠で苦しくなってギリギリのときに放出するより,少し余裕があるときに放出した方が長く戦えるという戦訓まで,元軍医さんの書かれた鉄の棺という本に載っておりました.この本には,50時間も潜航して戦い続けたという実話も載っている.凄まじい.

ちなみにこういうシチュエーションだと酸欠が一番深刻に思えるけど,二酸化炭素濃度の方も深刻.

それと,長時間息を止めると苦しくなって呼吸したくなるのは,肺の中の酸素が無くなるからではなく,二酸化炭素濃度が一定以上になるからとのこと.人間はどこまで耐えられるのかという本に載っとりました.この本はとても興味深い話が沢山載っているのでいずれ書評したいなぁと思っていたのだけど,知らないうちに文庫本が出てるっ.それも私がハードカバーで購入した直後にっ orz

閑話休題

それと爆雷は爆発時の水圧で攻撃する物なので,常に高い水圧のかかっている潜水艦の場合,離れた所で炸裂しただけでも致命傷になる場合があります.ところが,ローレライのときにもそうだったけど,直撃しなければ大丈夫と言わんばかりに近くで炸裂しまくり.

この他,駆逐艦の艦長が弟の話をするくだりで,『私を追いかけて海軍に入って巡洋艦に…』と,いう字幕が入っていた.艦長は destroyer って言ってるから,訳は巡洋艦ではなくて駆逐艦が正しい.巡洋艦はcruiser.戸田奈津子女史の地獄の黙示録での有名な誤訳(*)を思い出してしまった.

(*)ブローニングM2重機関銃という半世紀以上前から未だに使われている名銃がありまして,これは口径が0.50inch(12.7mm)あります.これを通称『50 caliber』と呼ぶわけですが,予備(専門?)知識が無いと,127mm砲(!!)になっちゃったり,字幕にあったように50mm砲になっちゃったりするんですかねぇ…

と,この他にも細かな所でツッコミを入れたくなる所はあると思いますが,『細けぇことはいいんだよ』の気持ちで観ましょう.

あと,完全にエンドロールが終わるまで席を立たないこと.

最近エンドロールの途中とか最後に何かシーンが挿入される映画が結構増えてきていますが,この映画もそうなので.あと,エンドロールの内容もきちんと目で追うこと.

私はぼーっと追ってたのだけど,『伊呂波会』(*2)や潜水艦の元乗組員の方のお名前が数名出てきたときにはかなり驚いた.旧海軍は潜水艦を一直線上に配置する(*3)という話まで出てきていて,ちょこちょこリアル感があったのはそういうことだったのか.

(*2)旧日本海軍の潜水艦は,その排水量によって伊号,呂号,波号の3つに分類されていた.

(*3)米軍はこれを知っていたため,1艦を沈めた後に次の1艦のおおよその位置を推定し,捜索&沈めまくっていたそうだ.

そして伊58の元乗組員の方も二名程名前を連ねていたように思う.

伊58!?

改めてストーリーを思い出してみると,エピソード的に伊58とその艦長の橋本以行少佐をモデルにしているような感じがある.日本に投下された原爆を輸送したインデアナポリス撃沈のような話は盛り込まれていませんでしたが…伊58に興味のある人には,この本をお勧めします.

さて,映画も見終わったことだし,既に購入済みの原作(結構売れているみたいですね)をこれから心置きなく読もうと思います.

***

最後に少し現実の話ですが,こういったシーマンシップを発揮した話がある一方,無抵抗の漂流者を機銃掃射(かなり衝撃的な動画なので視聴注意)という話もある.戦時は狂気に満ちた時代だし,リアリズムを追求するとかなりエグイ話が多くなると思うので,原作や脚本はかなり悩む所だと思う.U-Boatのように面白いしリアルに感じるが,暗い…というのは一般受けしないと思うし,難しいところですね.

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