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2007年9月23日 (日)

おいしいハンバーガーのこわい話

本書は子供向け.非常に読みやすい.しかし中身には唸らされる.

 材料を買ってきて自分で料理を作って食べるよりも,インスタント物やファーストフードが体に良くないというという話は昔からよく言われていた.添加物の 話や外食産業に使用される食材の話も次第に一般に知られるようになって来ているので,食そのものに対する安心感もかなり揺らいで来ていると思う.

いつぞや食肉産業の某社長が偽装表示の問題に対して「安いものを求める消費者が悪い」などと暴言を吐いていたが,その問題の本質の是非は抜きにして,「早 い・安い・美味い」はやはり魅力的であるため,見えにくい安全性が真っ先に切り捨てられて来たのも分からないではない.

 最近は中国野菜の残留農薬の問題がマスコミによく採り上げられていることもあり,食の安全性という面での関心も高まりつつある.中国では昔からそういうことはあったので,今更という感もあるのだが….ある意味,日本人は非常に平和な考え方の人が多く,「自分はこうだから相手もこうだ」という性善説に基づいた感覚を全てに当てはめてしまうのだろう.まして「食」という究極の安全性が求められるような事柄に関して,「口に入れるものだから無茶な事はしないだろう/されないだろう」という根拠の無い安心感を持っているように思う.


 では,一消費者としてどのような対策が採れるのであろうか.例えば値段.高いものはそれなりに良いものだという判断の元,妙に安いものを避けて購入するのも手だ,しかし,それでは単に安物を高く売っているだけの場合にはまんまと引っかかることになる.では,表示されている産地のチェックはどうであろうか.仮に産地偽装が無いという前提で考えた場合でも,実は産地の表記には色々な抜け穴があり,「日本産」と書かれているものでも実は…と,いったことがあるようだ.こういうことを心配しながら食材を買わざるを得なくなったというのも悲しいことであるなぁ.外食の場合はさらによく分からないし.

 それはさておき,本書は「ファストフードが世界を食いつくす」という書籍の著者が,若年層向けに内容を分かり易く書き直した本である.

 そのようなわけで,非常に読みやすい.しかし,内容はしっかり詰まっている.

 詳細に関しては読んでもらうとして,書かれている内容をざっとまとめると,

  • ハンバーガーの歴史
  • ファストフードのマーケッティング方法とビジネスモデル
  • 劣悪な労働環境と搾取構造
  • 添加物について
  • 材料について
  • ファストフードの「食料」としての問題点
  • ファストフードの席巻と社会に及ぼす影響

 と,いった感じ.

 細かな事例は「へー」とか「ほー」とかいう感じの話が多く,雑学的な話も数多くちりばめられている.米国内の話が殆どであるが,日本を含む(米国から見て)外国の話もいくつか書かれている.アンテナがある程度高い人にとっては既知の話ばかりだと思うのだが,何も知らずに「安いし美味い」と,ファストフードを連食しているような若者にとってはインパクトのある内容だと思う.

 ただ,少々感情に訴えるような記述も多く感じられ,また,「それは一方的に企業が悪いのではなく,消費者が賢くならないといけないのでは?」と,思う部分もあった.

 そして本書を読み終わった後,米国内では病んでいる部分が相当深刻でかつ多く,そして消費者が考える機会・能力を効果的に奪われているのではなかろうかという印象を非常に強く持った.逆の見方をすると,企業の広告やイメージ,マーケティング戦略がうまく当たっているとも言えるのかもしれないけど.

 それにしても…高カロリーなジャンクフードの食べ過ぎで肥満が酷くなり,肥満を解決するために胃の殆どを切除する手術を受ける子供が米国では増えている…なんて話はハッキリ言って驚いた.

 こういう状況は,日本も他人事では無い日が来るんだろうか…

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コメント

私も最近この本読みました。
ファーストフードについては、子供に働きかけているというのが一番怒りを覚えるところです。
日本もアメリカ並みに大腸がんが増えているのは、食生活が欧米化(特にアメリカ化)しているせいだそうです。
もともと日本人は、穀物中心の生活が合っているはずなのに、穀物は太るっていわれはじめて、肉中心の生活になっているらしい・・・
すごく気になります。

投稿: ひなこ | 2007年9月26日 (水) 11時28分

(塩分が高めであることを除いて)和食は栄養バランスが良いと言われているのに,欧米風の,それもかなり偏った食事をよく採るようになって来ているのはかなり問題ですよね.それもジャンクフードに限らず,外食での洋食メニューは油脂や砂糖タップリのものが多いので,生活習慣病にダイレクトに利いてきそう.

そして最近は(特に子供を対象として)さらに深刻な問題も発生しており,食べること自体が危機に瀕している場合もあるようです.

「亡食の時代」という書籍を店頭で見かけたのですが,帯には「朝食にガムを食べてきました」というショッキングでキャッチーなコピーが.ここまで極端な例はまだ珍しいとは思うのですが(と,信じたい),数年前にとあるWebページに載っていた(*)小学生達の朝食メニューにも似たような傾向があり,極めて例外的かつ局所的な問題というわけでは無さそうです.

(*)食育関係の研究のために,学校の先生が児童に宿題として朝食の写真を撮らせ,それを集めて見てみたら…のような感じのものだったように思います.「おやつ?」「お菓子?」とか思うようなメニューもちらほらと載っていました.

投稿: tadachi | 2007年10月11日 (木) 12時01分

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30を超えた頃から、自分の体がすごく気になりだした私30過ぎると肌が水をはじかないとか、急におなか周りにぜい肉が・・・とかもよく聞いてたし。とてもとても、実際年齢に見えません!って人と、残念ながら・・・えーっ?あの人まだ○○才なの?って人がいるのも事実。つまり、人によって20代後半にもなると、見た目が全然違ってきてるってことに気づいたからなんだけど、それって自分でコントロールできないのか?運動してるから若く見えるってこともあるかもしれないけど、それだけじゃないだろ!ってことで、食べ物にもこだわりだし... [続きを読む]

受信: 2007年9月26日 (水) 11時29分

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